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東京都社会福祉協議会

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福祉広報 2025年1月 792号 テキストデータ

【表紙】(写真)
「子どもの成長のための力になりたい」。そんな想いで居場所づくりと学習支援を行う「はじまりの場所」。
現役の大学生が練馬区を中心に活動しています。
子どもたちの未来のために、若者がともに考え、寄り添い続けます。
―はじまりの場所 練馬区―


p.2 ●社会福祉NOW
医療的ケアの必要なすべての人が安心できる暮らしのために

p.4 ●み~つけた
子どもが子どもらしくいられる居場所をめざして
はじまりの場所(練馬区)

p.5 ●連載 若者の孤独・孤立のいま【第4回】
子ども・若者にとって保健室のような存在でありたい
ユースウエルネスKuKuNa(江戸川区)

p.6 ●Focus on!
能登半島地震 被災者支援ボランティア・プログラム
東京ボランティア・市民活動センター

【目次】

1社会福祉NOW
2み~つけた
3連載 若者の孤独・孤立のいま 第4回
4Focus on!今、こんな動きがあります
5Information(年頭所感/ 東社協トピックス/東京の寄附のカタチ/ 東社協の本)
6くらし今ひと

 

--1【社会福祉NOW】
医療的ケアの必要なすべての人が安心できる暮らしのために

「医療的ケア児支援法」が2021年9月に施行されてから約3年。医療的ケア児やその家族を取り巻く環境や支援体制はどのように変わってきたのか。今号では、2022年9月に開設された「東京都医療的ケア児支援センター」と、学校卒業後の居場所づくりに取り組む「NPO法人ゆめのめ」への取材を通して考えます。


日々相談を受け止め、地域づくりをサポートする東京都医療的ケア児支援センター

センターに寄せられている声
東京都医療的ケア児支援センターは、医療的ケア児支援法に基づき、2022年9月に区部と多摩地域に開設されました。医療的ケア児の家族からの問い合わせや、自治体や医療機関も含めた支援者からの相談を受けています。
センター設置前は、医療的ケア児を育てる家族は、入園や就学、卒業後など生活が変わるタイミングごとに、自力で相談先を探していました。多摩地域相談員の小林杏子さんは「センターができたことにより、『どこに相談したらいいか分からない』という声を受け止める先が明確化されたことは設置の意義だと感じています」と話します。
2024年度(4~11月)にセンターに寄せられた相談件数は、区部で178件、多摩地域で164件。そのうち、区部では約半数が、多摩地域では約6割が、本人・家族に関する個別の支援に向けた相談です。内容は「レスパイト先の情報を知りたい」「保育園の入園相談がうまくすすまない」「転居先の自治体の情報を教えてほしい」など、さまざまです。区部相談員の川上咲さんは「レスパイトや就園・就学時、卒業後など、医療的ケアがあることで受入れ先の選択肢が狭くなる課題は継続しています。ただ、以前よりも保育園などで医療的ケア児の受入れがすすむ中、『延長保育の利用ができず困っている』など、受入れ後の次の課題も出てきているように感じています」と話します。

医療的ケアを知ってもらい、地域と一緒に考える
医療的ケア児支援法の施行によって、自治体での相談窓口の設置や医療的ケア児等コーディネーターの配置もすすみ、「他区での取組みを知りたい」「医療的ケア児の受入れにあたり保育士や看護師向けの研修を案内してほしい」など、自治体からの相談も増えてきているといいます。
川上さんは「1人の医療的ケア児を受け入れるたびに経験が蓄積されていきます。財政状況や看護師の配置状況など自治体による違いはありますが、『できない』で終わるのではなく、『どうしたらできるようになるか』を自治体の担当者と一緒に考えていけたらいいと思っています」と言います。多摩地域相談員の森越初美さんも「医療的ケアについて分からないから受入れが怖いということもあると思います。自治体や地域と連携し、その地域での医療的ケア児と家族を支える基盤づくりのサポートをすることも私たちの役割なので、まずは医療的ケアを知ってもらうことから地道に取り組んでいます」と話します。

分野・領域の壁を越え、連携していく
医療的ケア児とその家族を取り巻く環境は少しずつ変わってきていますが、まだまだ多くの問題があります。医療的ケア児が成長し、成人を迎えた方への支援や、運動面での障害がない医療的ケア児に対する支援など、さまざまな制度の狭間の問題が生じています。
多摩地域相談員の岩﨑京子さんは「ほかにも、知的障害のある人が利用する障害者施設などでも医療的ケアが必要な人が増えています。医療的ケア児・者やその家族への支援は、医療・保育・障害などどこか一つの分野だけが頑張ればいいことではありません。センターや医療的ケア児等コーディネーターの認知度を高め、分野間の連携を深めるとともに、受入れへの不安を取り除いていくことで、安心して暮らせる地域を増やしていけたらと思います」と、想いを話します。

(写真 左から 森越 初美さん、岩﨑 京子さん、小林 杏子さん、川上 咲さん)

注1 医療的ケア児支援法
「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」の略称
注2 医療的ケア児等コーディネーター
医療的ケア児が必要とする保健、医療、福祉、教育等の多分野にまたがる支援の利用を調整し、総合的かつ包括的な支援の提供につなげるとともに、医療的ケア児に対する支援のための地域づくりを推進する役割を担う。相談支援専門員や保健師、看護師、自治体職員等が養成研修を受講したのちにコーディネーターになる


卒業後も安心して通える居場所を
NPO 法人ゆめのめ

法人立ち上げの想い
NPO法人ゆめのめは日野市で、重症心身障害児・者および医療的ケア児・者を対象にサービスを提供しています。2019年に多機能型児童発達支援・放課後等デイサービス事業所の「デイケアルームフローラ」を、2022年には多機能型放課後等デイサービス・生活介護事業所の「日野坂CANPAS」を開設しました。
理事長の大髙美和さんは、ご自身も重症心身障害児を育てる親です。自分の子どもは保育園に預けることができましたが、同い年の医療的ケアがある子は入園できなかったという経験をし、大髙さんは「“こういう時代なのか”とショックでした。あの頃は、一種の罪悪感のようなものを抱きながら子どもを保育園に通わせていた気がします」と、振り返ります。
その後、障害児を育てる親のサークルに参加し、日野市内には医療的ケアが重い子どもが通うデイサービスはある一方、状態がさまざまな子たちが通える場所がないことを知りました。そして、ご縁やタイミングが重なり、NPO法人ゆめのめを設立。特別支援学校の先生や病院の看護師の方などの協力を得て、「デイケアルームフローラ」の開設に至りました。管理栄養士や調理師などの食支援の専門職を配置し、摂食嚥下障害のある子どもも食べられる給食を提供しているのが特徴です。

卒業後の居場所「日野坂CANPAS」の開設
開設してしばらくすると、大髙さんはもう一つの厳しい現実を目の当たりにします。「デイケアルームフローラ」に通う高校3年生の学校卒業後の居場所がない、すすむ先が選べないということです。特に、医療的ケアのある子は、看護師が常駐していないなどの理由で、高校卒業間近になっても日中の通いの場が決まっていないこともありました。これが強い動機となり、医療的ケアが必要でも卒業後も安心して過ごすことのできる定員5名の「日野坂CANPAS」を開設しました。開所時間は朝9時から夕方5時までです。
この頃は、生活介護事業所の開所時間は9、10時~14、15時までの場合が多かったと話す大髙さん。「保育園や学校、放課後等デイサービスに通って、親が正社員で働いていても、子どもが高校を卒業した途端に働き方を変えざるを得ず、自宅で親子だけで長い時間を過ごす生活に戻ってしまう。これが地域で安心して暮らすということなのか、疑問でした」と続けます。2022年当時は、小規模定員で長時間サービスを提供すると運営が苦しくなる制度設計でした。しかし、2024年度から、利用定員規模ごとに基本報酬が設定されたり、延長支援加算が見直されたりと、重症心身障害児や医療的ケア児の卒業後の居場所がなくなりやすいという課題が少しずつカバーされてきたと大髙さんは感じています。
「日野坂CANPAS」施設長の平井寛さんも卒業後の居場所について、「学校を卒業したらそれで終わりになってしまう。進路だけでなく、卒業後の生活をどうつくっていくかという視点で生徒一人ひとりと向き合い、次へバトンを渡すしくみでないといけない。教育分野だけではなく、関係機関が本人とともに将来の生活や望む暮らしを考えていく必要があります」と言います。

地域とのつながりをこれからも
「デイケアルームフローラ」の放課後等デイサービスでは家族支援として、社会福祉協議会や保育園、高齢者施設などさまざまな団体・人と地域交流の機会をつくっています。大髙さんは「小さい頃から地域とつながり、子どもらしくみんなで育つ。高校を卒業して『障害者』になった途端に地域とのつながりがなくならないように、これからもつながりを大事に楽しく取り組んでいきたいです」と、想いを話してくれました。
最後に平井さんは「年齢による壁に加え、障害の個別性による壁も大きいと思います。障害のある人の人生を区切って見るのではなく、一貫性を持って将来の生活を考えられるよう、また、それぞれの障害の状況に応じて、多分野が連携できる体制や制度のあり方がますます求められていくのではないでしょうか」と問いかけます。

(写真 NPO 法人ゆめのめの皆さん 前列右:大髙さん、後列右から2番目:平井さん)

 

--2【み~つけた】
子どもが子どもらしくいられる居場所をめざして

大学生が立ち上げた地域の居場所
練馬区大泉地区に、大学生が手がける居場所「はじまりの場所」があります。毎週木・土曜日に開室し、小中学生を対象とした居場所づくりや学習支援を行っています。ハロウィンやクリスマスなど季節のイベントも開催し、好評を博しています。
代表の市橋宗一郎さんは「私は帰国子女で地元の中学校に編入したのですが、当時、学校という枠組みの中で過ごす窮屈さを感じていました。また塾にも行けず、進路の選択肢もない困窮家庭の同級生が置かれた状況にも衝撃を受けました。その原体験がきっかけで、子どもが子どもらしく過ごせて、誰でも学びたいことが学べる場所が必要だと感じました」と設立の背景を話します。そして大学3年生だった2020年の冬に「はじまりの場所」を立ち上げました。練馬区社会福祉協議会から紹介されたプレーパークの団体などから助言を受け、徐々につながりを広げ、現在は50名程度の大学生スタッフらが活動を支えています。2023年度には、延べ422名の子どもが利用し、リピートで来る子も多いのが特徴です。
学生代表の吉澤侑志さんは「さまざまな背景がある子が来ますが、1対1で話すことを心がけ、『居心地いいな』と思ってもらえる居場所づくりを心がけています。以前、保護者の方にアンケートを取ったことがあるのですが、ここを『安心できるお守りのような存在』と書いてくださった方がいて、本当に嬉しかったです」と話します。社会人になっても活動をサポートしている大阪菜都子さんは「私が学生メンバーだった頃、高校の受験対策を担当した子に『合格したよ』と一番に連絡をもらえた時は、私たちがやってきたことに意味があるのだと思えた瞬間でした」と、印象的な出来事を話してくれました。

子どもたちの良き相談相手になりたい
市橋さんは設立時を振り返り「子どもたちにとって、図書館や児童館に行くのと同じくらい気軽に来られて、頼ってもらえる場所になるように、これからも地域に根ざした活動を続けていきたいです」と話します。
2023年には、練馬区で子どもの支援に関わる団体同士のネットワークが立ち上がりました。「はじまりの場所」もその一員として、各団体と連携したり情報交換したりしながら、子どもたちの成長を支え続けていきます。

はじまりの場所
開催日程:毎週木曜日17:00~20:00、毎週土曜日10:00~13:00(第2土曜日14:00~17:00)※祝日除く
開催場所:4か所(東大泉会場3か所、南大泉会場1か所)※登録制
問合せ:「はじまりの場所」ホームページより

QRコード はじまりの場所 ホームページ
(写真 はじまりの場所 練馬区)

 

--3【連載 若者の孤独・孤立のいま 第4回】
子ども・若者にとって保健室のような存在でありたい

ユースウエルネスKuKuNa(江戸川区)

心身の成長や人間関係の広がりに伴い、家族や友人、性などについての悩みも複雑化していく思春期。中には、悩みを抱えていても誰にも相談できず、状況が悪化してしまう子どもや若者もいます。そんな子ども・若者が抱える性の悩みを受け止める場として開室した「ユースウエルネスKuKuNa(以下、KuKuNa)」に取材し、子どもや若者に関わる中で見えてきた課題や、社会のあり方についてお伺いしました。

“保健室”のように気軽に相談できる場所
江戸川区で、産婦人科、小児科、心療内科を専門に、女性と子どもの健康を30年にわたり見守り続けてきた、まつしま病院。性被害やDVを含めた暴力について検討する委員会を立ち上げ、長く女性と子どもの性の問題についても向き合い続けてきました。KuKuNa室長の幸﨑若菜さんは助産師として働く中で、10代での予期せぬ妊娠や中絶、性感染症や性暴力など、トラブルを抱えた子どもや若者にたくさん出会ってきたといいます。「その背景は、不十分な性教育や、孤独・孤立、発達の問題、家庭内不和などさまざまですが、悩みを抱えていても相談できる場所がない、相談の仕方が分からないという状況に危機感を感じていました。問題が大きくなる前に、子ども・若者が悩みを気軽に相談でき、正しい性の知識も学べる場所が一刻も早く必要でした。そういう場として2024年4月にKuKuNaを開室しました」と話します。

性の悩みを受け止めるKuKuNaの取組み
KuKuNaでは、主に3つの活動を行っています。「街の保健室(オープンユース)」は、第2・4土曜日と、第1・3木曜日に開室している予約不要のオープンスペースです。助産師や思春期保健相談士などの専門職が常駐し、誰でも無料で相談できます。「相談がなくても、お茶を飲みながらゆっくりしたり本を読んだりと、自分のペースで自由に利用できます。子どもやその保護者、若者をはじめ、支援者が読める書籍も多くそろっているので、スクールカウンセラーやソーシャルワーカーにも来ていただいています」と、幸﨑さんは話します。小学校高学年から中学生の利用が多く、1日に14~15人が来室することもあるそうです。
「個別思春期相談」は、悩みを抱えた子どもや若者が直接予約し、500円のワンコインで30分間、個別に相談ができます。相談内容に応じて、まつしま病院の思春期外来や心療内科につなぎ、行政や各種機関と連携することもあります。
また、保育園や学校向けのほか、保護者や教職員、スクールカウンセラー等を対象にした勉強会や講座、講演会なども開催し、保護者や支援者との連携やスキルアップをめざしています。「性の問題の対応に困っている保護者や支援者に、性教育への姿勢やアセスメントの大切さを知ってほしい。そのために必要な情報にアクセスできる場所にしたいという想いもありました」と、幸﨑さんは話します。

子どもや若者を理解し支える社会のしくみが必要
性の問題をはじめ、思春期の悩みや問題は、当事者だけでは解決できないことも多く、トラブルに陥ってしまった本人を責めるのではなく、社会全体の問題として周囲にいる大人も向き合っていくべきだといいます。そのためには、医療、福祉、教育の垣根を超えた切れ目のないサポートのしくみや、想いを受け止められる大人がさらに増えることが大切です。
幸﨑さんは「その子の背景や個別性を理解し、全体像がみえる大人が各領域で増えていくことが大切だと考えています。そのためにも関係機関とのネットワークをさらに広げていきたいです」と展望を話します。学校や教育委員会など各種機関にも積極的に周知活動を行っているというKuKuNa。子どもや若者が自分らしく健全に生きられる社会をめざして、これからも子ども・若者に寄り添い続けます。

注 思春期保健相談士
思春期の子どもたちに専門的な知識経験を積みながらサポートを行う(一社)日本家族計画協会の認定資格
(写真 医療法人社団向日葵会 まつしま病院 ユースウエルネスKuKuNa 室長 助産師/思春期保健相談士 幸﨑(こうさき)若菜さん)
(写真 清潔感のある室内。奥には2つの個室とくつろげるマット敷のスペースもある。)

 

--4【Focus on!今、こんな動きがあります】
能登半島地震 被災者支援ボランティア・プログラム
東京ボランティア・市民活動センター

災害時に必要となるコミュニティ支援
「みんな仮設住宅や地域の外に出ていなくなってしまったのでさみしい」「サロンが毎週楽しみで、近況報告する場になっている。サロンのおかげで1週間楽しく過ごせる」。これらは、能登半島地震の被災者から聞いた声です。
災害時には、被災した地域のコミュニティが壊れてしまったり、一時的にコミュニティの機能が弱くなってしまうことがあります。そのため、がれきの撤去などの力作業が求められる一方で、地域の中で住民同士が声をかけ合い、交流し、心配し合ったり、励まし合ったりする場づくりが求められます。そこで、能登半島地震では、コミュニティ支援の一環として、住民の支え合い、交流の場づくりに取り組みました。

能登半島地震での3者協働による取組み
東京都と東京ボランティア・市民活動センター(TVAC)、災害協働サポート東京の3者協働で、4月24日から9月28日までのおよそ5か月間にわたり、輪島市内4か所、穴水町内4か所でのサロン活動を実施してきました。参加した被災者は延べ3,989名、東京から参加したボランティアは延べ389名となりました。サロンの実施にあたっては、地元の社会福祉協議会や障害者団体、自治会、民生委員、公民館など必ず地元の団体と連携する形で取り組みました。毎週同じ曜日に同じ場所、同じ時間帯で実施したことで、被災地住民の皆さん自身が定期的に集まることの意味を実感され、居場所が被災地域の皆さん自身のものとなっていきました。

これからの被災地域と東京での取組み
被災地域の団体が主体となりサロンを実施する地域も出てくる中、10月以降は災害協働サポート東京中心に、TVACも後方支援をする形で月1回のサロン活動を継続しています。9月末に発生した奥能登豪雨もあり、まだまだ支援を必要としている地域は多くあります。
東京での大規模災害時にも同じようにコミュニティ支援も重要となります。TVACでは災害が起きる前から多様な人たちが顔を合わせ、支え合い、助け合える関係づくりを、この東京でもすすめていきたいと考えています。

(写真 穴水町諸橋仮設住宅でのサロン。10戸と小規模な仮設住宅横で実施。サロンが仮設住民と地域の方々の交流の場となった。)
(写真 輪島市門前・禅の里交流館でのサロン。障害者の余暇支援団体「夢かぼちゃ」から写真の好咲さんはじめ、多くの方がお手伝いに来てくれ、一緒にサロンを実施した。)
(写真 サロン活動のお知らせは、毎週、地域や仮設住宅を歩いて手渡しで配布。被災地域の方々とお話をする機会、また、暮らしを目の当たりにする機会にもなった。)

QRコード 東京ボランティア・市民活動センター ホームページ
サロン活動などで聞かれた被災者の声は、こちらからお読みいただけます。

 

--5【Information(年頭所感/ 東社協トピックス/東京の寄附のカタチ/ 東社協の本)】

年頭所感
地域共生社会に向け、さらなる協働をひろげる
新しい年の初めに皆様にご挨拶を申し上げます。
まず、昨年元日に起きた能登半島地震および、9月の奥能登豪雨で被災された方々に、改めて心からのお見舞いを申し上げます。本会では会員をはじめ関係機関・団体のご協力のもと、石川県内に設置された災害ボランティアセンターの運営支援や東京から初めてとなる災害福祉派遣チームの派遣、ボランティアによる被災者支援プログラムなどを行いました。この経験をふまえ、東京での災害に備えた平時からの地域づくりとともに、外部支援の受援体制づくりを、さらに推進して参ります。
さて、本会では、令和7年度から新たな5か年の中期計画をスタートさせる予定です。「東京らしい多様性を活かした地域共生社会」という本会のビジョン実現に向けて、幅広い関係者の皆様と力をあわせ、福祉の分野や領域を越えた協働をさらにひろげてまいります。
引き続き、ご支援をいただきますようお願い申し上げます。
(写真 東京都社会福祉協議会 会長 木村 惠司)


東社協トピックス
「令和6年度 地域福祉フォーラム 東京力×無限大」開催のご案内
今年度は「みんなで業務改革(トランスフォーメーション)~明日からできるデジタル化~」をテーマに、社協業務のデジタル化について、基調講演・シンポジウム(実践報告)を行います。詳細は 東社協ホームページをご覧ください。みなさまのご参加をお待ちしています!
【日時】2025年2月1日(土)14:00~16:30
【開催方法】オンライン(zoomミーティング)
【参加費】無料
【対象】地域福祉に関心のある方は誰でもOK
【参加申込】QRコードよりお申込ください
【問合せ先】地域福祉部 地域福祉担当 電話03-3268-7186

QRコード 東京都社会福祉協議会 ホームページ 「令和6年度 地域福祉フォーラム 東京力×無限大」開催要綱

第73回東京都社会福祉大会を開催
2024年12月24日(火)に東京都、東京都共同募金会、東京都社会福祉協議会の共催により、東京都社会福祉大会が開催されました。当日は、東京の社会福祉の発展に功績のあった400名54団体に、表彰状・感謝状が贈呈されました。 東社協会長表彰・感謝の受賞者名と功績概要は本会ホームページよりご覧いただけます。

QRコード 東京都社会福祉協議会 ホームページ 第73回東京都社会福祉大会開催報告ページ


東京の寄付のカタチ
東洋文庫ミュージアム/オリエント・カフェ/六義園への障がい者招待イベント
日東工器株式会社

今回の招待は、以前に障害のある方々を美術館に招待してとても喜ばれたことがあるという社長の経験から、開催に至りました。参加の申込みをされた全員が参加できるよう調整され、障害者施設の利用者・付添者250名が展示鑑賞・お食事を楽しまれました。参加者からは「食事付きだと参加しやすい」「またこういった機会があれば参加したい」という声が届いています。

東京善意銀行では社会福祉施設等への寄附のご相談を承っております。
東京善意銀行 検索
(写真 東洋文庫ミュージアム)


東社協の本
ご注文は 東社協図書係まで 電話03-3268-7185

私たちが中学生に伝えたい福祉の魅力
~福祉施設における中学生の職場体験 受入れハンドブック~
福祉施設が職場体験受入れの際に使える各種ツールを作成しました。福祉の魅力が伝えられる職場体験の企画にぜひご活用ください。
B5判/40頁
発売日2019.4.15
定価220円(本体200円+税10%)

見てみよう、聞いてみよう 未来を拓く福祉のしごと
福祉を知りたい中学生などのあなたへ
特別養護老人ホームや障害者支援施設など、さまざまな福祉分野の職場で働く職員に取材をし、仕事の魅力ややりがい、1日の仕事内容を紹介しています。
B5判/36頁
発売日2022.4.14
定価440円(本体400円+税10%)

【DVD】今すぐ役立つ! 感染症予防
施設等での集団感染を防ぐための手順や対応を映像で分かりやすく説明しています。
収録時間 基礎編:約13分30秒/対応編:約13分
発売日2017.9.29
定価1,320円(本体1,200円+税10%)

 

--6【くらし今ひと】
「聞こえるけど、聞き取れない」を、まずは知ってほしい

LiD/APDと呼ばれる、「音は聞こえるけど聞き取れない」といった困難を抱える一人として、当事者会イムアの活動をはじめ、エルアイディー/エーピーディーの社会的な認知度向上に向けて取り組む添田洋美さんにご自身の経験や活動への思いをお伺いしました。

“ 聞き取れない”と向き合うまで
聞こえているのに、聞き取れない。音声を言葉として聞き取るのが困難な症状(エルアイディー/エーピーディー)が、私自身に当てはまるとわかったのは大人になってから。思い起こせば小中学生の時も聞きづらさを覚えることはありましたが、教科書ベースの授業ではそこまで困ることもなく、「ほかの子もそうだろう」と周囲との違いを考えることもありませんでした。ただ高校生になると、複数人での会話についていけないことや電話を受けても聞き取れないこと、授業が聞き取れないことで学業に支障が出るなど違和感は大きくなる一方、聴力検査では異常が見つからず、そのままやり過ごしてきました。
そんな違和感がトラブルとして表出したのは、美容師として働き始めた時。流水音やドライヤーなどの生活音が溢れる中で、お客さんとの会話がうまくいかないことや、指示が聞き取れないことなどがありました。仕事を変えても同様なことが続き、そこで初めてやり過ごしてきた自分の聞き取りづらさと向き合うことになります。思い当たる症状をネットで検索すると「エルアイディー/エーピーディー」に行き着き、それから啓発などにも取り組む耳鼻科医と出会い、自分がエルアイディー/エーピーディー当事者であることが分かりました。それが2021年、まだ3年前のことになります。

悩みや困難をともにしながら、前にすすむ
当事者会に参加するようになり、その経験から東京を拠点とする「エルアイディー/エーピーディー当事者会イムア」を2022年に始めました。定期的な交流会や日常的なオープンチャットの場などを通じ、参加者の悩みや困りごとを共有しながら、これからについて考える場をめざしています。私と同じように、大人になってからそれまで感じてきた生きづらさがエルアイディー/エーピーディーによるものと気がつく人が多く、授業を理解できずに行き詰まり、退学を選択した参加者もいます。交流会には都外から足を運んでくれる人もいて、この場に参加した人が笑顔になって帰ってもらえることを大切にしています。

一人ひとりが知ることから、変わっていく
エルアイディー/エーピーディーの診断基準が設けられるなど国内での研究はすすんでいますが、社会の認知度は低く、誤った情報もネット社会には流れています。とりわけ、教育現場の認知は重要で、子どもたちの周囲にいる大人が気づき、必要な配慮や支援を講じていかなければなりません。取組みの地域差は大きく、子どものSOSをキャッチした保護者が教育現場や自治体へ声を上げているのが現状です。「聞いていない」「集中していない」、そうした“知らない”ことによる誤認や対応は、当事者やその家族の疎外感や孤立につながっていきます。一人でも多くの人がエルアイディー/エーピーディーを知り、そして周囲の理解と配慮の中で、当事者がエルアイディー/エーピーディーとともに生きていけるように。まずは知ってほしい、ただそれだけです。

エルアイディー/エーピーディーとは?
「聞こえているのに、聞き取ることが困難である状態」について、日本では聴覚情報処理障害(APD:Auditory Processing Disorder)として長く認知されてきた一方、海外では「聞き取り困難症」(Listening difficulties)という言葉が使用されてきました。こうした経緯から、現在、国内ではエルアイディー/エーピーディーと表現されています。
参考:日本医療研究開発機構(AMED)ホームページ
QRコード エルアイディー/エーピーディー当事者会イムア ホームページ

(写真 エルアイディー/エーピーディー当事者会イムア 代表 添田洋美さん)
エルアイディー/エーピーディー当事者として、東京を拠点とした当事者団体の代表を務めている。趣味はフラダンスで、団体名の「イムア」もハワイ語から。

以上で、福祉広報2025年1月号を終わります。

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