【表紙】(写真)
薬剤師の石丸勝之さんが、屋台で漢方茶やハーブティーをふるまう「調剤喫茶farmatería」。「こんにちは」「待ち時間にどうぞ」と笑顔でブレンドしたお茶を提供する石丸さん。雑談から生まれるつながりを大切にしながら、健康に関するさまざまな相談に乗っています。
p.2 ●社会福祉NOW
「福祉施設をひらく」から見えた地域公益活動の可能性
p.4 ●み~つけた
地域の人たちの止まり木のようなカフェ
喫茶わかば(国立市)
p.5 ●連載 身寄りのない人を受け止められる社会に【第2回】
知的障害のある方の親なき後の課題
社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会 理事長 立原 麻里子 さん
p.6 ●福祉のおしごと通信~つなぐ眼差し~
一人ひとりの利用者さんの思いに耳を傾けて
社会福祉法人あいのわ福祉会 竹の塚あかしあの杜 統括主任支援員 青木 恵子 さん
p.7 ●Information
東社協トピックス/マンスリーニュース/ 東社協の本/ぼらせん通信
p.8 ●くらし今ひと
にじ色の個性をもつ子どもたちをサポートしつづけたい
地域の頼れる“おっさん”になりたい 石丸 勝之 さん
【目次】
1社会福祉NOW
2み~つけた
3連載 身寄りのない人を受け止められる社会に 第2回
4福祉のおしごと通信 ~つなぐ眼差し~
5Information( 東社協トピックス/マンスリーニュース/ 東社協の本/ぼらせん通信)
6くらし今ひと
--1【社会福祉NOW】
「福祉施設をひらく」から見えた地域公益活動の可能性
東京都地域公益活動推進協議会(以下、協議会)は、設立から今年で10 周年を迎えます。これまで各社会福祉法人がそれぞれの使命と役割を発揮し、連携・協働することで地域の課題に取り組んできました。今号では「滞在ツアー」への実施協力から見えた新しい地域公益活動の広がりについて考えます。
「滞在ツアー」への期待
東京都社会福祉協議会(以下、 東社協) の総務部企画担当では、2024年度、2025年度「福祉施設に滞在するBeing Thinking Tour」(以下、滞在ツアー) を行いました。高校生に福祉を身近に感じてもらいたいという思いからはじまったこの取組みは、福祉施設で“ただ、そこにいる” という滞在の時間を過ごし、またコーディネーターとともに同世代の参加者との対話を通して自己と向き合い、その過程で自分以外の他者や福祉について見つめなおす機会になっています(詳細は以下二次元コードから福祉広報の記事や特設サイトをご覧ください)。
今、地域の中では人と人とのつながりの希薄化や、孤立・孤独の問題が大きな課題となっています。東京都内でも、これらの課題に対する地域公益活動の一環として、「居場所」づくりや、参加支援の取組みが広がっており、協議会としては、引き続きその活動を推進していくことをめざしています。一方で、若い世代との接点や、多様な主体との連携や協働といった活動の広がりに課題を抱えていました。施設単独の取組みだけではない、幅広い主体を巻き込んだ実践が求められています。
昨年度、協議会の幹事会にて滞在ツアーの報告を受ける機会がありました。幹事委員より「福祉施設をひらく手法として新たな視点であり、接点を持ちづらい高校生が福祉に触れるきっかけになるのでは」という期待が寄せられました。そこで、協議会としてもこの取組みをともにすすめることとしました。
幹事委員が所属する施設を中心に、昨年12 月には東久留米市の高齢者施設「シャローム東久留米(特別養護老人ホーム)/シャローム南沢(デイサービスセンター)」、1月には日野市の地域ネットワークとして障害者施設3施設(「工房夢ふうせん/工房夢ふうせんアネックス」(知的)、「多摩療護園」(身体)、「光の家栄光園/光の家新生園」(身体))で滞在ツアーを実施。計10名の高校生が参加しました。
(QRコード 福祉広報2025年4月号)
(QRコード 滞在ツアーについて)
また、3月には、協議会主催のテーマ別研修会を開催し、滞在ツアーの報告を行いました。福祉施設や社協職員に限らず広く参加を呼びかけ、当日は教育関係者やアート・デザイン関係者らが集いました。写真展示を見たり滞在ツアーに関わった方々からの実践報告を受け、参加者は“滞在” をキーワードに福祉施設をひらいていくことの面白さや、その効果について多くの気づきを得ました。さらにグループワークでは「ただ、そこにいる」について思考を巡らせるとともに、普段の業務や福祉観を省みる時間を過ごしました。参加者からは「福祉が特別な場所ではなく、地域の日常の一部になり、施設が地域の居場所になる可能性を感じることができた」といった声も挙がり、本研修会を通じて、福祉施設をひらいていくことの意義を共有できる貴重な時間となりました。協議会としては、滞在ツアー関係者や研修会の参加者と一緒にこの経験を共有できたことを、地域公益活動の広がりの大きな一歩だととらえています。
(写真 東久留米での一コマ)
(写真 日野でのふりかえり)
* 研修会参加者の感想
・「ただいる」ということは難しくもあり、ついつい現場の職員は高校生に話しかけてしまうと感じた。第三者のコーディネーターの存在は高校生にとって大きかったと思うため、有意義なツアーだと感じた。
・ 職種を超えた対話を通じて、福祉の本質について大いに学ぶことができた。異なるバックグラウンドでも根幹は一緒であり、今日の対話こそが福祉の話だと強く共感した。
・ 高校生の感性の豊かさを引き出すこのような取組みは大変重要だと思う。社会的格差がすすむ中、地域で「ふくし」を考える礎につながると思う。
・ 高校生が自分の言葉で交流しあう、文字にして対面で語りあうパワーがあること、すごく感動した。「ただいる」って何だろう、を考えて共有するワークは自分の意見を見つめるにも、他の人の意見をきくにおいてもとっても大切な時間となった。
(QRコード テーマ別研修会について)
(写真 研修会のようす)
地域公益活動のひろがりへのヒント
“滞在” という切りで福祉施設をひらくことの効果を、地域公益活動の観点からとらえ直してみます。社会福祉法第24条第2項では、「日常生活又は社会生活上の支援を必要とする者に対して、無料又は低額な料金で、福祉サービスを積極的に提供するよう努めなければならない」と地域における公益的な取組みを実施する責務を規定しています。そして、2018年の厚生労働省通知により地域住民の参加や協働の場の創出を通じて間接的に社会福祉の向上に資する取組みで、地域に効果が及ぶものについても「地域における公益的な取組」に該当すると解釈されています。協議会では、閉鎖的だと感じられてしまう福祉施設を地域にひらき知ってもらうこと、高校生の「ただ、そこにいること」を受け入れること(高校生の居場所をつくること) も、地域公益活動の一環であると認識することができました。このことは、今後の地域公益活動だけでなく、住民参加や協働の在り方を考える上で、非常に重要な要素であると考えられます。この経験から、協議会として改めて地域公益活動を続けることの意義と、地域住民への対象拡大など新しいモデルや広がりづくりのヒントを得られました。
そして、福祉施設で“滞在” という時間を過ごした高校生を受け入れた職員は、「私たち福祉関係者が揺さぶられた」と話します。普段の自身の業務を振り返り、高校生の言葉にエンパワーされる職員もいました。「福祉って明るい、あったかい」、「障害を持つ人も自分たちと変わらない」、「職員の気遣いが感じられた」など高校生から出た言葉は、まさに彼・彼女らに伝えたいと思っていたことが、真に伝わった結果だといえるのではないでしょうか。
「施設をひらいていくこと」のこれから
協議会は1,000を超える社会福祉法人が参画し、オール東京による地域公益活動を推進しています。東京都内では99%の社会福祉法人が地域公益活動の実施報告*をしており、多様な取組みが広がっています。協議会の第2期中期計画(令和7年度~9年度) においては、「これまでの活動を土台とし、オール東京による地域公益活動がより充実している」ことをめざしています。地域公益活動の取組みがすすむことで、社会福祉法人の本来の事業の充実にもつなげていきたいと考えています。
福祉施設には、高校生をはじめ地域においてさまざまな方を受け入れることのできる土壌が備わっています。ひらかれた施設で、地域とともに活動したいことを「伝える」ためのプロセスを大切にすることが重要です。一方で、施設の特性によっては外部にひらくことが容易ではない場合もあります。そのため、単独の施設だけで完結するのではなく、地域全体で支え合いながらすすめていく視点が必要です。さらに、地域にどのようなニーズがあるのか、どのような人とのつながりが求められているのかを丁寧にとらえながら、それぞれの地域に合った形を考えていくことも求められています。
協議会としてはこの経験を大切に、孤立しがちな方に対する居場所づくりや、地域での活動を希望する方への参加支援を推進する取組みに力を注ぎたいと考えています。
* 都内社会福祉法人の地域における公益的な取組の実施報告状況(令和7年4月1日時点)/東京都福祉局
現在協議会では、「福祉施設滞在ツアー費用補助事業」を実施しています(7月22日締切)。ともに取り組めることを楽しみにしています。
(QRコード 福祉施設滞在ツアー費用補助事業)
--2【み~つけた】
地域の人たちの止まり木のようなカフェ
国立市 喫茶わかば
国立市社協が運営するカフェ
国立市社会福祉協議会(以下、社協)内にある「喫茶わかば」は、1992年から続く地域住民の憩いの場です。2021年には内装を一新し、挽きたてコーヒーやパティシエが手掛けたお菓子、軽食などメニューも充実させ、リニューアルしました。「喫茶わかば」は働きづらさを抱えた人たちを実習生として受け入れる職場体験の場でもあります。市内に住んでいる人か、市内の施設を利用していれば、障害者手帳の有無や年齢に限らず広く受け入れています。現在、7 名の実習生が働いています。
リニューアルを機に「喫茶わかば」の担当職員になったパティシエの黒田千遥さんは「さまざまな事情や背景がある方が働いていますが、ここでは一従業員として、常にフラットな関係性を心がけています。実習生にも職員にも『一緒に働く仲間だから、助け合おう』と言いながらみんなでカフェを運営しています」と話します。
実習生はそれぞれできることや役割が異なりますが、スタッフが細かく指示をするのではなく、なるべく一人でできるような環境づくりに注力しています。
一緒に働いているからこそ実感する変化
黒田さんは「ある実習生は、初めは全くといっていいほど言葉が出ませんでした。接客よりキッチンのお仕事がいいかなと思ってお菓子作りに誘ってみたら、『楽しい』と言って取り組んでくれて。そこから自分がつくったお菓子がカフェに並ぶことにやりがいを感じ、自分から接客もやりたいと願い出てくれて、今ではお客様との会話も自然とできるようになりました」と、実習生の変化について話します。たとえば、実習生がていねいに仕上げたお菓子類は毎日完売するほど人気で、予約をして買い求める人もいるのだとか。
カフェの仕事は、洗い物やオーダーとり、食事作り、お客様とのコミュニケーションなど多種多様です。さまざまな人が行き交うカフェはまさに社会の縮図。その中で自分のペースで少しずつでもチャレンジできる環境と、一人ひとりのペースを受け入れる柔軟な体制はここならでは。「実習生がこの先どういう道に進んでも、ここでの経験はきっと活きてくる。そう実感しています」と黒田さんは言います。
地域の拠り所のような場所になりたい
最後に、「喫茶わかば」を運営する職員の飯田公也さんは「誰でも受け入れる温かな雰囲気だからか、会話の中で日々の困りごとをこぼす方も。自分がCSW をしていたからこそ、そういう何気ない会話の中から日常的な困り事や悩み事をポロっと話せる環境って貴重だなと感じます。地域の人たちの拠り所となるよう、これからも続けていきたい」と話します。黒田さんは「ここでいろいろな方が交わり、集うことに価値がある。もっとたくさんの人に知ってもらえるように発信していきたいです」と語ります。
「喫茶わかば」はこれからも、地域の人たちの“止まり木”として、訪れた人たちを温かく迎え入れます。
喫茶わかば
場所: 国立市富士見台2-38-5
営業時間:11時30分~16時(ラストオーダー15時30分) まで(火・土・日曜、祝日定休)
(QRコード 喫茶わかば)
--3【連載 身寄りのない人を受け止められる社会に 第2回】
知的障害のある方の親なき後の課題
立原 麻里子さん
社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会 理事長
東京都手をつなぐ親の会 会長
(写真 立原 麻里子さん)
(写真 『マリコとときどきモモコの部屋』)
(QRコード 『マリコとときどきモモコの部屋』)
▲ 『マリコとときどきモモコの部屋』
立原さんとモモコさん、その仲間たちが送る育成会のポッドキャスト『爆笑よりもクスっと笑える話』を展開中
親なき後の課題とは、障害のある方を支えてきた親や家族が高齢化や病気、死亡などによって支えられなくなったことにより生じること、具体的には日常生活での支援の途切れや経済的な不安、金銭管理などを指します。今月号では、「知的障害のある方の親なき後の課題」について、東京都手をつなぐ育成会(以下、育成会)の理事長であり東京都手をつなぐ親の会会長で、重度の知的障害、自閉症のお子さんがいる立原麻里子さんにお話をうかがいました。
親なき後、本人の暮らしはどうなるか
親なき後の一番の心配ごとは「自分の子どもがこれまでと同じ生活を続けられるのか」ということです。本人が生活していく上で親がやっていたことを誰かに担ってもらいたい。でも、それを支援者に全部求めるのもどうなのかというジレンマが個人的にはあります。
金銭管理のことは課題とされがちですが、支援策は比較的ある方だと思っています。制度の見直しを控えてはいますが、地域福祉権利擁護事業*1 や成年後見制度でカバーできる人はいます。また、諸々の手続きや契約も、誰かしら支援者につながっていれば、間に入ってもらえると思います。
心配なことは、どちらかというともっと日常生活での話です。例えば、通院同行のサービスにより、病院へ行くことはできます。しかし、本人が障害により言葉で伝えることが難しい場合は、普段の様子を知っている誰かに代弁してもらわないと、医師に体調を伝えることができません。また、医療費も愛の手帳*2 3度、4度の方は自己負担がある方が多く、親なき後、経済的な理由から通院できなくなるのではという心配は本人からもよく聞きます。
本人の体調のことはやはりそばにいる親が把握していることは多いです。最近聞いたエピソードですが、「学校で子どもが給食を残した。普段は食欲旺盛なので体調不良によるものなのかどうか、学校ではわからなかった。学校からの連絡で、親は子どもの好物を用意して食べるかどうか様子をみたところ、食べようとしなかったので『これは体調が本当に悪いんだ』と察し、病院へ行った」ということがあったそうです。
体調の変化は、特に重度の障害があり会話が難しい方は、親が本人独特のサインや癖、行動で気づく手立てをもっており、それにより対処していることが多いです。こうした誰かがちょっとした本人の変化へ気づくことが、親なき後は途切れるかなと思います。
私の娘は重度の知的障害があり、現在施設に入所していますが、外泊の前後は身体の様子(体調、けがや傷など)について施設の方と細かく引き継いでいます。施設職員の方と話し、暮らしていく中で親が気づいていないことに気づいてもらえたということもありました。本人ができないことやわからないことを言葉で発信できればいいのですがそれが難しい人もいるので、本人のサインを地域の中で家族以外の人でも受け止めてもらえるようになっているといいなと思います。
地域で安心して暮らしていくために
成年後見制度の話になると親たちの間でよく言われることがあります。財産管理も大事だけど、身上保護をしっかりやってもらいたい、本人の日常生活を支えてほしいのですが、後見人等がたまにしか会いに来ないという話はよく耳にします。その点に不安があるからなかなか制度を使うことに進めない。地域の中でいろんな人々に支えてもらいたいけど、キーパーソンは必要です。後見人等であればその役割を担って支援してほしいですが、実態は、通所先などの事業所頼みになっています。
育成会では、区市町村域に親の会の支部があり近場で顔がみえる関係性を築こうと活動しています。本人や親を孤立させてはいけないと思います。
共生社会を目指す育成会としての取組み
本人に幸せになってもらいたい。地域の人たちに温かく見守ってほしい。そのために親が生きているうちに、本人と地域をどうつなげていけばいいのかということは会員間で考えていきたいことです。
育成会では、共生社会を目指して、知的障害や発達障害のことを知ってもらう活動をしています。疑似体験を行う啓発キャラバン隊の活動など、知的障害を理解してもらうためのツールを用意しています。地域社会の中に理解者を増やしていくこと、人垣を作ることが、本人が地域で生活していくために大切なことだと思います。本人が困っているときに、普段身近にいる人のように対処することはできないにしても、少なくとも「困っている」ことを周囲にキャッチしてもらえる社会になってほしいです。
*1 地域福祉権利擁護事業…日常生活自立支援事業のこと。本事業が判断能力が十分でない方の権利擁護を果たす役割を担っており、東京では制度開始時の名称を使っている。
*2 愛の手帳…東京都の療育手帳の呼称
--4【福祉のおしごと通信~つなぐ眼差し~】
竹の塚あかしあの杜で、入職以来、入所施設ひとすじに、障害のある利用者さんと日々関わり、支援にあたってきた青木恵子さんに、仕事への思い、次を担う世代へのメッセージなどをお聞きしました。
*竹の塚あかしあの杜… 障害者総合支援法に基づく生活介護、施設入所支援、短期入所からなる多機能型事業所
利用者さんと接することを一番大事にしています…
社会福祉法人あいのわ福祉会
竹の塚あかしあの杜
統括主任支援員 青木 恵子 さん
(写真)
一人ひとりの利用者さんの思いに耳を傾けて
福祉の道に進んだきっかけ
高校の頃に漠然と将来のことを考えた時に、机に向かっての事務仕事には向いていないなと思いました。資格をもって、手に職をつけて働きたいなあ…と。福祉系大学へ進学し、その頃は児童分野で働くことを希望していて、児童養護施設で実習しました。新卒で、そのまま実習先の法人へ非常勤職員として就職しましたが、配属先は身体障害者療護施設でした。児童分野ではなかったけど、「やってみよう」と思い働き始め、5年後常勤職員になるために今の法人へ就職しました。
仕事をはじめた当時をふりかえって
一人ひとりの利用者さんの反応が全然違うということに、最初は戸惑いました。利用者さんの中には気持ちの波があり、職員に当たる利用者さんもいました。でも、よくよくご本人の様子をみると、早番・遅番の職員には厳しいけど、夜勤の職員にはきつい発言はなかったり。また、ある利用者さんは職員A が介助しようとすると「いや」と拒むことが続き、でも詳しくお話をきいてみると、「Aさんが『腰が痛い』って言っていたから(介助しなくていい)」と気遣いだったことがわかったり。その人なりの理由や1日の中での気持ちの波があるということがわかるようになりました。大変なこともあるけど、とてもやりがいを感じました。
変化に向き合いながら、利用者の「~したい」を大切に
20年以上、身体障害者の入所施設で働いていて思うことは、先の見通しをもって支援していかなくちゃいけないなということです。長年、入所されている利用者さんは高齢化とともに、ご本人の心身状況も変わり、だいぶ介護度が高くなっています。「外食したい」という希望を叶えるにも、お店で刻み食を用意できそうかなど考えます。特にコロナ禍は、外出を制約せざるを得なかったので、職員側も利用者さんと施設の外へ行く機会がなくなりました。今、再び少しずつ活動の幅を広げていますが、外出ひとつでも、職員が歩道で車いすを押して歩いたり、外出先でトイレ介助をしたりする経験がなく、どうにかしなくてはと思います。でも、利用者さんの「外出したい」「〇〇したい」という気持ちは、いくつになっても変わらないし、大事にしたいことなので、地道に職員側の経験を積み重ねていくしかないと思っています。
仕事の原動力と次を担う世代へのメッセージ
長年、この仕事を続けられたのは、とにかく利用者さんと関わることが好きだからなんだろうと思います。勤続年数が長くなり、責任もある立場になっているので、現場から離れて行う事務は増えてきています。でも、利用者さんとお話することが楽しいし、後輩職員の成長を感じることもたびたびあります。また入所施設は土日休みではないし、夜勤もありますが、利用者さんの24時間の生活の場なので、それゆえの面白さもあると思います。
利用者さんに拒まれたり厳しく当たられると、心が折れることもあると思います。でも利用者さんにもみな一人ひとり考えや理由があり、そこを紐解いていく。私自身は、利用者さんと接することを一番大事にしていて、仕事を続けていれば利用者さんから返ってくるものは必ずあります。変化を感じることができます。仕事を続けることによってみえてくるものがあるので、ぜひ続けてほしいと思います。
(写真 施設理念「一人ひとりにとって“価値”ある一日を」)
(写真 利用者さんからいただいた手紙や似顔絵)
--5【Information( 東社協トピックス/マンスリーニュース/ 東社協の本/ぼらせん通信)】
東社協トピックス
東社協 新会員のご紹介
保育部会
まなびの森 三鷹牟礼保育園/まなびの森 三鷹こじか保育園/わらべ豊田駅南口保育園/えにっくす/えにっくす八幡山保育園
知的発達障害部会
えがおのいえ/アメニティ府中/生活介護事業所ゆとろぎの森/ひこぼし/アトリエにっと
/リッコ浅草
身体障害者福祉部会
めじろ作業所
更生福祉部会
しのばず荘
東京都介護保険居宅事業者連絡会
訪問介護ステーション若里/訪問看護ステーションひまわり/居宅介護支援センターみやま
民間助成団体部会
独立行政法人 福祉医療機構
情報連絡会員
KN 久が原ライラック通り園/特別養護老人ホーム ノテ南船橋/国立駅南口子育ち・子育て応援テラス/八王子葵千人/特別養護老人ホーム さくら誠心園
マンスリーニュース 2026.4.26 ~ 5.25
(4/28)こども家庭庁「こども・若者総合調査」(令和7年度)を公表
15 歳から39 歳のインターネット上での他者との関わりについて、「何でも悩みを相談できる人がいる」という質問に「そう思う」と答えた人の割合は15.0%だった。地域の人との関わりについて、同じ質問に「そう思う」と答えた人の割合(11.2%) より高いポイントとなっている。
(5/4)医療・福祉の倒産、3年連続で過去最多(東京商工リサーチ調べ)
2025年度の医療・福祉事業の倒産が前年度比10%増の478件だった。経営者の高齢化や人口減少、コスト高が追い打ちをかけている。分野別でみると、「老人福祉・介護事業」が最も多く182件だった。次いで、「療術業」(108件)、「障害者福祉事業」(54件)、「児童福祉事業」(44件)が続いた。
(5/4)こどもの数45年連続減少15歳未満は1329万人に(総務省)
15 歳未満のこどもの数は、前年に比べ35万人少ない1329万人で、45年連続で減少した。男女別では、男子は681万人で、女子は648万人となっている。総人口に占めるこどもの割合は前年より0.3ポイント減となる10.8%で、過去最低だった。調査は毎年4月1日時点の推計を発表している。
東社協の本
ご注文は 東社協図書係まで ☎03-3268-7185
社会福祉施設・事業者のための規程集~運営規定編~【2024データ版】
(書籍画像)
令和6年1月に発行したデータ版をもとに、高齢・障害・児童分野の各事業の運営規程例について、関係法令等の令和6年4月施行の内容を踏まえて加筆修正するとともに、社会福祉法人運営にかかる定款細則例等を合わせて収録したものです。
◆形式Word2013、Excel2013、PDF(8.5MB)
◆発売日2024.05.16
◆定価5,500円(本体5,000円+税10%)
介護保険制度とは…〔改訂第14版〕
2017年5月26日に成立した地域包括ケアシステム強化法の中で改正された介護保険法に関するポイントを含め、制度をわかりやすく図表を交えて解説している小冊子です。制度の内容を理解するために、また地域や学校での学習会等での資料にぜひご活用ください。
◆規格A4判/32頁
◆発売日2019.08.05
◆定価440円(本体400円+税10%)
「保育現場における配置基準の見直し~見直すことで、こんな風に変わっていける! 」調査報告書
職員不足の実態を明らかにし、保育の質を保つための理想的な配置基準を知ることで、保育現場の諸問題が改善されるヒントをまとめた1 冊です。保育業界全体の質の向上や保育士のワークライフバランス実現など、配置基準の見直しの一助としてご活用ください。
◆規格A4判/242頁
◆発売日2024.09.30
◆定価1,320円(本体1,200円+税10%)
ぼらせん通信
「大学におけるボランティア活動支援に関する全国実態調査」報告書ができました!
(書籍画像)
東京ボランティア・市民活動センター(TVAC)は、全国1106校の大学等へ調査票を送付し、598件(回答率54.1%)の回答を得ました。追加ヒアリングを実施し、2026年3月に報告書を作成しました。調査からは、7割以上の大学等にボランティア活動支援部署があることや、活動内容、コーディネーター配置の有無による支援の違いなど、大学等における支援の実態が明らかになりました。また、地域との連携を望む声も多く、大学と社会福祉協議会、ボランティア・市民活動センター等の中間支援組織が連携し、地域社会の市民活動を支えていく重要性が示されました。ホームページにて報告書全文をPDFで公開しています。ぜひご覧ください。
PDF全文はこちらからダウンロードできます
(QRコード)
--6【くらし今ひと】
地域の頼れる“おっさん”になりたい
薬剤師として働くかたわら、屋台を引いてお茶を提供しながら健康相談に乗る「調剤喫茶farmatería(ファルマテリア)(以下、調剤喫茶)」の活動を行う石丸勝之さん。幼少期から現在の活動に至るまでのお話や、石丸さんが思う“ケア”について取材しました。
石丸 勝之さん
在宅医療専門薬局に勤務する管理薬剤師。休日は「調剤喫茶」や漢方カクテルを提供するバーのマスター、各種講演など精力的に活動している。
(写真)
ご近所づきあいが当たり前の環境で育つ
生まれてから大学卒業まで、足立区の花畑団地で育ちました。母親は団地内のトラブルを解決したり、病気のおばあちゃんの手伝いをしたりと、近所の“おせっかいおばさん”でした。漠然と「こんな風に近所の頼れる“おっさん”になりたい」と思うようになりました。
高校生の頃、アルバイトをしていたドラッグストアに、常連さんと雑談ばかりしている薬剤師がいたんです。その人目当てで気軽に来る常連さんや、時には思いつめた表情で店に来た人も、最終的にはみんな笑顔になって帰っていく様子を見て「薬以外でも人をケアできるんだ!」と強く憧れ、薬学部へすすみました。進路を考える時期になり、気軽に行けて健康や薬のことも相談できるカフェのような場所をつくりたいと考えるようになりました。「調剤喫茶」を考え始めたのもこの頃です。そのためにはまず、医療の上流にある病院での仕事を経験したいと考え、病院に就職することに。病院ではいろいろな学びがありましたが、薬剤師として患者さんの病気を癒すことも大事だけど、より患者さんの日常に近い場所が自分の居場所だと再確認し、地域の薬局へ転職を決めました。
仕事は充実していたのですが「調剤喫茶」をつくることがあきらめきれず、ちょうどコロナ禍ということもあって、自分の想いをSNSでどんどん発信していきました。次第に応援してくれる仲間も増え、さまざまな分野で活躍する方とも出会う中で、だんだんと「調剤喫茶」への夢が現実味を帯びてきました。そんな時に「患者さんの本当の生活が見えるのは在宅医療の現場だよ」と私の理想に対して真摯に指摘してくれた方がいました。その助言に感銘を受け、その方が運営する在宅医療専門の「まんまる薬局」へ転職し、今に至ります。
人と人が癒し合う、そんな場所をつくりたい
在宅医療は、毎日のように学びがあり、とてもやりがいを感じています。同時に患者さんに対して「在宅医療で関わる前に会いたかった」という想いも生まれてきました。現場では、孤独や孤立に陥っている患者さんとも多く関わります。そうなる前に薬剤師としてアプローチできることって何だろうと考えた時に、ずっと思い描いてきた「調剤喫茶」がその一翼を担えるんじゃないかと思い、2023 年から休日だけ活動を始めました。「調剤喫茶」では、医療に関心がない人たちに関わりたいなと思ったので、あえて薬剤師という看板は大きく掲げていません。道ばたで通りすがった人全員が私の患者さんだと思っています。
次のめざすフェーズは、お客さん同士がつながり、時にはケアの提供者として癒し合うことです。ケアは医療者だけの専業じゃない。お笑い芸人だって美容師だって、誰かがみんなを癒している。誰もが提供できて、循環するものであると私は解釈しています。「調剤喫茶」という場は、あくまでみんなが集まるケアの源泉。源泉の水自体はいろいろな人が持ち寄れて、私はその中心にいる「井戸」のような存在でありたい。今は屋台ですが、いつかはそんな場所をつくりたいです。
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7/4(土)・5(日)開催
第62回社会福祉セミナー
テーマ これからの若者支援
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6/18(木)申し込み締め切り!
主催(公財)鉄道弘済会 後援(社福)全国社会福祉協議会
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以上で、福祉広報2026年6月号を終わります。
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