【表紙】(写真)
町田市成瀬台にある「みんなの居場所 陽だまりカフェ」。コーヒーや軽食が楽しめ、さまざまなイベントも毎日のように開催され、多世代がつながる集いの場です。写真は和菓子教室の先生と参加者との一枚。
p.2 ●社会福祉NOW
それぞれの女性支援と、これからの協働
~「分野を超えて、考えるフォーラム」開催レポート~
p.4 ●み~つけた
住民同士の交流をきっかけに、持続可能な地域づくりを発信
みんなの居場所 陽だまりカフェ(町田市)
p.5 ●連載 安心できる生活を“すまい”から【第1回】
「新時代」の居住支援の幕開け
日本大学 文理学部 社会福祉学科 教授 白川 泰之さん
p.6 ●福祉のおしごと通信
食を通じて、子どもたちの興味や関心をさらに広げていきたい
社会福祉法人聡香会 きたしば保育園 管理栄養士 リーダー 三宅 晴子さん
p.7 ●Information
「福祉人材確保への取組み」フクシロウレター/マンスリーニュース/ 東社協トピックス/ 東社協の本
p.8 ●くらし今ひと
ビジネスで地域課題を解決する、みんなが「助けられ上手」な社会になればいい
株式会社Wellsideランドリー 代表取締役 山田 麻理子さん
【目次】
1社会福祉NOW
2み~つけた
3連載 安心できる生活を“すまい”から 第1回
4福祉のおしごと通信
5Information(東京の寄附のカタチ 遺贈を活用した施設への助成金「かみつぐ助成金」/マンスリーニュース/ 東社協トピックス/ 東社協の本)
6くらし今ひと
--1【社会福祉NOW】
それぞれの女性支援と、これからの協働
~「分野を超えて、考えるフォーラム」開催レポート~
東社協では2025年3月、女性支援に関するフォーラムを開催しました。
「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(「女性支援法」)」施行から約1年が経ち、それぞれの支援現場の現在地とこれからの協働を語り、考える場となりました。
女性の権利の尊重やエンパワメント、ジェンダー平等の推進を再確認する「国際女性デー」の3月8日、 東社協では、フォーラム『それぞれの女性支援と、これからの協働』を開催しました。2025年度からの新たな 東社協中期計画のキーワードである“協働”を推進するため、 東社協「児童・女性福祉連絡会」※1との共催です。
「女性支援法」が2024年4月に施行されて約1年を迎える中、法が生まれた背景や意義、さまざまな支援現場からみえる女性たちの状況などを学びながら、女性支援を一緒に考える場として企画しました。当日は、さまざまな分野の福祉施設、自治体、相談機関のほか、大学生や一般の方も含め、100名近くにご参加いただきました。
講演「新たに生まれた女性支援法とは?」
第1部では、お茶の水女子大学 名誉教授の戒能(かいのう)民江さんより、「新たに生まれた女性支援法とは?」と題した講演をいただきました。女性支援法は、支援現場の切実な声をもとに、脱売春防止法化と、新たな女性支援の枠組みの構築を目標に、超党派の議員立法として2022年5月に成立しました。女性を「保護更生」の対象ではなく「支援」対象とする新法成立まで、66年もの年月がかかりました。その背景には、社会の無関心や女性の人権軽視があり、人権問題として政治課題にはあげられなかったのです。法成立後、基本方針が示され、都道府県基本計画が策定され、新法施行から約1年となりますが、自治体や支援現場での取組みも、市民への周知も、十分とはいえないのが現状です。
戒能さんは「女性は、性被害や予期せぬ妊娠等のリプロダクティブヘルス・ライツ※2の侵害、社会経済的困難等を受けやすく、また若年女性やDV被害者等は支援が必要でも相談へのハードルが高い状況です。これらは個人の問題でなく『女性であることにより』直面しやすい困難であるという見方への転換が必要です。こうした背景のもと、新法では『女性福祉』の構築がうたわれています」と話します。
女性支援法の基本理念に、「当事者中心主義の支援」と、「民間と行政の協働による支援」が位置づけられたことも大きなポイントです。戒能さんは「困難に直面した女性自身を真ん中にした支援への意識改革が必要です。視野を広げて、困難が起こる背景を社会の問題と捉え、協働で取り組みましょう」と語り、会場からも大きな拍手が起こりました。
(写真 講演で、女性支援法の現状と今後の協働を語る戒能民江さん。)
クロストーク「それぞれの女性支援と、これからの協働」
第2部は、女性自立支援施設慈愛jiaiの施設長、熊谷真弓さんをファシリテーターに、4人のゲストスピーカーを迎えてクロストークを実施しました。熊谷さんは「新法でも民間と行政の協働が求められています。それぞれの取組みをしっかり聴き、“協働”の芽を探しましょう」と口火を切りました。
まず、女性自立支援施設「いずみ寮」施設長の横田千代子さんが、旧売春防止法に基づき「管理」が役割とされた旧婦人保護施設で勤務した約40年を振り返ります。「当事者と接するなかで、性被害からの回復、人権尊重が最も重要だと感じてきましたが、これまでの法制度では施設として支援に取り組みたくても限界がありました。地域や同じ女性から偏見の眼差しを向けられることもありました。しかし、新法では女性の福祉や回復支援について明文化がされました。多様な関係者や市民と、やっと私たちが『手をつなぐことができる』のが今回の法律なんです」と話します。
続いて、アフターケア相談所「ゆずりは」所長の高橋亜美さんが、取組みや現状を語ります。「ゆずりは」は、児童福祉法の社会的養護自立支援拠点事業に依拠し、親や家族などの身近な人を頼れず、子ども時代に虐待等で苦しい思いをした方たちを、年齢や性別、障害の有無などによらずサポートしています。「女性だけが支援対象でない私たちも、今日の議論に加われることを嬉しく思います。ゆずりはで出会う方の中でも特に、幼少期から家庭で性虐待を受けた方たちの、トラウマの強さや苦しみの深さを目の当たりにしています。専門の医療機関も少なく、回復には相当な困難があります。また、こうした方たちを支える、女性相談支援員など女性支援の職に就く人の8割が非常勤であることも問題で、待遇改善が必要です」と語ります。
児童福祉法上の社会的養護施設で唯一、親子で一緒に生活できる母子生活支援施設の立場から、「リフレここのえ」の施設長、横井義広さんが語ります。母子生活支援施設の入所理由の半数以上がDV被害であることをふまえ、「入所する母には、①DVによる傷つき②母自身がきちんと育てられていないという傷つき③子どもを産み、離婚したこと等、母に向けられた社会一般の『自己責任論』という傷つきの『3つの傷つき』があります。安心して住める場を提供しつつ、子と母それぞれに寄り添い、生活再建に向け総合的に支援する中で、自分自身で納得できる人生に出会えることをめざしています」と話します。
次に、地域の中でDV被害や生活困窮女性の自立支援に取り組むNPO法人「くにたち夢ファーム Jikka(ジッカ)」の責任者である遠藤良子さんは、「DVの被害者支援では、安全のため隠して逃がすことが一般的ですが、被害者が長く逃げ続ける状況に疑問を感じ、“開いた居場所”としてJikkaを運営してきました。DV防止法下での支援の限界も、女性支援法で超えられます」と言います。また、知的障害を持ち、幼少期から家庭で性被害を受け、障害や社会的養護などさまざまな施設を転々とせざるを得なかった、女性として尊重もケアもされてこなかった方の事例を紹介します。「この方はまさに『女性福祉』の対象者だと感じます。『当事者中心』を掲げる女性支援法に沿って、彼女が自分のことを考えられるように、支援しています。さまざまな福祉の現場において、女性支援の理念が実現されるべきです」と語ります。
(写真 クロストークの一コマ。登壇者の熱い思いに会場の共感が生まれます。)
それぞれの取組みや想いを受け、今後の“協働”を考える中で、横田さんは「支援対象が違っても抱える背景は共通であり、社会問題と捉えて取り組む必要があります」と言います。横井さんは、緊急一時保護の実施や「東京都妊産婦等生活援助事業Frill(フリル)」の運営もふまえ、「ジェンダーの課題や家庭の中で女性に求められる役割の中に、生きにくさにつながる問題があります。単身か母子か、妊娠中かなどの状態によらず、女性が必要な支援を得られるよう、関係者のより一層の連携が必要です」と認識を語ります。
高橋さんは「困難な状況で妊娠した時、まず『妊娠してすみません』と謝らざるを得ない状況は問題です。そうではなく、本人に寄り添える社会にしたいと思います。孤立せず人とつながるための支援が必要だと考えているため、今後、Jikkaさん同様、困難を抱える方が街の人とつながり、支援者も抱え込みすぎない“半開き”のシェルターを開設予定です」と言います。遠藤さんは「多様な背景の方を支援する中では、さまざまな分野の人、行政との協力が欠かせず、そうして私たちもつながりをつくってきました。人間は総合的に生きており、総合的に支援する視点が必要です。一人の当事者が多くの機関をつなげてくれます。女性支援法を使う人たちが、社会を変えていってほしいと思っています」と力強く語りました。
現場の想いや取組みを受け、少しずつ新法の理念が萌芽し、社会の変化の兆しが見える中、参加者一人ひとりが今後の協働を考える場となりました。詳細は、 東社協ホームページに公開した、当日の動画をぜひご覧ください。
フォーラム動画URL ※視聴期間 5/8〜6/8
https://www.tcsw.tvac.or.jp/2025-josei_cothink-forum.html
(QRコード フォーラム動画)
※1) 東社協 児童・女性福祉連絡会… 東社協の会員施設が所属する児童や女性の支援に関わる5つの部会で構成され、情報共有や調査研究、施策提言等を行う連絡会。
※2)リプロダクティブヘルス・ライツ…「生と生殖に関して保障される健康と権利」。1994年にエジプト・カイロで開催された国際人口開発会議で提唱され、発展してきた概念。
--2【み~つけた】
住民同士の交流をきっかけに、持続可能な地域づくりを発信
町田市 みんなの居場所 陽だまりカフェ
住民同士が交流する場をつくりたい
町田市の東部に位置する成瀬台。町田市の中でも一、二を争うほど高齢化がすすむこの地域に、「みんなの居場所 陽だまりカフェ」があります。ここを運営するのは安達毅さんと聡子さん夫婦です。聡子さんは「私がケアマネとして働いていた頃、孤立した高齢者が多く、コミュニティが希薄化したこの地域の課題を感じるようになり、多世代が集える常設の場所が必要だと思い、一念発起してカフェ立ち上げを決めました」と、きっかけを話します。
カフェ立ち上げを決めた当初は、二人とも仕事をしていたこともあり、説明会を実施して一緒に運営してくれるボランティアを募りました。集まったボランティアを“陽だまりさん”と名付け、店番と見守り役を任せることにして、2022年に陽だまりカフェをオープンしました。コーヒーや軽食が楽しめるカフェと、和菓子教室や映画観賞会、子ども会の集会など、地域のさまざまな人たちが交流できるイベントも毎日のように開催されています。安達さん夫婦から発信されるイベントもありますが、陽だまりさんの特技やつながりからイベントに結びついたものも多数あり、ここの特徴のひとつになっています。毅さんは、「来てくださる方に『ここを作ってくれてありがとう』とよく言われるのですが、私たち自身が楽しんでやっていることに感謝していただけるなんて、こんな嬉しいことはないですね」と話します。
多世代がつながる場からまちづくりへ
陽だまりカフェでは、たくさんの人が利用できるようにカフェとイベントのスペースを仕切らないオープンな空間にしています。イベントは毎回予約で埋まっているほど大盛況で、イベントの参加者だけでなく主催する地域の方にとっても、ここでの活動が生きがいになっているといいます。聡子さんは「地域には、街のために何かしたいと思っている人、スキルや活かせる経験がある人など、たくさんの人材が眠っているんだと感じました。イベントを通じて、地域の可能性を掘り起こして一緒に盛り上げていきたいです」と話します。
地域の人たちとつくりあげてきた陽だまりカフェもオープンから3年が経ちました。聡子さんは、陽だまりカフェの運営で培ったノウハウを広く伝えていきたいといいます。多世代が生き生きと暮らし続けられる街のために、さまざまな人がつながる“仕掛け”と、交流の“きっかけ”を、これからも発信していきます。
みんなの居場所 陽だまりカフェ
場所:町田市成瀬台3-8-1
問合せ先:☎080-6406-8929
(写真 みんなの居場所 陽だまりカフェ 町田市)
(QRコード みんなの居場所陽だまりカフェ ホームページ)
--3【連載 安心できる生活を“すまい”から 第1回】
「新時代」の居住支援の幕開け
日本大学 文理学部 社会福祉学科 教授 白川 泰之さん
足立区居住支援協議会や「居住支援協議会伴走支援プロジェクト」の委員等をされている。
さまざまな事情から住まいの確保に特に配慮を要する「住宅確保要配慮者」。社会変化に伴い、その属性や状況、ニーズ等は多様化しています。この間、住まい支援に関する法改正がすすみ、「住宅」と「福祉」分野が連携して取り組むことが求められています。本連載では、居住支援の現場を取材し、課題や必要な取組みを明らかにしていきます。第1回目の今号では、教授の白川泰之さんに「居住支援のこれからと今後」について寄稿いただきました。
住宅と福祉の新たな局面
住宅確保に課題を抱える人々への対応について、社会福祉政策と住宅政策との関係は、2022年の12月に大きな転機を迎えました。「全世代型社会保障構築会議」の報告書の中で、地域共生社会の実現のために取り組むべき課題として、「住まい政策を社会保障の重要な課題として位置づけ」ることが明記されたのです。さらに、厚生労働省、国土交通省、法務省の三省合同で設置された「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会」が2024年2月に中間とりまとめを行い、「福祉施策と住宅施策が緊密に連携し、相談から住まいの確保、入居後の支援までの一貫した総合的・包括的な支援体制」の構築を基本的方向性として掲げ、具体的な取組みを列挙しました。
その後、生活困窮者自立支援法等や、いわゆる住宅セーフティネット法が改正され、居住支援の充実が図られることになりました。日々の相談支援業務で支援対象者の「住まい」の問題解決に迫られ、苦労された経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。これからは、住まいの問題は住宅政策と社会福祉政策の共通の政策課題として受け止め、その解決に向けた連携が大幅に強化されることになります。住まいを確保し、さらに入居後の暮らしを一体的に支える居住支援が新たなステージに入ったのです。まさに、新時代の幕開けです。
関係改正法の概要
社会福祉の分野では、まず、生活困窮者自立支援法において、自立相談支援事業で新たに「居住」に関する相談支援が位置付けられました。また、一時生活支援事業は「居住支援事業」に改称されるとともに、そのうち必要があると認めるものを行うことが努力義務となりました。また、社会福祉法では、重層的支援体制整備事業について、居住支援協議会等と緊密に連携しつつ、居住の安定の確保のために必要な支援を行うよう努めることになりました。
一方、住宅政策の分野では、住宅セーフティネット法が改正されました。この法律は、高齢者、障がい者、低所得者など住宅の確保に特に配慮を要する「住宅確保要配慮者」(以下「要配慮者」)の賃貸住宅への入居の促進のための法律です。同法は、これまで国土交通省の所管でしたが、法改正で多くの事項が厚生労働省との共管となり、社会福祉との結びつきが強められました。また、地域での居住支援の体制整備の核となる居住支援協議会の設置が、任意から地方公共団体の努力義務とされ、かつ、要配慮者の福祉サービスの利用に関する相談体制の整備、生活の安定及び向上の施策との連携が協議事項として追記されました。
さらに、この協議会の構成員として、社会福祉協議会など要配慮者の福祉に関する活動を行う者も条文上追記されました。特に要配慮者の暮らしを支える面で、読者の方々が相談支援の第一線で把握してきた課題やきめ細かに展開されてきた各種の事業を地域の居住支援体制の整備に還元していくことが、より一層期待されることになります。
「生きる力」を引き出す居住支援を
これまで厚生労働省や国土交通省のプロジェクトで、市町村の居住支援協議会設立のお手伝いをしてきました。その中で見えてきたのは、住まいと暮らしの安定が、ただ雨風をしのげる安心感にとどまらず、その人の生きる力を引き出すということです。もちろんケースにもよりますが、社会生活自立や就労自立につながることも珍しくはありません。また、入居前後を通じて支援に当たった社会福祉法人の施設でボランティアをするようになった高齢者など、支える・支えられるという関係も固定的ではありません。今後、地域共生社会を実現していく上で、人々の暮らしを再構築する「居住支援」は、重要なキーワードとなっていくでしょう。
(写真 日本大学 文理学部 社会福祉学科 教授 白川 泰之さん)
--4【福祉のおしごと通信】
食を通じて、子どもたちの興味や関心をさらに広げていきたい
社会福祉法人聡香会 きたしば保育園 管理栄養士 リーダー 三宅 晴子さん
保育園の管理栄養士として働く三宅晴子さん。特に力を入れているという食育や、リーダーとして心がけていることなどを伺いました。
調理師から管理栄養士へシフトチェンジ
小さい頃から食べることが大好きで、将来は食に関わる仕事がしたいと思い、調理科のある高校へ進学しました。調理師免許に向けた勉強をするうちに、食事をつくるだけでなく、おいしく健康的な食事を提案してみたいと思い、管理栄養士を志すようになりました。管理栄養士の資格が取れる大学にすすみ、管理栄養士の資格を取得後、大学病院から委託されている給食会社に就職しました。目が回るほど忙しい職場でしたが、栄養バランスや患者さんの健康状態を考えた病院食の基礎をここでとことん学びました。次第に、“正しい食”について、病気になるもっと手前の幼少期からアプローチしたいと思うようになり、会社を退職。2021年からきたしば保育園の管理栄養士として働いています。
おいしく、楽しく、食を学んでもらうために
保育園の給食づくりで心がけていることは、「見た目」「切り方」「味わい」「彩り」、そして「季節感」です。園の方針である「モンテッソーリ教育※」に基づいた食育にも力を入れています。幼児クラスでは、食べ物に含まれる栄養素を3つに色分けした「3色食品群」について学習する時間を毎日設け、その日食べた食材を子どもたちで色分けします。給食室の前にはボードが張ってあり、子どもがいつでも好きな時に学べる環境にしています。また、月1回は日本の郷土料理を提供し、メニューは園児にくじ引きで選んでもらうしくみとし、おいしく、楽しく、食を学べる機会をつくっています。こうした企画は、管理栄養士だけでなく職員全員でアイデアを出し合い、子どもたちからアドバイスをもらうことも。楽しそうな企画があったら「やってみよう!」とすぐに活動できる風土もこの園ならではだと思います。
「誤嚥リスクの防止」や「アレルギー対応」も重要な仕事です。特に乳児クラスでは、食材のサイズは細心の注意を図り、一人ひとりの食べ方や食事の進み具合、状態をじっくり観察し、切り方や献立に反映するようにしています。
※イタリアの医師であり教育家でもあったマリア・モンテッソーリ博士が考案した教育法。
食育のさらなる推進をめざして
管理栄養士としてやりがいを感じるのは、子どもたちが笑顔で「おいしかった!」と言ってくれた時です。また、食育の取組みをすることで子どもたち自ら「今日は緑が多かった」と給食の振り返りをする姿を見たり、保護者から「家でごはんを残さなくなりました」という言葉をいただいたりした時には、やって良かったと心から思います。
保育園の管理栄養士の仕事というと閉鎖的なイメージがあるかもしれませんが、常にコミュニケーションが活発な明るい職場です。そんな雰囲気だからこそ、甘えることなく「食育や給食活動はみんなの協力があってこそ成り立っている」と自覚して、管理栄養士のリーダーとして、日頃からコミュニケーションを取りながら柔軟に行動していけたらと思っています。
食に興味をもってくれる子どもがさらに増えるように、「子どもたちからも、職員からもオープンな給食室」をモットーに、これからも活動していきたいです。
(写真 社会福祉法人聡香会 きたしば保育園 管理栄養士 リーダー 三宅 晴子さん)
--5【Information(「福祉人材確保への取組み」フクシロウレター/ マンスリーニュース/ 東社協トピックス/ 東社協の本)】
「福祉人材確保への取組み」フクシロウレター
児童養護施設・自立援助ホームのお仕事セミナー&合同就職説明会を開催しました!(東京都福祉人材センター)
2/9(日)に 東社協児童部会の協力のもと、セミナー・合同就職説明会を開催しました。
介護分野や保育分野に特化した就職イベントが多い中、福祉にはさまざまな分野や職種の仕事があることを伝えていくことも人材センターの大事な役割であると考えています。今後も、関係する施設や団体と連携を図りながら、さまざまな取組みを展開していきます。
東京都福祉人材センターの取組みやイベント情報については、随時ホームページでお知らせをしております。
(写真 当日は141名の方にご参加いただき、大盛況となりました!)
(イラスト 東京都福祉人材センター キャラクター「フクシロウ」)
(QRコード 東京都福祉人材センター ホームページ)
マンスリーニュース 2025.3.26~4.25
ピックアップ
(3/27)認定資格「こども家庭ソーシャルワーカー」、合格率90%
一般財団法人日本ソーシャルワークセンターが3月9日に実施したこども家庭ソーシャルワーカー資格認定試験の結果が公表された。第1回となる2024年度は、受験者781人に対し合格者が703人、合格率は90%となった。
(3/4)幼保連携型認定こども園の学級人数、基準見直し
こども家庭庁は、幼稚園における学級人数の見直し方針を示していることをふまえ、幼保連携型認定こども園の学級人数についても原則35人から30人に引き下げるよう、基準を見直す方針を示した。
(3/18)介護職の基本給4.6%増加
厚生労働省が公表した2024年度介護従事者処遇状況等調査によると、介護職員等処遇改善加算を取得している施設・事業所における介護職員の基本給が、前年度より1万1,130円(4.6%)増加し、月の平均給与も1万3,960円(4.3%)増加したことがわかった。
東社協トピックス
● 東社協 新会員のご紹介
保育部会:栄光多摩平中央保育園
知的発達障害部会:福生市児童発達支援センター
身体障害者福祉部会:地域活動支援センターさくらんぼ
児童部会:自立援助ホーム ぶどうの実
東京都高齢者福祉施設協議会:特別養護老人ホーム グランてらす小平団地/あそかのぞみの郷/あそかのぞみの郷デイサービス/西尾久地域包括支援センター/東尾久地域包括支援センター
東京都介護保険居宅事業者連絡会:グループホームむつみ園/尾久居宅介護支援センター/けあぷらん世田谷/デイサービス サザンヒルズ/シャローム 本天沼/日本総合ケアサービス
情報連絡会員:Abbey Road/ひよこ訪問介護ステーション/キッズナーサリー亀戸園/特定非営利活動法人 青梅こども未来/アフターケア相談所ゆずりは/ケアサポート キラリ/かがわの家ジュピター/モナモナホーム/プルーフ/ラフカ with
東社協の本
ご注文は 東社協図書係まで 電話03-3268-7185
福祉職場の新任職員・未経験者は何に悩んでいる?
施設長・先輩職員のための定着応援ハンドブック
東社協で実施した調査やアンケートから新任職員が抱える困りごとを抽出し、「解決のためのヒント」を掲載。新任職員や現任職員の育成や定着に向けて活用できる一冊です。主に福祉施設の施設長、先輩職員の皆様にお読みいただきたいです。
◆規格 B5判・52頁
◆発売日 2022.04.04
◆定価 440円(本体 400円+税10%)
(写真 福祉職場の新任職員・未経験者は何に悩んでいる? 施設長・先輩職員のための定着応援ハンドブック 表紙)
YOSUGA
介護職の育成・介護職の魅力等の情報発信をする、若手介護職員を中心とした「東京ケアリーダーズ」が介護職の魅力を伝えるべく作成した冊子です。
◆規格 A5判・60頁
◆発売 2022.04.04
◆定価 495円(本体450円+税10%)
施設・事業所の育成取組み事例集
福祉職場のリーダーを育てよう!
リーダー層の育成のポイントと取組み事例をまとめました。
◆規格 B5判・45頁
◆発売 2024.04.23
◆定価 440円(本体 400円+税10%)
--6【くらし今ひと】
ビジネスで地域課題を解決する、みんなが「助けられ上手」な社会になればいい
「Wellside」とは「井戸端」という意味。その名のとおり、誰でも気軽に立ち寄れ、地域のコミュニティとしての役割を担うコインランドリーの発起人である山田麻理子さんにお話を伺いました。
株式会社Wellsideランドリー 代表取締役 山田 麻理子さん
「Wellsideランドリー」を運営。幼い頃から本や漫画が大好きで、ランドリー内に置く本の選定にも活かされている。
育児でコインランドリーの魅力を発見
地元大阪から上京して夫と出会い、そのまま東京の北区で暮らしています。そのため、地縁がない状態で子育てをスタートしました。いわゆる「ワンオペ育児」で困っていたときにコインランドリーを使い、その便利さに気づき、だんだんとハマっていきました。
その後、親との同居を始めたこともあり、子どもが寝た後に夫と二人で深夜のコインランドリー巡りをするのが趣味になりました。深夜だとオーナーさんに会うことはないのですが、おしゃれに特化したお店や置いてある雑誌のチョイスが面白いお店など、お店ごとに色があることに気づきました。
「コミュニティビジネス」×「コインランドリー」が実現するまで
通ううちに、「いつか自分もコインランドリーを運営したい」と思うようになり、「ビジネス」「独立」など調べるうちに「コミュニティビジネス」という言葉に出会いました。
コミュニティが生まれるようなコインランドリーをつくり他の人にも使ってもらいたいと考えたときに、人とつながる可能性があるコインランドリーは「コミュニティビジネス」の要素があるのではと思い、今のかたちへとつながりました。
私はコインランドリーは人を助けられるサービスだと思っています。時間が30分あると家ではつい他の家事をしてしまうけれど、コインランドリーではその間に手帳を書いて自分の気持ちを整理したり、スマホで動画を見たり、いい息抜きの時間になります。
その後、地域の方々の協力も得て応募した北区の「ビジネスプランコンテスト」で「Wellsideランドリー」が受賞しました。商店街に店舗を出したくて紹介してもらったのが今の店舗です。
もともとはカフェとして使われていた関係で販売窓口や台所があり、そこを上手く利用したくてレンタルスペースを設けました。勉強会やPTAの集まりなどに使ってもらったりしています。近くの中学校の体操服の取次店としても場を活用しています。将来的には、何か美味しいものを提供できるようにしたいです。すでにこの付近に2軒あるけど、コインランドリーが大好きなので、ここをコインランドリー商店街にしたいんです。
これからも「居ないけど居る」を大切に
最終的には女性向けのシェアハウス、おばあちゃんだけのシェアハウスをつくりたいです。1階にコインランドリーがあって、洗濯物をたたむサービスも提供できるようなイメージです。
育児を経験して「最後に助け合えるのは女性同士なのでは」と感じましたし、女性同士で集まったら楽しいんじゃないかなと。アイデアはいろいろ浮かんでいます。
これまでの地域活動を振り返って、周りの応援なしでは今はなかったと思います。ビジネスとしてやることで私から提案できることもあるので、うまくいかないこともあるけれど、まだまだここから広めていきたいと思っています。私は常駐はしていませんが、オーナーとして、お店に来てくれた人に「あなたが大切だよ」という空気が伝わるような場所をめざしています。
(写真 株式会社Wellsideランドリー 代表取締役 山田 麻理子さん)
(QRコード WellsideランドリーHP)
以上で、福祉広報2025年5月号を終わります。