【表紙】(写真)
「ニュー駄菓子屋サンマ」は、東京最西端のまち奥多摩にある持続可能な子どもの居場所づくりをテーマにした社会実験的なお店。レトロなゲームも多数そろっていて、子どもと大人がともに楽しむことができるサードプレイスです。
管 洋介 Yosuke Suga
P.2 ●社会福祉NOW
「酷暑時代」に福祉現場で働く人を守る熱中症対策
P.4 ●み~つけた
東京最西端の駄菓子屋。みんなでつくるやわらかい公共空間
ニュー駄菓子屋サンマ(奥多摩町)
P.5 ●連載 身寄りのない人を受け止められる社会に【第3回】
「助けて」と言えない孤立に向き合う―赤ちゃんのいのちを守るプロジェクトから
社会福祉法人賛育会 法人事務局 赤ちゃんのいのちを守るプロジェクト 事務局長 大江 浩 さん
P.6 ●福祉のおしごと通信 ~つなぐ眼差し~
子どもの選択に“付き合う”時間に価値を見出す
社会福祉法人愛隣会 目黒若葉寮 主任 原谷 大樹 さん
P.7 ●Information
研修室だより/マンスリー/ 東社協トピックス/ 東社協の本
P.8 ●くらし今ひと
認知症のことをもっと知ってほしい
藤島 岳彦 さん
【目次】
1社会福祉NOW
2み~つけた
3連載 身寄りのない人を受け止められる社会に 第3回
4福祉のおしごと通信 ~つなぐ眼差し~
5Information(研修室だより/マンスリー/ 東社協トピックス/ 東社協の本)
6くらし今ひと
--1【社会福祉NOW】
「酷暑時代」に福祉現場で働く人を守る熱中症対策
近年、熱中症リスクはこれまで以上に高まっています。特に福祉現場では、利用者支援を優先する中で、職員自身の体調管理が後回しになりがちです。今回は、熱中症対策を「組織で取り組むべき課題」と捉え、福祉現場で実践できる対策や留意点を紹介します。
厳しさを増す日本の夏
近年、夏の暑さはこれまでの感覚では語れないものになり、天気予報では「危険な暑さ」と表される日もあります。2026年4月、気象庁は新しい予報用語として最高気温が40℃以上の日を「酷暑日(こくしょび)」と定めました。今や暑さは生活や働き方にも影響を及ぼす大きなリスクとなっています。こうした暑さの変化の中で、避けて通れないのが熱中症対策です。
今回、熱中症対策について、特定非営利活動法人日本ファーストエイドソサェティ(以下、JFAS) の岡野谷純さんにお話を伺いました。JFASは、応急手当や災害支援等に関する普及啓発・研修を行っていますが、熱中症についても、中学・高校や企業向け研修、親子向け講座など、対象に応じた研修を全国で実施しています。
岡野谷さんは、「特に日本は湿度が高く、気温だけでなく湿度への対策も重要」と話します。湿度が高いと汗が蒸発しにくく、身体に熱がこもりやすくなるためです。また、「特に都市部では日中アスファルトに蓄積された熱が夜間に放出されることで気温が下がりにくくなるなど、夜間も身体が十分に休まらない環境が生じています」と指摘します。
福祉現場と熱中症対策
こうした状況を踏まえ、2025年に労働安全衛生規則が改正され、一定の条件下で熱中症のおそれがある作業については、事業者による対策が義務化されました。背景にあるのは、「熱中症対策は個人の体調管理だけの問題でなく、組織で職員を守らなければならない」という考え方です。福祉現場でも、以下のような業務が熱中症リスクの高い場面として挙げられます。
福祉現場で熱中症リスクが高い場面(例)
◆訪問支援(屋外移動・自転車移動等)
◆屋外作業・外遊び
◆入浴介助(高温・高湿度環境)
◆厨房での調理
◆その他空調管理が難しい環境での支援・業務
加えて、常時マスク着用、利用者の体感に合わせた室温設定など、軽い熱負担が長時間続く環境も熱中症のリスクにつながると岡野谷さんは指摘します。
では、福祉現場ではどのような対策を立てるとよいのでしょうか。岡野谷さんは、特別な取組みを追加するというよりも、日常業務の流れの中に対策を組み込んでいくことが大切との考えを示します。
●岡野谷さんによるポイント2点!
「ついで補給」をルーティン化
例えば、水分補給を“各自で適宜行いましょう” ではなく、普段の業務手順書等に明確に組み込み、決まったタイミングで水分をとることを仕組み化していくとよいです。
◆利用者へ配茶したら自分も一口
◆入浴介助の前後に一口
◆記録前に一口
このような「ついでに飲む」をルーティン化することは非常に有効で、また少量をこまめに飲むことで無理なく水分補給を継続でき、熱中症予防には適しています。
●職員同士で守り合う
あわせて、職員同士の声かけや観察も大切です。職場は常に忙しく、熱中症対策の必要性は分かっていても、つい後回しになってしまうこともあるでしょう。ただ、一人でも体調を崩すと、その影響は本人だけでは済みません。自分自身と仲間を守ることも利用者支援を続けるための大切な視点です。
特に新人職員は、目の前の業務をこなすのに手一杯なため、「いつ行けばいいかわからない」、「自分だけ飲みに行きづらい」、「飲み物を取りに行くまでの移動時間がかかる」と思い、ついつい機を逃してしまうこともあります。だからこそ、先輩職員が「水、飲んだ?」「少し休もうか」と声をかけることも大切です。新人職員にとってもタイミングがつかめれば、その後は自然に慣習化され、さらに後輩が入ってきた際にも指導してあげられるようになります。
また、熱中症は突然倒れる病気ではなく、その前段階で身体や行動に変化が現れることが多いです。気分が悪くなる、吐くというのはかなり症状が進んだ状態です。その前に、少しイライラしている、口数が減る、反応や動きが遅くなるといった「いつもとちょっと違うな」という変化が出ることがあります。もちろん熱中症によるものだけとは限りませんが、そうした小さな変化に気づくことが大切です。
福祉職は日頃から利用者の小さな変化を観察し、支援につなげています。利用者さんに向けている観察の目を、一緒に働く仲間にも向けてもらえればと思います。
また、職場における熱中症対策が義務化されたことを踏まえ、岡野谷さんは福祉現場の責任者・管理者層に向けて、「対策をしていたかどうかが問われる時代になってきている」と呼びかけます。「対策を講じていた上で起きてしまったことと、必要な対応をしていなかったことでは意味合いが異なります。大切なのは、ルールを作って終わりにすることではなく、職場全体で共有し、みんなが共通認識を持って行動できる状態にしておくことです」
また、職員一人ひとりに安全管理の考え方を浸透させることも重要だと話します。「何か起きた時に管理者だけの問題として考えるのではなく、組織全体で守り合う意識を持つことが大切です。そのためにも、日頃から職員同士で声をかけ合い、体調変化に気づける環境をつくっていけるとベストですね」
福祉現場の皆さんへのメッセージ
岡野谷さんからは、「現場は忙しいので、気づかずに時間が過ぎていることもあると思います。でも、大切なのは水分補給などの対策をきちんと続けられる環境です。利用者支援と職員自身の体調管理を切り離すのではなく、先述したように業務の流れの中に組み込んでいくことで、継続しやすくなります。
また、『まだ大丈夫』、『迷惑をかけたくない』と頑張ってしまう職員も多いです。だからこそ「水飲んできます」「休んでおいで」と言える空気をつくることが大切です。お互いの小さな変化に気づき声をかけ合える職場は強いと思います」とメッセージをいただきました。
利用者を守り、支援を続けるためには、まず福祉現場で働く方々が安全に働き続けられることが大切です。今年の夏も厳しい暑さとなることが予想されています。利用者のためにも、自分自身のためにも、無理をせず、周囲と声をかけ合いながら乗り切っていきたいものです。
特定非営利活動法人 日本ファーストエイドソサェティ
代表 岡野谷純さん
(QRコード 特定非営利活動法人日本ファーストエイドソサェティ)
(写真 岡野谷純さん)
●岡野谷さんおすすめ 簡単にできる!熱中症予防対策
「手のひら冷却」
最近、注目されているのが「手のひらや手首を冷やす」方法です。
手のひらや前腕には、体温調節に関わる特殊な血管(AVA 血管) が多くあります。暑い時には血管が広がることで体の熱を外へ逃がしやすくなるため、水で冷やすことは、熱中症予防の一つとして役立つと考えられています。
なお、氷水などの冷たすぎる水ではなく、一般的な水道水で十分とのこと。
例えば…
◆手洗いの際に手首まで流水を当てる
◆ご利用者の手洗い介助時に自分も冷やす
◆ 外から戻った際に、短時間でも流水で手を冷やす
などは、業務の流れの中でも無理なく取り入れやすい方法です。
今年の夏、日々の熱中症対策の一つとして、ぜひ実践してみてはいかがでしょうか。
※「手のひら冷却」は熱中症予防の一方法です。症状がみられる場合は、すぐに熱中症の応急手当を開始してください。
--2【み~つけた】
東京最西端の駄菓子屋。みんなでつくるやわらかい公共空間
奥多摩町 ニュー駄菓子屋サンマ
奥多摩に生まれた社会実験的な駄菓子屋
東京最西端のまち・奥多摩にある「ニュー駄菓子屋サンマ(以下、サンマ)」は、2024年10月1日にオープンしました。人口減少が著しい奥多摩町で、「子どもたちが安心して過ごせる持続可能な居場所をつくれないか」という問いから生まれたお店です。サンマという名前は、仲間・空間・時間の“3つの間” に由来しています。子どもたちが誰かと出会い、同じ場所で過ごし、何気ない時間を共有できる場にしたい。そんな思いが込められています。
店長の村上天悠さんは、中野区で「中野若者会議」に参画して若者の声を社会に届ける活動に取り組んできました。その後奥多摩に移住し、奥多摩では子ども・若者が地域や社会に自分の意見や思いを伝えられる場が限られていることに気づきました。「子どもたちが地域や社会と関わるためには、まず日常の中で自分の意思で安心して立ち寄れて、人との出会いの中から小さな経験を重ねられる場所が必要だと考えました。子どもたちが利用しやすい場所を模索した結果、“駄菓子屋” という形にたどり着きました」と村上さんは話します。
大人と子どもがともにつくるサードプレイス
サンマはもともと空き家だった場所を借り上げてつくられました。1階には駄菓子屋スペースとカフェ、奥には掘りごたつを囲んだ読書スペースなどがあり、子どもたちは無料で漫画を読んだり、思い思いにくつろいだりできます。2階は「みんなのスペース」として、ボードゲームや射的などを楽しめる場所になっています。
レジ横には、サンマのオリジナルコイン“サンマコイン” を入れるケース(写真)が3つあります。大人が日常的に飲む1 杯が子どものためになるというリアリティを物質的に体感してもらうこと、その使途を選ぶことで社会参画を気軽に体験してもらうこと、この2つがシステム導入の大きな狙いです。
大人がドリンクを購入するとサンマコインが手渡され、「おもちゃ・漫画等の充実」「子どもの買物に充当」「店内環境の改善」の3つのケースの中から選択して、自分が応援したい取組みのケースにコインを入れます。大人は楽しみながら気軽にお店づくりに関わることができ、子どもはサンマを訪れることで、人と出会い、遊び、くつろぎながら、時間を過ごすことができます。
地域のみんなでつくるサードプレイスであるために
これからの展望について村上さんは、「サンマが子どもたちにとってのサードプレイスであり続けるためには、民間だけでなく行政も含め、地域全体で支えていく取組みにしていくことが大切だと思います。民間による居場所づくりの一例としてサンマの取組みを広く知っていただき、それぞれの地域に合った様々なサードプレイスの誕生につながっていったら嬉しいです」と語ります。
ニュー駄菓子屋サンマ
場所: 東京都西多摩郡奥多摩町氷川151-1
営業時間: 毎週火・木・日: 13時~ 18時、土: 13時~ 20時 ※店主都合により不定休あり
(QRコード ニュー駄菓子屋サンマ)
--3【連載 身寄りのない人を受け止められる社会に 第3回】
「助けて」と言えない孤立に向き合う―赤ちゃんのいのちを守るプロジェクトから
大江 浩さん
社会福祉法人賛育会 法人事務局
赤ちゃんのいのちを守るプロジェクト 事務局長
(写真 大江 浩さん)
●賛育会の「原点」とプロジェクトの設立
プロジェクト(※)の設立は、賛育会の歴史とも深く関係しています。賛育会は1918年、困窮する母子を対象とした無料医療相談を始め、翌年には日本初の庶民向けの産院を開始しました。母子の保護・救済はいわば賛育会の「原点」です。
そして今、予期せぬ妊娠に悩み、孤立出産の末、赤ちゃんの遺棄や虐待死に至る痛ましい事件が起きています。賛育会はこうした孤立のゆえに起こる深刻な社会課題を看過できず、「原点」に立ち返り、プロジェクトを始めました。
(※)「赤ちゃんのいのちを守るプロジェクト」の3つの事業
① 妊娠したかもSOS 賛育会:夜間の匿名電話相談(2024年7月開始)
② 内密出産:病院の一部担当者にのみ個人情報を明かして出産すること(2025年3月末開始)
③ベビーバスケット:匿名での新生児の預かり(同上)
●現場から見える母の孤立と社会課題
内密出産で生まれた赤ちゃんや匿名で預け入れられた赤ちゃんは、児童福祉法の下で児童相談所が関与し、乳児院や里親養子縁組などへ命がつながれていきます。一方で、出産した女性に対する支援は、それと比べて十分とはいえません。
孤立する妊婦はそれぞれに様々な事情を抱えています。内密出産の希望者は、葛藤する余地すらないほど差し迫った状況で、時間をかけて相談するゆとりもないまま飛び込みに近い形で来院する例もあります。誰にも相談できず、一人で抱え込んだ末にようやくたどり着いたのだろうと思います。
利用者・相談者は、生活困窮の問題を抱え、かつ社会的自立がぜい弱で孤立無援状態にあるケースが少なくありません。家庭以外の人間関係においても安心できる居場所を見つけられず、いわば「社会のセーフティネットから抜け落ちている」状態にあることが浮かび上がります。
根底には、「愛された記憶」「守られた経験」「許され、助けられた経験」のないまま年齢的な成長だけになっているという現実があるのかもしれません。それは個人の問題というより「社会的な病」のようなものではないでしょうか。
だからこそ、「助けてと言えない」人にとっては、匿名の相談窓口は少しだけハードルが下がるのかもしれません。妊娠SOS相談は、「待つ支援」「聴くことを通して、痛みに寄り添う支援」です。相談者の中には、「初めて自分の話を聞いてくれた。ありがとう」と涙ながらに話す10代の子もいます。
ただ、目に見えないSOSの声にどう関わっていくのか、支援はどうあるべきかは、難しい問題です。答えはありません。模索を続けていかなければならないと思っています。
●ベビーバスケットが不要となる社会へ
人と人との関係をつなぐのは、「愛情」です。それは信頼関係の証でもあります。現代社会では、そうしたつながりが失われつつあり、「関係性の貧困」が静かに進行しているのではないかと感じています。追い詰められ、孤立出産の結果、「ベビーバスケット」という緊急手段を選択する可能性のある人は身近にもっとたくさんいるかもしれません。
虐待・いじめなどによって、人への不信感や拒否反応を持ちながら、育ってきた若者たちがいます。家庭から逃れ、ネットカフェなどを転々としながら、生きている若者たちがいます。そうした若者の孤立は、社会が作り出したともいえます。
地域や社会は、この現実を受け止めて、ともに考えていくことが大事です。もちろん、すぐに解決できる“ 特効薬” はありませんが、一人ひとりが想像力を働かせ、身近な誰かを大事に思う気持ちが少しずつ広がれば、社会は変わっていくと思います。
本来は、「ベビーバスケットが不要な社会」であるべきです。プロジェクトは出発点であって、賛育会がめざすのは、母子のいのちに限らず「すべてのいのちが守られる社会」です。福祉、医療、行政など、関係する皆が協力して、その社会をめざしていけることを願っています。
(QRコード 赤ちゃんのいのちを守るプロジェクト)
--4【福祉のおしごと通信~つなぐ眼差し~】
子どもたちへのケアワークを経て、現在自立支援コーディネーターを担う原谷大樹さん。“ 子どもの選択を尊重する”ことを大切に仕事に励んできたこれまでと現在の取り組みを伺いました。
施設を退所した若者を対象にした「わかば食堂」で彼らの顔を見ると、ここは安心できる場所だと思ってもらえるのかなと嬉しくなります。
社会福祉法人愛隣会
目黒若葉寮
主任 原谷 大樹 さん
(写真)
●やりたいを応援できる大人に
人に恵まれていた子ども時代だったなと思います。親だけでなく学校の先生や地域の大人たちが見守ってくれ、やりたいことを応援してくれました。進路をどうしようか考える中で「こんな気持ちを与える側になりたい」と考えるようになりました。福祉を学んでいた姉から児童養護施設の存在を教えてもらい、施設から学校に通う友人がいたことも思い出し、興味がわいて福祉分野の勉強をしようと大学に進学しました。実習で来た目黒若葉寮でのびのび暮らす子どもたちやいきいき働く職員の姿を見て、ここに就職することにしました。そこから20年近く、ずっと目黒若葉寮で働いています。
入職後から現在に至るまで、 東社協児童部会内の「自立支援委員会」に所属し、青年期の子どもの支援について他施設の職員らと学んでいます。施設を退所した子どもたちは低学歴による低収入の状況に陥ることが少なくありません。なんとかその状況を食い止められないかと思い、手段のひとつとして進学支援に力を入れています。「学校に通えなかった時期があるのに大学に通えるのか」「すぐ辞めるのではないか」と考える職員がいて、よかれと思っての心配が子どもたちの選択を制限してしまうこともあり、違和感を覚えていました。進学したいと言っている子とよく話をして、どうしたら実現できるか前向きに考えていきたい。そう思い、志願して今の自立支援コーディネーター*1 の仕事に従事するようになりました。
児童自立生活援助事業*2 における年齢要件の緩和などの制度改善がすすみ、これまで年齢を理由に退所していた子たちへの支援を続けられるようになっています。目黒若葉寮では児童自立生活援助事業所Ⅱ型の枠で施設から大学に通う子の支援をしていて、そうした先輩の姿を見ながら自分の進路を考える子もいます。制度をどう活用していくかが今後の課題であり、自立支援委員会でも「どうすればできるか」という視点で問題意識を共有しています。
*1 入所中から就職や進学など退所後の生活支援を、退所後はアフターケアとして個別相談等を行っている。
*2 義務教育終了後、措置を解除された児童等に対し実施する社会的自立の促進を目的とした事業
●「どうしたい?」を聞ける社会へ
子どもの権利条約第3 条では、「児童に関するすべての措置をとるに当たっては、(中略) 児童の最善の利益が主として考慮されるものとする」と規定されています。つまり、その子にとって最もいいことを実現するということですよね。そのために、大人の考えだけで決めず、子どもたち自身が何をしたいかを決める。「自分の人生を自分で決められている」と思ってもらいたいです。ここに来ている子たちの中には、これまでの育ちの中で声を聞いてもらう機会のなかった子も多くいます。ここに来たからには、「自分の思いを言っていい」と感じられ、生活の中で小さな選択を積み重ね、大きな選択ができるようにと願いながら日々接しています。
「来たくて来たわけじゃない」と話していた子が帰ってきたくなるような場所になり、将来のことを一緒に考えられる。そんな場所で子どもたちの成長を見届けられるのは元気が出るし、私自身の生きる力になっています。施設が変わらずあり続けるという価値は大きく、長く働いてきたからこその喜びも感じられています。
(QRコード わかば食堂について)
(写真 交流会の告知)
--5【Information(研修室だより/マンスリー/ 東社協トピックス/ 東社協の本)】
東社協トピックス
研修室だより
研修企画の充実に向けて研修ニーズ調査を実施します!
東京都福祉人材センター研修室では、 東社協研修受付システム「けんとくん」に登録いただいている施設・事業所を対象に、「研修ニーズ調査」を実施します。
この調査は、今後の研修テーマや実施方法、企画内容の充実に活かすことを目的に、おおよそ隔年のペースで実施しています。
この調査でいただくご意見に加え、研修後アンケートや研修に関する問合せなども参考にしながら、現場の課題やニーズを踏まえた研修企画を進めています。昨年度実施した『保育・児童分野におけるリスクマネジメント研修』や、『多様な人材が働きやすい職場づくり研修』は、皆様から寄せられた声をもとに企画した研修です。
研修室では、引き続き皆様からのご意見を活かしながら、現場の課題により即した研修の企画・実施に努めてまいりますので、ぜひ「研修ニーズ調査」にご協力くださいますようお願いいたします。
(QRコード <けんとくん> 東社協研修受付システム「けんとくん」はこちらから)
(QRコード <X>X では研修情報、研修室職員のつぶやき発信中!)
マンスリーニュース 2026.4.26 ~ 5.25
(5/29)人口1億2,305万人に 減少幅は過去最大〈総務省〉
2025年国勢調査の速報値で、日本の人口が1 億2,304万9,524人であることが分かった。5年前の前回調査から309万6,575人減った。なお減少幅も過去最大となった前回調査の0.7%から今回は2.5%となった。
(6/5)障害者グループホームの管理者に資格要件新設の方針を示す〈厚労省〉
障害福祉サービスの質の確保につなげるのが狙い。資格要件としては、指定障害福祉サービス事業所、指定相談支援事業所、指定障害者支援施設等の従業者として、3 年以上障害者の支援等に従事した経験を有する者で、共同生活援助管理者研修(仮称) を修了している者とした。
(6/17・19)17日改正民法・19日改正社会福祉法 衆・参両院で可決成立
改正民法では成年後見制度を利用しやすくする等の観点から、後見及び保佐の制度を廃止し、「補助」へ一本化した。改正社会福祉法では頼れる身寄りがいない高齢者等に対する日常生活・入院等の手続・死後事務の支援を行う事業を第二種社会福祉事業に位置付けた。事業には民間の事業者も参入できる。
東社協トピックス
夏の体験ボランティア2026 in TOKYOはじまる!
夏の体験ボランティアの季節がやってきました! 「新しいことに挑戦してみたい」「社会で起きている課題を知りたい」「多様な方に出会いたい」など、皆さんの新たな一歩をお待ちしています。今年限定の「ボランティア国際年」をテーマにしたものなど、様々なプログラムをぜひご覧ください!
(写真 告知バナー)
(QRコード ◀詳細はこちらから!)
令和7年度共同募金の御礼
令和7年度は都民・団体並びに法人各位のご理解とお力添えをいただき、第79回目の共同募金運動を実施し、従前の社会福祉事業に加え、経済困窮や社会的孤立など時代や世相を反映した社会福祉課題へも対応することができました。これからも皆さまのたすけあいのお気持ちを、支援を必要としている多くの方々へお届けできるよう努めてまいります。
皆さまのご支援に心より御礼申し上げますとともに、今後とも変わらぬご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
社会福祉法人 東京都共同募金会
東社協の本
ご注文は 東社協図書係まで ☎03-3268-7185
社会福祉施設・事業者のための規程集~運営規定編~【2025データ版】
(書籍画像)
本規程集は、労働関係法、育児・介護休業法その他直近の法改正を踏まえ、福祉施設・事業所に合わせて作成した、就業規則及び関連する規程例(約50 種)、様式、資料集です。働き方改革、同一労働同一賃金、変形労働時間制、ハラスメント対策、個人情報保護、ストレスチェックなど、いますぐ押さえたい重要項目を反映させています。
◆形式 Word、Excel、PDF
◆発売日2025.09.30
◆定価6,600円(本体6,000円+税10%)
社会福祉法人のための規程集 役員会等運営の実務編(CD-ROM付)
2017年4月施行の「社会福祉法人等の一部を改正する法律」の内容を反映させた規程集です。社会福祉法人の役員会等の運営において実務担当者が迷いやすい点を整理し、実務の手順をフローチャートにまとめました。
◆規格A4判・380頁◆発売2020.09.02 ◆定価4,400円(本体4,000円+税10%)
重層的支援体制整備事業 実践事例集 Vol.2 ~実施5区市の区市町村社協の取組みより~
重層的支援体制整備事業を実施している都内12の自治体のうち、本書は2023年度に5の自治体の区市町村社協に対して事業の取り組み状況のヒアリングを実施し、その内容をまとめた実践事例集の第2弾です。地域で活動する多くの関係機関、関係者に重層的支援体制整備事業における取組みを知っていただけると幸いです。 ◆規格B5判・98頁◆発売2024.05.13 ◆定価770円(本体700円+税10%)
--6【くらし今ひと】
認知症のことをもっと知ってほしい
働き盛りの50代で認知症の診断を受けた藤島岳彦さん。自身の体験を話すことで、認知症の早期発見につながってほしいという想いから講演活動や啓発活動を行っています。認知症の診断を受ける前と後の生活の変化や、当事者として今思うことを取材しました。
藤島 岳彦さん
57歳の時に若年性アルツハイマー型認知症の診断を受け、以後、仕事をしながら各種講演やイベントなどに登壇し、若年性認知症に関する啓発活動を行っている。趣味はマラソン。
(写真)
きっかけは小さな違和感から
東京で生まれ育ち、営業一筋で海外赴任を経験するなど、充実した社会人生活を送っていました。そんな生活が変わりだしたのが2022年。57歳の時です。そのころ新潟に赴任し仕事をしていたのですが、朝、家を出るときに鍵を閉めたかどうかが分からなくなって行ったり来たりを繰り返したり、自分の車を駐車場のどこに止めたか分からなくなったり。当時は住み慣れた東京を離れたばかりで「慣れない環境で疲れているのかな」と思っていましたが、自分が自分でないような、小さな違和感がずっとぬぐい切れませんでした。次第にネクタイの結び方を忘れたり、職場でもお客様の顔が判別できなかったりするなど顕著になっていき、とうとう会社の上司から退職と受診を勧められました。まさか自分が病気だなんて思っていませんでしたから、受診を勧められた時は悔しかったですね。病気ではないことを証明したいと思い、東京の病院で精密検査を受けたところ、若年性アルツハイマー型認知症と診断されました。
診断を受けて、不思議と落ち込むことはなく、むしろ違和感の原因が認知症だったんだと腹落ちして、正直「良かった」と思いました。もともと前向きな性格でもあったので「なってしまったものはしょうがない」と、そんな心境でした。
自分の経験を語ることで早期発見につなげてほしい
働くことをあきらめたくなかったので、若年性認知症総合支援センターから紹介いただき、いろいろな仕事にチャレンジしました。しかし、自分のスキルと仕事内容とのミスマッチングが続き、なかなか長続きしませんでした。そんな時に紹介されたのが、介護付有料老人ホームでのクリーンスタッフでした。まず働く上で自分ができないことを会社側にしっかりと伝えるようにしました。施設長やスタッフの皆さんも、私の病気について理解を示してくれて、おかげさまで今でも仕事を続けられています。働きやすい職場で、70歳までは頑張って働き続けたいと思っています。
同時に、若年性認知症に対して社会の理解がすすんでいない現実も知りました。認知症には「痛み」がないので、自分一人で気づくことが難しい病気です。だからこそ、多くの方に認知症のことを知ってもらうことで早期受診・発見につなげてほしい。そのために自分の体験がきっかけになったらいいという想いから、啓発活動も始めました。現在は、行政や地域包括センター、当事者会などが主催するセミナーや講演会で自分の体験をお話ししています。
認知症になったからこそ伝えたい
これまで、家族をはじめ病院の先生や看護師さん、若年性認知症総合支援センターの方々など、本当にたくさんの方たちから応援やサポートをいただきました。そのおかげで今、人生を楽しめています。啓発活動を経てさまざまな分野の方たちとの縁も広がり、認知症になったから世界が狭まっていくと思いきや、逆に広くなっている。認知症にならなければ見られない景色を見ることができています。これからも、仕事をしながら認知症の啓発活動を続けていきたいと思っています。
認知症についてさらに理解がすすみ、認知症になってもやりたいことをあきらめずに済む社会になることを願ってやみません。
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以上で、福祉広報2026年7月号を終わります
