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東京都社会福祉協議会

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福祉広報 2026年3月 806号 テキストデータ

【表紙】(写真)
杉並区にある「MOONLOOP CAFE」。視覚障害者と晴眼者のスタッフとお客様が「会話を楽しむ」ことを大切にしています。店内のレイアウトや物を置く位置を徹底したり、お互いに声を掛け合うなど視覚障害者が安全に働きやすい工夫がされています。


p.2 ●社会福祉NOW
東京都における緊急小口資金等特例貸付フォローアップ支援事業の“今”
~一人ひとりが安心して暮らせる地域社会の実現をめざして~

p.4 ●み~つけた
夢や希望にむけて背中を押せるようなカフェになれたら
MOONLOOP CAFE(杉並区)
p.5 ●連載 これからを生きる次世代へ【第6回】
一人ひとりのまなざしや関わりから、優しいつながりが溢れる社会へ
認定NPO法人PIECES代表理事/ソーシャルワーカー 斎 典道さん

p.6 ●Focus on! 今、こんな動きがあります
「社協って身近だな」と思ってもらえるように
東社協 区市町村社会福祉協議会部会

p.7 ●Information
ぼらせん通信/マンスリーニュース/ 東社協の本/ 東社協トピックス

p.8 ●くらし今ひと
違いを超えて、人と人とが出会う先に
新井 英夫さん

 

【目次】

1社会福祉NOW
2み~つけた
3連載 これからを生きる次世代へ 第6回
4Focus on! 今、こんな動きがあります
5Information(ぼらせん通信/マンスリーニュース/ 東社協の本/ 東社協トピックス)
6くらし今ひと

 


--1【社会福祉NOW】
東京都における緊急小口資金等特例貸付フォローアップ支援事業の“今”
~一人ひとりが安心して暮らせる地域社会の実現をめざして~

新型コロナウイルス感染症の影響で減収や失業等により生活が困窮した世帯を対象に実施した緊急小口資金等特例貸付(以下、特例貸付)。
今なお経済的な困窮から抜け出すことができず、償還が困難な借受人に対して必要な支援を行うフォローアップ支援の取組みをすすめています。
今回は、東京都内の社会福祉協議会におけるフォローアップ支援事業の“今”を紹介します。
フォローアップ支援事業実施の背景と内容
2022年10月28日付厚生労働省事務連絡「緊急小口資金等の特例貸付の借受人へのフォローアップ支援について」により、特例貸付の借受人のうち、償還(※1)が困難な借受人や償還が免除された借受人、償還免除申請等の案内に未応答の借受人に対して、必要な支援を行うことが示されました。具体的には、償還猶予(※2)の相談支援、自立相談支援機関をはじめとする関係機関へのつなぎ、アウトリーチによる生活再建に向けた支援等の取組みを行うことが求められています。
通知を受けて、東京都社会福祉協議会(以下、 東社協)では、借受人に対して現在の生活状況を把握するための調査票や救済制度の案内等を送付してきました。償還猶予や償還免除につながる人が多くいる一方で、案内にリアクションがなく、償還が滞っている人が存在しています。
東社協では、生活再建のための支援が必要な借受人に適切なフォローアップ支援を行うことを目的に、区市町村社会福祉協議会(以下、区市町村社協)向けの「緊急小口資金等特例貸付の借受人へのフォローアップ支援事業実施要綱」を作成しました。
区市町村社協では、本実施要綱を基に、全ての地区が実施する「基本事業」と手上げ方式により実施する「任意事業」を行いながら、借受人へのフォローアップ支援を推進しています。

区市町村社協におけるフォローアップ支援
区市町村社協の「基本事業」では、相談があった借受人に対して、必要な制度案内や他機関へのつなぎ等を行います。具体的には、償還が難しいといった相談があった借受人に対しての猶予や免除の手続き支援、猶予が適用された人への見守り支援、償還が免除された人を自立相談支援機関につなぐこと等を行っています。
「任意事業」では、主に社協側からアプローチするプッシュ型の支援を行いますが、区市町村社協ごとにその対象者や取組み内容は異なります。具体例としては、区市町村社協独自のアンケートの実施、対象別に内容を工夫した手紙や通知の送付。それから、手紙に対してリアクションがない借受人への架電を通じた現状の把握ならびに猶予等の救済制度の案内等が挙げられます。複合的な生活課題を抱えている場合には、自立相談支援機関につなぐこと等により、生活再建に向けた支援を行います。社協内の権利擁護担当や地域福祉コーディネーターと連携して支援にあたっている社協もあります。
また、手紙による案内や架電に未応答の借受人に対して、訪問を行っている地区もあります。令和7年度は3つの社協がモデル地区として訪問事業を行いました。実際に借受人と会うことができた件数は多くありませんが、つながりづらい人や、今まで全く反応がなかった人とつながることができた等の効果が挙げられています。
これらの取組みをすすめていく中で、今後の区市町村社協におけるフォローアップ支援、とりわけ任意事業では、どういった意図でどの借受人に対してアプローチをしていくのかを考えることが必要となります。そのためにも、日々の相談内容や対応記録等を積み重ねていき、それらを分析していくことが求められています。

「特例貸付フォローアップ支援事業情報交換会」の開催
2025年12月12日、各地区におけるフォローアップ支援の実施状況を区市町村社協間で共有し、都内全体のフォローアップ支援の推進を図ることを目的に「令和7年度 特例貸付フォローアップ支援事業 情報交換会」を開催しました。
前半は、新宿区、府中市、多摩市の3社協が、取組み内容やフォローアップ支援をすすめるうえで大切にしていること、関係機関との連携等について実践報告を行いました。新宿区社協からは、訪問事業、アンケートの実施、区内の食料支援団体・パントリー実施団体の情報交換会について、府中市社協からは、自立相談支援機関との連携、フォローアップ支援通信、金融ジェロントロジー研究会との業務契約(セミナー・個別相談会の開催)について、多摩市社協からは、架電や手紙の工夫、自立相談支援機関と連携した出張相談会、社協内外の連携について報告がありました。
後半は、グループに分かれて、自地区で取り組んでいる内容やフォローアップ支援を行う中で感じたこと等を共有しながら、来年度に向けて取組みの参考やヒントとなる情報交換をしています。
当日は31地区の社協から45名の職員が参加。「他地区の取組みを参考にしてみたい」「日頃の悩みや思いを共有することができたのは良い機会だった」等の意見が参加者からは出ていました。本情報交換会は、都内全体に取組みを横展開していくために、来年度も開催を予定しています。

(写真)

「フォローアップ支援事業のヒアリングと取組み事例集」の発行
東社協では、8か所の区市町村社協にフォローアップ支援の取組み状況のヒアリングを行いました。ヒアリングでは、各社協の特徴的な取組みや取り組む上での思い等を聞き取ることができ、 東社協としても来年度のフォローアップ支援の方向性を考える良い機会となりました。特例貸付については、貸付時に「社協が行うべき相談支援とセットとなった貸付ができなかった」という思いがありましたが、フォローアップ支援を通じて、ようやく社協らしい支援ができているという感想も聞かれました。
今後、ヒアリング先の取組みを都内全体に共有することで各地区での取組みに活かすことを目的に「特例貸付フォローアップ支援事業 取組み事例集」を発行します。各社協のフォローアップ支援の内容や任意事業を実施するに至った経緯、取組みの効果や今後の方針等を記した事例集になっています。

(写真 特例貸付フォローアップ支援事業 取組み事例集 表紙)

一人ひとりが安心して暮らせる地域社会の実現をめざして
フォローアップ支援の取組みを開始して数年が経過しますが、特例貸付の利用後も生活に困窮している人は今もなお地域に存在しています。また、個人だけでなく、世帯で複合的な生活課題を抱えている場合もあるため、他機関との連携を密に行いながら、生活再建に向けた支援を行うことが求められています。あわせて、未応答の借受人が多く存在する現状においては、今まで以上にプッシュ型の支援を行うことが必要になります。
こうした支援を積極的にすすめていくことは、経済的困窮に対する支援だけではなく、地域の中で生きづらさを抱えた人や、身寄りがない人との関わりをつくることにもつながります。“何かあったら社協に—”。そうしたつながりをフォローアップ支援を通して広げていき、社協ならではの取組みをすすめていくことで、一人ひとりが安心して暮らせる地域社会の実現をめざしていきます。

※1 お金を返すこと
※2 返済を遅らせること

(QRコード 福祉広報2024年4月号記事「新型コロナ特例貸付~貸付の記録と今後~」)
(QRコード 特例貸付にかかる調査報告書 特例貸付制度の概要等もご確認いただけます)


--2【み~つけた】
夢や希望にむけて背中を押せるようなカフェになれたら
杉並区 MOONLOOP CAFE

視覚障害者の活動を理解していただけることが楽しい
杉並区の南西部に位置し、緑豊かで閑静な住宅が立ちならぶ富士見ヶ丘駅の近くに、2025年2月にオープンした「MOONLOOP CAFE」。一般社団法人ビーラインドプロジェクト代表理事の浅見さんが視覚障害者と晴眼者がお互いに協力して働けるようにという想いでつくったカフェです。現在は視覚障害者3名がホールスタッフ、晴眼者3名がキッチンスタッフを担っています。「蜃気楼珈琲」という日替わりで店主が変わる「シェアリングコーヒーショップ」で出店しているため、毎週月曜日の夜のみ営業しています。メインメニューは視覚障害者のあるスタッフの視野の満ち欠けに重ね合わせてつくるチャイで、軽食やスイーツの提供もあります。
視覚障害者のことを知りたい方も多く来店されます。「いろいろな背景の方にフラットにコミュニケーションを楽しんでいただくことを大切にしています」と店長の隅本真理さん(愛称:マリリン)は話します。お客様からもニックネームで呼んでもらうなど、スタッフとお客様の距離が近く、店内は活気ある話し声に満ち溢れています。「自分たちには当たり前のことが晴眼者には当たり前ではないこともあり、このカフェでお互いの理解につながることがめちゃくちゃ楽しいです。私たちの活動が希望になったとか、このような仕事をしたいという声があがると、やりがいしかありません」。
マリリンは生まれた時は弱視でしたが、7歳で網膜剝離になり全盲に。小中学校は一般校の弱視学級、高校は視覚特別支援学校、音大で声楽を学び教員免許を取得しました。この4月からは大学院にすすみ「音楽カフェ」を研究する予定です。そんな努力家のマリリンも飲食店での接客を、障害があることを理由に無意識に諦めていたといいます。しかし、同級生の浅見さんに声をかけてもらい、働くことが実現したといいます。
代表の浅見さんが就職活動に専念することを機に2025年10月、マリリンは店長に昇格しました。「スタッフ同士のコミュニケーションや仲の良さが安全面などにも直結するので人材育成に力を入れています。メンバー同士で高めあい、できないと決めつけず、どうやったらできるのかを議論しあえる仲です」とスタッフが成長できる職場づくりにも力を入れています。

諦めていたことも気持ち次第で実現する
「MOONLOOP CAFEは私にとって“希望”。些細なきっかけが希望になることを実感しました。カフェは私の生活の中心であり、ライフワークでもあります。このカフェを大きくすることが夢です。これから大学院で2年間研究していくことをこのカフェに活かしたいです」とマリリンは話します。
障害がある人もない人も、誰もが些細な理由で夢やあこがれ、希望を無意識に諦めてしまうことがあるなか、無意識な諦めは自分自身の気持ち次第で実現する、ということをこのカフェで教えてもらい、マリリンは人生が変わったと言います。諦めそうな人がいたら、このカフェが背中を押せる存在になれるように、お客様との時間を大切にしながら、これからもスタッフとともに切磋琢磨して壁を乗り越えていきます。
MOONLOOP CAFE
場所:東京都杉並区久我山5丁目24−1
営業時間:毎週月曜日 17:30~21:30
(QRコード MOONLOOP CAFEホームページ)
(QRコード ご予約フォーム)

 

--3【連載 これからを生きる次世代へ 第6回】
一人ひとりのまなざしや関わりから、優しいつながりが溢れる社会へ

認定NPO法人PIECES 代表理事/ソーシャルワーカー 斎 典道さん
大学在学中より国内外の社会的養護、地域子育て支援の現場でフィールドワークを実施。2012年には北欧の社会福祉を学ぶためデンマークに1年間滞在。国民の日常に溢れる、文化としてのウェルビーイングの価値に深い感銘を受ける。

(写真)

小さな困りごとや心の傷が生まれた時に、身近に頼れる誰かがいる―。そんな子どもや若者が孤立せずに優しいつながりが溢れる社会をめざし、一人ひとりの“市民性(*)”を耕すことに取り組んできた認定NPO法人PIECES(ピーシーズ)。その取組みを通じて、私たち一人ひとりの関わりやあり方を考えていきます。
(*)肩書や立場をおろして、ひとりの人として他者や社会と関わり合おうとする姿勢


医療や福祉、教育などのフィールドで活動してきたメンバーが立ち上げた認定NPO法人PIECESは、「頼りたくても、頼ることができない子どもの孤立」に対するそれぞれの思いが重なり2016年に設立されました。子ども分野の専門職化や資格化がすすむなか、PIECESが取り組んできたのは社会に生きる一人ひとりが持っている“市民性”の醸成。専門職として子どもたちと向き合ってきた一人でもある代表理事の斎さんは次のように思いを話します。「虐待を受けた子どもたちの多くは家にも学校にも安心できるつながりがないんですよね。そんな環境にあった子どもたちの心の傷の深さに触れた時にその傷をしっかり手当てすることも大事だけど、傷が深くなる前に社会として支えられなかったのかということをすごく感じました。専門的なケアも大事だけれど、身近な人たちのケアによってその手前で子どもたちを支えられたりとか、日常にいる人たちのまなざしとか関わりがすごく大事じゃないかと。肩書きや枠組みのない“市民性”ゆえの難しさもありますが、その曖昧さが制度や専門性の隙間を埋めていくことができるのでは」。

あるがままの自分で子どもたちの隣にいること
PIECESが設立時から大切にしてきた「Citizenship for Children(以下、CforC)」の取組み。子どもたちが生きる地域に信頼できる大人を増やすことをめざし、“市民性”を起点に自分らしいあり方を参加者が探求・実践するプログラムです。参加者は市民活動や子ども支援に携わっている人だったり、何かやりたいと考えている人だったり。講座・対話・リフレクションの3つの要素を通じて、自分自身の“市民性”と向き合う時間を過ごしていきます。なかでも、日常での子どもとの関わりの一場面を持ち寄るリフレクションの場は肝となる時間だとか。時間をかけて参加者の願いや思い、子どもの言動の背景にある気持ち等を深堀りしていくなかで、他者の視点や解釈が入り、それぞれの見え方が変容していくといいます。
プログラムは定員10名程度で4か月にわたり、技術や知識の習得(Doing)ではなく、一人ひとりのまなざしやあり方(Being)を見つめることを大切にしています。そのことは参加者の「ネジを締め直すつもりが、むしろ“緩んでいく”体験」「特別なことではなく、普通の関わりだからこそ尊いと感じた」といった声からも伺えます。斎さんは「自分の思いや願いを立ち止まって見つめ直す時間は大切で、子どもへの見方の偏りに気づいたり、自分の願いを改めて確認したり。そこから生まれた小さな気づきによって、同じような場面でも景色が違って見えてくるんじゃないかな」と話します。

(写真 CforC修了生の取組み(+laugh多摩))

大人こそ自分という存在を大切に
専門性ではなく、“市民性”の醸成に取り組んできたPIECES。子どもの声や権利について問われるようになってきた今、私たち一人ひとりに大切なことを斎さんは次のように話します。「子どものことを考える前に、自分の存在を忘れちゃだめというか。自分自身が誰かに声を聞いてもらえていないと、誰かの声を聞くことは難しいんじゃないでしょうか。どうしても大人になると自分の願いや感情よりも、周りのこととか、正解を気にしてしまう。そういう意味で子どもたちはずっと“市民性”に溢れていて、自分の感情や感性とかをすごく大事にしている。子どもと一緒にいることで、自分の市民性に気づけることもあると思います。だから子どもに何かをしてあげるとかではなく、子どもとともにいるというあり方。その感覚がすごく今私たちには大事ではないでしょうか」。
小さな困りごとや傷つきが生まれたときに、頼れる存在が身近にいる。そんなまなざしや関わりに包まれることで、何より子どもたちは安心して生きられることにつながるのかもしれません。

(QRコード PIECESのHP)

 


--4【Focus on! 今、こんな動きがあります】
「社協って身近だな」と思ってもらえるように
東社協 区市町村社会福祉協議会部会

(写真)

今号では、 東社協中期計画の取組みの柱Ⅴ「福祉の可視化と包摂に向けた共感づくり」に基づく区市町村社会福祉協議会部会の取組みをご紹介します。

ともに地域づくりを考える場を
区市町村社会福祉協議会部会では、都内の社協職員からなる「都内社協職員連絡会(以下、職連)」を組織し、職員相互の連携による社協活動の進展を目的に活動しています。職連では小地域活動の推進を目的に2018年から「地域福祉フォーラム」を実施してきましたが、今年度から「社協実践フォーラム」に名称を改め企画・運営することとなりました。本フォーラムの目的を
①社協の存在や役割を発信する
②社協以外で活動する人々と、社協の職員がともに地域づくりを考える場をつくる
の2点に定め、単に情報発信するだけでなく、参加者が“一緒に考える”ことを大切にしたいと考えました。昨年度、約30年ぶりに内容が見直された「社会福祉協議会基本要項2025」が策定されました。この間の社会や経済の変化、地域生活課題の複雑化・複合化などをふまえると、わたしたち社協の果たすべき使命はますます大きくなっていると思います。ですが、実際社協の存在はまだまだ知られていない。このフォーラムを通して社協が身近にあることを広く伝えるとともに、自分たち自身が社協の原点に立ち返るような機会になったらと思い、検討をすすめました。

“社協ならでは”を感じる体験
テーマを考えるために都内社協の取組みの調査やヒアリングをするなかで、東京都内の地域性・取組みの多様性をひしひしと感じましたね。なので、参加者が暮らす、あるいは活動する地域の様子とかけ離れすぎてもイメージしづらいよね、と話をしてバランスを考え、取り上げる事例や全体の方向性を組み立てました。職連のメンバーは経験も担当業務もバラバラ。だからこそこんな視点があるのか!こんな取組みがあるのか!と発見がありました。それと同時に、社協同士で抱える課題は同じだなと思うこともあって、それは自分の社協にいるだけじゃわからなかったことでした。
フォーラムには約120名の方々に来ていただき、そのうちの3割は社協職員以外の方々でした。興味を持ってもらえたのは率直にうれしいです。社協職員同士では見知った顔もあったようで、普段の業務から離れて自然と情報交換がはじまっていて、お互いがフラットな関係性である社協らしさを感じる瞬間でした。

社協が、社協職員がこれからできること
フォーラムが終わって思うことは、まず社協の実践を知ってもらうきっかけをつくることができたこと、今後回を重ねるにあたっては日頃関わる地域住民の実状をもっと伝えていきたいということです。例えば「身元保証人がいない方がいる」という個別の問題をどう地域で支えていくか。まさに社協基本要項で掲げる活動原則のひとつ「個別支援と地域づくりの一体的展開」につながると思います。また、人が人に伝える力って大きくて、そこから理解や共感が生まれるなと感じました。今回のような出会いの場をつくっていくことも必要だし、わたしたち社協職員もいろいろな人や場に出会いにいきたいです。そして理解・共感を得て生まれていった小さなアクションをまたこの場で伝えていく、そうした渦を巻き起こすこともできたらなと思います。
とはいえ、社協職員一人ひとりの社協基本要項の理解もまだまだこれから。目の前の業務に真摯に向き合うとともに、社協の存在や役割の発信と、さまざまな人を巻き込んでともに地域を考える機会づくりを、職連という機能を活用してすすめていけたらと思います。
(QRコード 社会福祉協議会基本要項2025)
(QRコード 社会福祉協議会とは)

 

--5【Information(ぼらせん通信/マンスリーニュース/ 東社協の本/ 東社協トピックス)】

ぼらせん通信

【実施報告】互いに聞きあい事業に活かす「センター長会議」
東京ボランティア・市民活動センター(TVAC)では、区市町村のボランティア・市民活動センター長が集まる会議を年4回実施しています(うち1回は各センターの運営委員会委員も対象にした拡大版)。2月には、次年度の事業展開も見据え、地域ニーズの把握をテーマに足立区および調布市のセンターからの話題提供とグループ討議を行いました。共有した取組みや工夫を持ち帰り、今後のセンター事業に活かしています。

(写真 「現場に足を運んで、団体の人だけでなく参加者の声も聞くようにしている」「ニーズを把握した後、いかに事業につなげていくかが大切」といった声が聞かれました。)

東京ボランティア・市民活動センターのホームページでは、ボランティアや講座情報等を掲載しています。
(QRコード 東京ボランティア・市民活動センターHP)


マンスリーニュース 2026.1.26 ~2.25
ピックアップ
(1/29)自殺者数初めて2万人下回るも、子どもや若年層は高止まり
厚労省が公表した「警視庁の自殺統計に基づく自殺者数の推移等」によれば、2025年の年間自殺者数は1万9,097人(暫定値)で、前年より1,223人減。一方、小中高生の自殺者数は532人(男子255人、女子277人)で前年より3人増加し、過去最多となった。

(2/10)成人間の売買春の規制の在り方を議論する有識者検討会を設置へ
現行の売春防止法においては売る側の勧誘行為に対する処罰規定があるのに対して、「買う側」の罰則規定がないことがかねてより問題視されていた。こうした点をふまえて、法務省は「成人間の売買春の規制の在り方を議論する有識者検討会」の設置を発表。「買う側」への処罰の要否や、法定刑の引き上げなどを協議。

(2/15)「保育園」の倒産や休廃業、過去最多を更新
帝国データバンクの調査によると、2025年に発生した「保育園」運営事業者の倒産・休廃業は46件となった。前年の31件に比べると15件の増加となり、年間で過去最多となったことが分かった。待機児童ゼロを目的に保育施設の整備がすすむなか、足元では利用者から選ばれる園と淘汰される園の二極化の加速を分析している。


東社協の本
ご注文は 東社協図書係まで  電話03-3268-7185

児童養護施設 事務処理の手引~第六次改訂版~
初版は1971年11月。改訂を重ね、第六次改訂版を発行しました。措置費・東京都補助金編、会計編、庶務編に分け、最新の情報を皆様に提供できるようにしています。この手引書を日常業務でぜひご活用ください。
◆規格 A4判・417頁
◆発売 2024.01.24
◆定価 2,860円(本体2,600円+税10%)

(写真 児童養護施設 事務処理の手引~第六次改訂版~ 表紙)

チームで取り組む地域共生社会づくり Vol.2 民生児童委員・社会福祉法人・社会福祉協議会の3者連携による4つの実践事例集
東社協では民生児童委員・社会福祉法人・社会福祉協議会の地域福祉コーディネーター等の3者が核となり、地域の多様な主体と連携を図りながら地域共生社会づくりをすすめる「東京モデル」を提起しています。本ブックレットは、3者がつながり地域で実践されている4つの事例を紹介しています。
◆規格 A5判・40頁
◆発売 2023.04.07
◆定価 495円(本体450円+税10%)

生きづらさや孤立を包摂するための7つの実践事例集
「生きづらさや孤立に苦しむ人たち」の現状や課題を把握することを目的に、さまざまな分野の取組みに関し、ヒアリングを実施しました。多くの人に知っていただくことを目的に、本ブックレットを作成しました。
◆規格 A4判・36頁
◆発売 2021.07.02
◆定価 935円(本体850円+税10%)


東社協トピックス
社会福祉法人として“身寄り”問題にどのように取り組んでいくか ―東京都地域公益活動推進協議会 区市町村ネットワーク情報交換会
東京都地域公益活動推進協議会地域ネットワーク推進委員会の主催により2月18日に開かれた区市町村ネットワーク情報交換会。近年対応が急がれる“身寄り”がないことにより個々人が直面する課題に、社会福祉法人や区市町村ネットワーク(*)は何ができるのか―。社会動向や、地域や福祉施設の実践をふまえながらそれぞれが考える時間を過ごしました。
(*)区市町村域における社会福祉法人のネットワーク。

(写真)

 


--6【くらし今ひと】
違いを超えて、人と人とが出会う先に

体奏家・ダンスアーティストとして、国内外の舞台に立ちながら、教育や福祉といった社会包摂に関わる現場で幅広い人を対象に身体表現のワークショップに取り組んできた新井英夫さん。
これまでのこと、そして表現や社会に対する思いや考えをお伺いしました。

新井 英夫さん
体奏家・ダンスアーティスト。劇作家の寺山修司氏に影響を受けて演劇の道へ。舞台活動とともに、社会包摂に関わる現場でワークショップも展開。2022年筋萎縮性側索硬化症(以下、ALS)の罹患が判明するが、その後も活動と発信を継続中。

(写真 パートナーの板坂記代子さんと (撮影 渡邉 肇))

プラモデルみたいに完成形が決まっているものより、自分で自由に表現することが子どもの時から好きでした。教室で落語を披露したり、お楽しみ会で自作のコントをやってみたり。表現を仕事にしたいと思ったのはずいぶん先ですが、自由に表現することは自分にとってずっと大事なことだったのかもしれません。高校卒業後は演劇部の仲間と劇団「電気曲馬団」を立ち上げて、表現活動をスタート。ただ、劇場に足を運ぶ多くは知り合いで、既存の関係性のなかで演じ手とお客さんが出会うのは面白くないと思って、街中で大道芸をやり始め、その後は駅前広場での投げ銭形式の野外劇に発展していきました。パフォーマンスによって人と人との間に関係性が生まれることに面白さを見出すようになるなかで、1997年にカナダのダンスフェスティバルに参加したことを機に、世代や文化とか障害とかそれぞれの違いを超えて人と人とが出会い直すような場を世の中につくっていきたいと思うようになりました。そんな時に誘いもあって、舞台活動とともに福祉施設等の現場でワークショップをはじめていきました。

間違いも迷いも面白がる豊かさを
ワークショップでは年齢も障害のあるなしも超えてみんなが自由に身体表現をしながら、誰かと何かを一緒にやる面白さを感じてもらうことを大切にしてきました。例えるならお手本のあるプラモデルをみんなでつくるのではなく、材料を自分が提供するので、飛行機をつくる人がいてもいいし、オブジェをつくる人がいてもいい。“どれもみんな面白いよね”っていうような場をめざしています。誰かと一緒にやるからこそ予想できない面白い出口に行き着いたりして、こういうのって悪くないな、面白かったなぁ…と感じ合える時間になっていれば一番いいなと思います。コスパやタイパが優先されるAI時代に、間違ったり迷ったり、試行錯誤したりすることを面白がれるのはきっと人間だけができることだから。そうした寄り道や道草のような豊かな時間をつくっていきたいです。

(写真)

誰もが表現することを諦めないでいられる社会に 
2022年にALSの確定診断を受けてから、これまで以上に“にもかかわらず面白く生きる”ことを大切にしています。例えば、身体が不自由“にもかかわらず”笑いながら自由に生きたい!とか。マジョリティからみたら「無理だよ〜」みたいなことでも、実はどんな状況の中でも面白いことを人間は見つけられるんじゃないかと考えています。アートだけじゃなく幅広い意味での日々の暮らしの中の表現もそうで、服を選ぶとか、これを食べたいとか、そういう気持ちをどんどん諦めてしまうと、その人らしさを実感することがなくなっていっちゃうと思っていて。というのも電動車椅子を使うようになったある時、夕日が背後から照らしているのに気づいて振り向いて見たら嬉しくて泣いちゃったんですよ。車椅子を押されている時は「ちょっと止まりたい」とか遠慮して言わなくなっていて、何か月も我慢していたことをその時気づきました。障害があっても病気になってもそういう自分らしさの表現を諦めないでいられる社会にしたいんです。だから自分は障害者とか健常者とか、サポートする/されるとかじゃなくて、一緒に遊んだ仲間みたいな感じで人と人とが出会い直せる場を生み出していきたいです。それぞれの「常識」から生まれた人と人の壁をほぐすことができるのが、表現やアートとか遊びの可能性だと実感しているので。そして壁がほぐれた先にいつか、障害があっても頑張っているおじさんじゃなくて、ワークショップで一緒に遊んだのは面白いおじさんだけどよくよく考えたら障害がある人だった…みたいな感じで学校などで子どもたちに出会い直せる日が当たり前になったら相当嬉しいんじゃないかなぁ。


以上で、福祉広報2026年3月号を終わります。

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