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東京都社会福祉協議会

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福祉広報 2025年6月 797号 テキストデータ

【表紙】(写真)
「HIRAI TERRACE LOUNGE with H1T」の本棚の選書テーマは“ROOTS”。利用する人々の暮らしの根っこになるような本との出会いが生まれることへの期待が込められています。平井に縁のある方々と民間企業との垣根を超えた協創が街に広がっています。

 

p.2 ●社会福祉NOW
「東京らしい多様性を活かした地域共生社会」をめざして
~令和7年度からの新たな 東社協中期計画を策定

p.4 ●み~つけた
街の歴史が紡がれ、人々が交わる場へ
HIRAI TERRACE LOUNGE with H1T(江戸川区)

p.5 ●連載 安心できる生活を“すまい”から【第2回】
官民の密な連携体制で、安心して住み続けられる地域へ
豊島区居住支援協議会

p.6 ●福祉のおしごと通信
多職種が関わる栄養ケア・マネジメントは管理栄養士として大きなやりがい
社会福祉法人あだちの里 希望の苑 副主任 管理栄養士 丸山 峰子さん

p.7 ●Information
ぼらせん通信/マンスリーニュース/ 東社協トピックス/ 東社協の本

p.8 ●くらし今ひと
いろいろな人がいて、生き方があって、選択肢がある。そんな多様性による地域のたすけあいが根づいた社会へ
いどばた焚き火代表 阿部 華奈絵さん

 

【目次】

1社会福祉NOW
2み~つけた
3連載 安心できる生活を“すまい”から 第2回
4福祉のおしごと通信
5Information(ぼらせん通信/マンスリーニュース/ 東社協トピックス/ 東社協の本)
6くらし今ひと

 

--1【社会福祉NOW】
「東京らしい多様性を活かした地域共生社会」をめざして
~令和7年度からの新たな 東社協中期計画を策定

東社協では、「令和7~11(2025~2029)年度 東社協中期計画」を策定しました。新たな中期計画(以下、今期計画)は、 東社協が業種別部会連絡協議会の会員をはじめとする幅広い関係者からなるネットワーク組織であることをより一層重視し、関係者とともに“協働”で取り組む5か年の計画です。

東社協会員の問題意識を出発点に、改めて“協働”を強く打ち出した計画に
長く続いたコロナ禍や国際情勢悪化等の影響により、社会経済の状況はもちろん、人々の暮らしや価値観、福祉や地域をとりまく状況は目まぐるしく変化しています。また、地域においては、人と人とのつながりが弱まり、社会的孤立がより一層深刻化するとともに、地域生活課題は複雑化・複合化しています。こうした課題は、専門分化した分野ごとの制度や、一つの組織・団体だけでは対応が難しく、多様な主体がつながり“協働”で取り組むことが、これまで以上に重要になっています。
これらの背景をふまえ、 東社協・総合企画委員会の助言を受けながら検討を重ねた今期計画は、ネットワーク組織である 東社協らしい、会員や幅広い関係者とともに“協働”ですすめる計画となることを重視しました。また、これまでは3か年の計画でしたが、今期計画の期間は5年。変化する社会に機敏に対応していくため、取組みの方向性や視点をコンパクトにまとめた「取組みの柱」を示すビジョン型の計画とし、具体的な事業については、各年度の事業計画において設定していくこととしました。
今期計画のキーワードは“協働”。計画策定のプロセス自体が“協働”につながるよう、会員や各地域の民生児童委員協議会(区市郡支庁民児協)へアンケートやヒアリングを実施し、検討の出発点としたことが大きな特徴です。
アンケートなどでは、日々の実践から見えている課題や、この先5年を見据えた地域や利用者を取り巻く環境の変化といった問題意識とともに、それぞれが地域や福祉の未来をどのように描き、どのような挑戦をしているのか、 東社協という場を使って協働で取り組みたいことなどをお寄せいただきました。

中期計画の全体像と“協働”ですすめる「取組みの柱」
今期計画では、 東社協のビジョン「東京らしい多様性を活かした地域共生社会」の下、5つの「めざす地域社会の姿」を再整理しました。さまざまな人が暮らす東京ならではの「多様な価値観」「多様な主体」「多様な地域性」を活かしながら、「個別支援」と「地域づくり」を双方向で循環させ、誰もが自分らしく暮らし・支え合う地域共生社会をめざします。

(図 今期計画全体像)

そして、ビジョン実現に向け、この先5年の“協働”ですすめる「取組みの柱」として定めたものが、以下の5本です。柱ごとにそれぞれ3つの「取組み項目」を位置づけています(※以下、柱ごとの説明内の①~③を参照)。

取組みの柱 Ⅰ
つながり、支え合う地域づくり
世代にかかわらず、社会的な孤立がひろがる中、多様な主体による「①地域や社会とのゆるやかなつながりづくり」に取り組み、誰もが役割や出番を持ち、つながりを実感できる地域づくりをすすめます。特に社会福祉法人の本来機能や民生児童委員の同じ地域で暮らす生活者としての視点など、それぞれが持つ「②専門性や役割を活かした地域生活課題への対応」を重視した取組みをひろげます。また、地域を支えてきた活動のなり手不足が深刻化する中、多様な参加のあり方を提案しながら、「地域のために何かしたい」という一人ひとりの人や企業などの「③思いが参加につながる取組みの推進」を図ります。

取組みの柱 Ⅱ
包括的支援と協働のしくみづくり
分野別の縦割りの制度では対応が困難な狭間の問題や、複合的な課題などが顕在化しています。「①包括的・重層的な支援体制の構築」に向け、ライフステージなどによって支援が分断されないよう、領域や主体を超えて相互に連携して取り組みます。また、東京でこれまで推進してきた社会福祉法人による区市町村ごとの地域ネットワークを核として、「②多様な主体による協働のプラットフォームづくり」をすすめるとともに、「③地域づくりをすすめるコーディネーターの養成・活動の推進」に引き続き取り組みます。

取組みの柱 Ⅲ
暮らしの安心づくり
「①暮らしのセーフティネット支援」として、社会的に孤立しがちで生活困窮状態にある方への相談支援の他、身近な親族による支援を得られない方の身元保証や死後の葬儀等の不安に応えていく取組み、医療的ケア児や強度行動障害のある方など、現行では支援が十分とはいえない方々の地域生活支援に取り組みます。また、災害が頻発していることをふまえ、平時からの防災・減災の取組みも含めた「②災害にも強い福祉と多様なネットワークづくり」や、「③その人らしさを支える権利擁護支援」として、本人・当事者の声を聴き、その声を反映した実践や、意思決定支援や意思表明支援などに取り組みます。

取組みの柱 Ⅳ
福祉で働く人と支える組織づくり
「①多様な福祉人材の確保・育成・定着支援」として、特に、対人援助を中核とする専門性向上のためのスーパービジョン体制の構築のほか、福祉専門職の地域と協働する地域力強化のための研修、福祉業界からの離職を防ぐための「②働きやすさと誇りの持てる職場づくり」、将来の福祉人材や地域を支える市民を育てるための福祉教育や職場体験など、「③次世代に向けた福祉の人づくり」に取り組みます。

取組みの柱 Ⅴ
福祉の可視化と包摂に向けた共感づくり
「①福祉課題や福祉実践の可視化・情報発信」を通じて、多様な主体の主体形成とともに、社会福祉法人や施設・事業所の本来業務や地域生活課題への取組みに対する理解を促します。また、互いを知らないがゆえの偏見や排除を生まないよう、さまざまな「②出会いと対話による理解と共感の促進」を図り、包摂をめざした取組みをひろげます。若者の孤立の問題など、社会や時代の変化に応じて新たに生まれてくる課題を共有し、行政との相互理解も深めながら「③未来に向けた協働やソーシャルアクション」を創り出していきます。

各年度での「重点取組み事項」の設定と可視化が課題
ビジョン型の計画を実効力あるものとしていくために、各年度の事業計画において、「取組みの柱」にもとづく「重点取組み事項」をいかに具体的に設定し、PDCAサイクルを回していけるのかが問われます。令和7年度の事業計画では、業種別部会からの位置づけ等も含め、28本の取組みが設定されました。柱ごとにお互いの取組みを知り、領域を超えた新たな“協働”やネットワークづくりにつなげるとともに、それらを可視化し、広く発信していきます。
計画の推進には、幅広い関係者がそれぞれの強みを活かしながら、“協働”の第一歩をともに踏み出していくことが必要です。「東京らしい多様性を活かした地域共生社会」をめざして—。


(QRコード ※新たな中期計画の詳細は、 東社協HPからご覧ください。取組みの柱に関連する会員の声や、ヒアリング記録もお読みいただけます。)
(QRコード ※令和7年度事業計画に位置づけた「重点取組み事項」は、こちらからご覧ください。)

 

--2【み~つけた】
街の歴史が紡がれ、人々が交わる場へ
江戸川区 HIRAI TERRACE LOUNGE with H1T

街が変わっていくことを楽しんでいきたい
「平井って地味でなにもない街だからこそ、包容力があるんです」。こう話すのは2025年4月江戸川区平井駅前にオープンしたマンション内にある『HIRAI TERRACE LOUNGE with H1T』(以下、ラウンジ)のライブラリ選書を手がける、書店『平井の本棚』オーナーの津守恵子さん。ライブラリには新しい本だけでなく、古本も置いています。ラウンジが街に根づき長く利用してもらえる場所になるよう、種まきの意味でも歴史を感じられる古本の力を借りているとのこと。マンションの開発・販売を担う野村不動産株式会社の水﨑裕也さんは、「ラウンジが、もともとこの地域に住んでいる人と新しくこのマンションに住む人をつなぐ役割になれたらと思います。平井の雰囲気を大切に、街になじむような場所になるように何度も相談しました」と言います。地域貢献集会室としての顔もあり、休日は町会の会議などでも利用されているそうです。
これまで『平井の本棚』ではさまざまなイベントが開催されてきたのですが、そのなかで「再開発で街の様子が変わり、災害時に孤立するのではないか」といった住民の不安が寄せられていました。「せっかくなら街の変化を楽しみにできたら」と思った津守さんは、イベントに参加していた当時の野村不動産の担当者にさまざまな“しかけ”を提案。そして、工事現場の仮囲いに子どもや障がいのある方々などが協働して大きな金魚を描く壁画プロジェクトを実施しました。「この協働の経験から、津守さんたちなら街の歴史を学んだり、人々が交わったりできる場所にしていただけるのではとラウンジのディレクションを依頼しました」と水﨑さんは言います。

多様な街の姿を感じられる場に
また、津守さんら平井に縁のある人々が集まって『ブリコルひらい』という街の情報誌を制作しています。そのメンバーの一人である内海皓平さんがラウンジのアートディレクションを担当しました。人々が街に根ざしていけるようにと、ラウンジには平井エリアのマップや街の文化や歴史にちなんだオブジェも設置しています。ラウンジ利用者がライブラリを見て『平井の本棚』に遊びに来ることもあり、住民のゆるやかな回遊が街に広がっています。「本は変わらず残っていくものです。それは街の歴史が層になっていくことと似ているなと思います。本や本棚を通して街のさまざまな面を伝えられたら」と内海さんは語ります。

HIRAI TERRACE LOUNGE with H¹T
場所:江戸川区平井5-17-1 プラウドタワー平井2階
営業時間:平日8:00~20:00

(写真 HIRAI TERRACE LOUNGE with H1T 江戸川区)
(QRコード 書店『平井の本棚』についての詳細)

 

--3【連載 安心できる生活を“すまい”から 第2回】
官民の密な連携体制で、安心して住み続けられる地域へ
豊島区居住支援協議会

(写真 (前列左から)としまNPO推進協議会 柳田 好史さん、豊島区都市整備部住宅・マンション課 佐々木 枝里子さん、住宅・都市問題研究所 吉岡 祐代さん、まち処計画室 小口 優子さん/(後列左から)豊島区福祉部福祉総務課入居相談グループ 山本 康介さん、豊島区都市整備部住宅・マンション課 戸田 圭亮さん、豊島区福祉部福祉総務課入居相談グループ 玉井 俊行さん)

(QRコード 豊島区居住支援協議会)

住宅の確保が難しい住宅確保要配慮者に対し、地方公共団体、居住支援団体、不動産関係団体等で構成され、それぞれが連携しながら住まいの支援を行う居住支援協議会(以下、協議会)。今号では、東京都内の中でも2番目に早い2012年に協議会を立ち上げ、今年で14年目となる豊島区居住支援協議会の取組みを取材しました。

相談窓口を福祉部に移管
民間の賃貸アパートやマンションに暮らす単身高齢者の割合と、空き家率が23区で最も高い豊島区。空き家の解消と居住支援への活用を目的に豊島区居住支援協議会が設立されました。協議会の事務局は、豊島区から住宅・マンション課と福祉総務課、NPO法人、住宅と都市問題の専門家として住宅政策コンサルタントの三者共同で運営しています。

(図 豊島区居住支援協議会の概要)

協議会の設立当初を振り返り、豊島区住宅・マンション課の戸田圭亮さんは「当初、区の入居相談に関する窓口は庁内の住宅課にありましたが、業務を行ううちに入居前だけでなく、福祉的な支援が必要なケースが増えていきました」と話します。そして、2021年に区の相談窓口を福祉部の福祉総務課に移し、区と協議会の入居相談の窓口を一本化しました。

支援団体との連携体制
協議会では、居住支援に取り組む区内外のNPO法人や民間業者等に働きかけ、協力団体として登録してもらう登録制度を設けています。事務局メンバーで中間支援組織の、としまNPO推進協議会代表理事の柳田好史さんは「現在、登録団体は17団体で、あえて登録制度をとり“ゆるやかな連携”というスタンスで協力体制を築いています」と説明します。としまNPO推進協議会に加わるまち処計画室の小口優子さんは「高齢者、障害者、低所得者などさまざまな分野で支援に携わる団体に登録いただき、多様なニーズへの幅広い対応が可能になっています」と話します。入居相談窓口を担当する豊島区福祉部福祉総務課の玉井俊行さんは「圧倒的に単身高齢者からの相談が多い。今のところ、居住地区を問わないならほぼすべてのケースで住まいの確保が可能になっています」と手ごたえを話してくれました。

“居住支援”への理解促進のために
協議会では、国の「住宅セーフティネット制度」に先駆けて2013年から豊島区独自のポータルサイト「としま居住支援バンク」を運営。また、住まいを提供する不動産事業者やオーナーを対象に、居住支援制度のしくみや理解促進のための「居住支援セミナー」を年に1回行っています。2022年に作成した「としま居住支援ガイドブック」を2024年に改訂。住まいに困っている方や居住支援団体、不動産事業者やオーナー向けにも参考になる内容になっていて、居住支援の普及啓発活動もすすめているところです。戸田さんは「現在、『としま居住支援バンク』の空き家登録数が15戸となかなか伸びていかないのが現状。不動産事業者やオーナーにも、協議会としてどう支援できるか引き続き検討したい」と今後の課題を話します。住宅政策コンサルタントで住宅・都市問題研究所の吉岡祐代さんは「住宅の専門家として、住まいの支援をこれからも続けていけたら」と話します。最後に柳田さんは「住むところがなければ人は生きていけません。住まいの確保だけでなく、安心して住み続けられるためのサポートを検討していくことも協議会の重要な役割です。これからも住まいに困っている方々の一番の味方になれるよう、支援を続けていきたいです」と語ります。
誰もが安心して地域で暮らし続けるために、豊島区居住支援協議会はこれからも、住宅分野と福祉分野の両面からさまざまな支援の輪を広げていきます。

(QRコード 2019年7月号のNOWにて豊島区居住支援協議会に取材した記事はこちらからお読みいただけます)

 

--4【福祉のおしごと通信】
多職種が関わる栄養ケア・マネジメントは管理栄養士として大きなやりがい
社会福祉法人あだちの里 希望の苑 副主任 管理栄養士 丸山 峰子さん

障害者支援施設で管理栄養士として働く丸山峰子さんに、管理栄養士をめざすきっかけや、副主任として職場で心がけていることなどをお聞きしました。

父親の病気がきっかけで栄養士へ
両親が足立区で飲食店を営んでいて、幼い頃から食に対して関心があり、食べることも大好きでした。高校生の時に父親が糖尿病を患い、食事療法で少しでも長生きしてほしいと思い、栄養士をめざすようになりました。短期大学で2年間学んだあと栄養士になり、その後、大手企業の事業所の社員食堂で栄養士として現場で働きながら勉強し、管理栄養士への道を切り開きました。結婚を機に企業を退職、社員食堂を辞め、地元の学校給食の栄養士として非常勤で働き始めました。そこでは、調理や配膳、食器洗浄は外部へ委託し、献立作成や食材発注などを担当しました。管理栄養士として、成長期の子どもたちに必要な栄養素をバランスよく満たした献立づくりや食育などが求められ、それまで献立作成に関わることがなかったので、とても勉強になりました。8年間働いた後、スキルアップをめざし転職を決意。2004年にあだちの里に入職しました。

専門職としてかかわる栄養ケア・マネジメント
最初は法人内の通所施設に配属され、障害者支援施設「希望の苑」が2007年に開所するタイミングで異動しました。同じ頃、障害者支援施設で栄養ケア・マネジメントが導入されました。栄養ケア・マネジメントとは、看護師や生活支援員などの多職種が関わり、ご利用者の栄養状態を確認しながら一人ひとりの栄養管理を行うことです。関連する栄養ケア計画書などの作成に必要なソフトの検討、職員との連携体制の整備、ご利用者の家族への説明など、時間をかけて準備していきました。忙しい日々でしたが、施設の立ち上げに関われたことはいい経験になったと思います。その後いくつかの異動を経て、2023年に希望の苑に再び戻りました。献立作成や調理等の実務は外部へ委託していますが、献立決定前の会議を行い、ご利用者の障がいの特性や嗜好に合わせたメニューを協議するほか、栄養ケア・マネジメント業務を中心に行っています。
栄養ケア・マネジメントは、管理栄養士だけでは成り立たない業務で、ご利用者の身体状況を把握している看護師や、毎日の食事量や嗜好などをよく知る生活支援員とのコミュニケーションは欠かせません。十分な情報共有を行いながらご利用者一人ひとりの状況に応じたきめ細かな栄養ケアを心がけています。持病がある方や高齢化による誤嚥性肺炎などで入院する方も多くなっているため、健診結果をもとに、嘱託医、看護師、生活支援員、栄養士でカンファレンスを行い、ご利用者一人ひとりの課題を多職種で検討しています。年2回、ご利用者家族との面談に栄養士として参加できることも有意義で、専門職としてやりがいを感じています。

働きやすい環境整備は役職者の役割
入職して22年目になりました。各事業所に配置されている4人の栄養士の取りまとめ役と副主任の役職を任されています。私が思う“いい施設”は、一人ひとりが積極的に動き、生き生きと働いているところ。役職者として、その環境づくりを率先してやることが大切だと考えています。何か悩んでいる職員がいたらすぐに声をかけ、自分が忙しい時も相手の話を丁寧に聴くなど、風通しのよい雰囲気づくりを日頃から心がけています。これからも、多職種でタッグを組みながら、質の高い栄養ケアにより、ご利用者の生活を支えていきたいと思います。

(写真 社会福祉法人あだちの里 希望の苑 副主任 管理栄養士 丸山 峰子さん)

 

--5【Information(ぼらせん通信/ マンスリーニュース/ 東社協トピックス/ 東社協の本)】
ぼらせん通信
ボランティア・市民活動支援総合基金「ゆめ応援ファンド」の贈呈式を行いました!(東京ボランティア・市民活動センター)
「ゆめ応援ファンド」とは、当センターが地域住民や民間団体のボランティア・市民活動に対し必要な資金を助成するものです。今年度は多様な領域から89件の申請があり、23団体に助成を行いました。
今年度も11月から募集を開始いたします。ボランティア・市民活動団体の皆さん、市民活動を推進している皆さん、ご応募お待ちしております!

東京ボランティア・市民活動センターのホームページでは、ボランティアや講座情報等を掲載しています。

(写真 贈呈式には過去最多の20団体が出席。積極的に情報交換をされ、活気あふれる時間となりました!)
(イラスト 東京ボランティア・市民活動センター)
(QRコード 東京ボランティア・市民活動センターHP)

マンスリーニュース 2025.4.26~5.25
ピックアップ
(5/9)「子どもの朝の居場所を確保する施策」こども家庭庁が調査
こども家庭庁が全国の市区町村を対象に行った「子どもの朝の居場所を確保する施策」に関する調査結果によると、実施および検討している自治体は約3%であった。居場所や運営する人材の確保が難しい等、取組みをすすめる上での課題も明らかになった。

(5/9)福祉人材確保専門委員会を設置、初会合が行われる
厚生労働省は社会保障審議会福祉部会に「福祉人材確保専門委員会」を設置。2040年に向け、必要な介護サービスを安心して受けられるよう、介護人材の確保・定着の取組み強化に向けたものである。第1回目の委員会では介護人材確保の現状や「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方検討会」の中間まとめについて議論がなされた。

(5/15)改正住宅セーフティネット法、令和7年10月1日施行
厚生労働省・国土交通省は、令和6年に成立した改正住宅セーフティネット法が令和7年10月1日に施行されると発表。これを受け、同年6月より、自治体職員および関係事業者を対象に改正内容等に関する説明会を行うことも併せて発表した。

東社協トピックス
「東京のふくしをもっと知る。」では、 東社協が作成した福祉人材の確保・育成・定着に関するコンテンツを掲載しています!
東社協では、「東京のふくしをもっと知る。」と題して、福祉施設や福祉で働く人に関するコンテンツをまとめた特別ページを設けています。
各分野の施設がそれぞれどんな役割や機能をもっているのか。そこで働く人はどんな思いでいるのか。動画やパンフレットなどさまざまなかたちでお届けしています。そのほか、施設の人材育成の取組みや、職場体験に使用できるツール等もまとめていますので、各シーンでご活用ください。

(写真 東京のふくしをもっと知る。バナー)
(QRコード 東京のふくしをもっと知る。HP)

東社協の本
ご注文は 東社協図書係まで  電話03-3268-7185

福祉施設にできる災害時の利用者と地域の高齢者・障害者・子どもたちへの支援は…?
近年、全国各地で多発している自然災害。災害に備えた取組みがより一層、求められています。
福祉施設・事業所における災害発生時の要配慮者支援への取組みの工夫や課題に関するアンケート結果をポイント、概要、資料編にそれぞれまとめました。
◆規格 A4判・110頁
◆発売 2019.06.11
◆定価 660円(本体600円+税10%)

(写真 福祉施設にできる災害時の利用者と地域の高齢者・障害者・子どもたちへの支援は…? 表紙)

重層的支援体制整備事業 実践事例集 Vol.2
~実施5区市の区市町村社協の取組みより~
重層的支援体制整備事業を本格実施している5つの自治体の区市町村社協にヒアリングを実施しました。本書は、それらの内容をまとめた実践事例集の第2弾です。
◆規格 B5判・98頁
◆発売 2024.05.13
◆定価 770円(本体700円+税10%)

身寄りのいない高齢者への支援の手引き〔改訂版〕
地域包括支援センター等から収集した困難事例80をQ&Aで解説しています。
◆規格 A5判・340頁
◆改訂 2017.08.29
◆定価 1,980円(本体1,800円+税10%)

 

--6【くらし今ひと】
いろいろな人がいて、生き方があって、選択肢がある。そんな多様性による地域のたすけあいが根づいた社会へ

その場、その時に生まれるものを大切に、地域で取り組まれてきた阿部華奈絵さん。取組みの背景や大切にされていることをお伺いしました。

いどばた焚き火代表 阿部 華奈絵さん
社会的養護の当事者として「ゆでたまご」の活動を始めたが、近年は「地域」や「環境」が活動のテーマ。三重テラスのコミュニティーマネージャーとして東京と三重をつなげる等の活動もしている。

(QRコード いどばた焚き火 Facebook)

与えられた選択肢ではなく、自分らしく生きていきたい
子ども時代、家と学校のどちらも安心できる場所ではなく、近くの川で時間を過ごすことが多かったです。その時から私の居場所は、「自然」にあったのだと思います。高校からは児童養護施設で暮らすことになるのですが、自分が変わるきっかけがほしくて、東京都の代表として、高校3年間インターハイの運営に携わりました。広報活動で各地に足を運んだ経験などは、現在の活動につながる原体験といえます。
卒業後は進学を希望していたのですが、経済的な理由で施設職員に反対され、就職を選びました。奨学金等もあったと思うのですが、当時の私は目の前にある選択肢以外を選ぶことができなくて。高校からの紹介で働き始めた先は劣悪な労働環境で散々な目に遭い、そんな時に「与えられた選択肢を選ぶのはやめて、自分の道は自分で決めて、自分らしく生きていこう」と強く感じました。会社を辞めてからは、任意団体「ゆでたまご」を設立。施設や里親家庭を離れる時にそれぞれが自分の人生を考える上での選択肢や必要な情報を知るきっかけになればとガイドブックの作成を中心に取り組みました。それからはヘルパーをやったり、三鷹で焚き火の活動を始めてみたり。いずれもその場、その時に生まれるものを大切に歩んできました。世間的にみればリスクの高い生き方を選んだのかもしれないけれど、いろいろな人に出会い、それぞれの生き方を知り、自分の生活基盤も地域のつながりによって整っていきました。

便利になった現代だから、大切にしていきたいこと
5年前から続けている三鷹での「いどばた焚き火」。子ども時代に「ほしかった居場所」をつくりたい、社会的養護の当事者という枠でくくられることなく、自分らしく生きていきたいとの思いで始めました。焚き火の好きなところは、火を起こすことから皆で取り組めること。始めて50回になりますが、大人だけで語る回もあれば、子どもたちが水鉄砲大会を始める回も(笑)。便利になった反面、社会的な孤立が生まれやすい現代だからこそ、多様な世代や層がつどい、お互いの「あたりまえ」を交差させて、そのギャップを面白がるような空間が地域の中にあることが大切だと考えています。

(写真 4月のいどばた焚き火の一コマ。急な大雨でも楽しむ子どもたちの姿から、自然と生きていることを大人が学んだ瞬間も。)

多様な人とのつながりが、社会課題を解決していく
現在は、焚き火の活動を中心に、縁あって三重をはじめとした地方の取組みにも関わったりしています。そうした活動の背景には、次世代がいろいろな選択肢を知り、人生の幅を広げてもらうことにつながればという思いがあります。高校時代の私もそうであったように、知らないことは選択肢に入らない。だったら、知る機会を生み出していきたいと…。
人とのつながりが社会課題を解決すると私は思っていて、多様な取組みを通じて一人ひとりの関係人口が増え、そして地域のたすけあいが根づく社会をつくっていきたいです。そのためには、私自身が楽しく、幸せであることを前提に。今という瞬間を何より大切に、一日一日を生きていきたいです。

(写真 いどばた焚き火代表 阿部 華奈絵さん)


以上で、福祉広報2025年6月号を終わります。

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