【表紙】(写真)
軽快な音楽とともにやってきた移動パン屋さん。販売車が止まった途端、清瀬喜望園の利用者や地域の方が集まり、思い思いにパンを選んで購入していきます。おいしいものは自然と人と人をつなぐ―毎週金曜日のみんなのおたのしみです。
P.2 ●社会福祉NOW
地域づくりと共同募金 共同募金運動80周年に向けて
P.4 ●み~つけた
来てくれた人が心のモヤモヤを吐き出せる昼スナック
スナック「ひきだし」(港区)
P.5 ●連載 身寄りのない人を受け止められる社会に【最終回】
「身寄り」をめぐって見えてきたこと
P.6 ●Focus on! 今、こんな動きがあります
「当事者主体」という北極星を見失わないよう
東社協 知的発達障害部会
P.7 ●Information
フクシロウレター/ 東社協トピックス/マンスリーニュース/ 東社協の本
P.8 ●くらし今ひと
旅を通じて誰かの一歩につながったらいい
車椅子トラベラー 三代 達也さん
【目次】
1社会福祉NOW
2み~つけた
3連載 身寄りのない人を受け止められる社会に 最終回
4Focus on! 今、こんな動きがあります
5Information(フクシロウレター/ 東社協トピックス/マンスリーニュース/ 東社協の本)
6くらし今ひと
--1【社会福祉NOW】
地域づくりと共同募金 共同募金運動80周年に向けて
今年も10月1日から「じぶんの町を良くするしくみ。」をスローガンに、赤い羽根共同募金が始まりました。1947(昭和22)年から始まった共同募金運動は、今年で80回目を迎えます。クラウドファンディング等、寄付のあり方が多様化する中で、長い歴史をもつ共同募金運動がより地域に根ざした募金として生かされるためには、募金活動への住民理解・参加が不可欠です。今号では、豊島区民社会福祉協議会の取組みを紹介し、地区募金としての共同募金のあり方についてあらためて振り返ります。
「じぶんの町を良くするしくみ。」とは
共同募金は、赤い羽根共同募金と歳末たすけあい運動の二つから構成されます。
赤い羽根共同募金は1947 (昭和22) 年より、福祉施設・団体への助成を行い、歳末たすけあい運動は1952(昭和27) 年から、生活困窮者への見舞金の配布等を中心として展開されてきた経緯があります。しかし時代背景をふまえ、両募金の目的は2000 (平成12) 年の社会福祉法改正により「地域福祉活動」へ転換しました。地域住民および関係者が主体的に地域の募金を生かす方向性が打ち出され、現在に至ります。
共同募金の配分は、各都道府県の共同募金会に設置される配分委員会で審議され、理事会で最終決定が行われます。東京においては区市町村をベースとする「地区配分推せん委員会」を設け、地域で集めた募金をどのように配分するかを地域で決めることにより、自らの地域の福祉活動やコミュニティづくりの推進を図っています。『地域で集めて、地域で配る』という循環型のしくみを確立し、地域の実情に応じた取組みが広がり、よりよい地域共生社会をつくることをめざしています。
東京都共同募金会(以下、都共募) では、地区ごとに配分推せん委員会を設置することを推奨しており、現在50の区市町村で設置がされています。設置主体は、区市町村社協が50、その他が1となっています。地域ごとの課題やニーズを汲んだ取組みや活動へ募金が配分されるよう、配分推せん委員会が、「募金・配分」を一体的に考え、地域づくりとその財源となる共同募金をつないでいます。
地域で集めて、地域で配るとは
両募金とも、区市町村の地区ごとにお住まいの方々に呼びかける(地区募金) が、活動の中心を担っています。地区募金では、町会や自治会のご協力のもと呼びかけお寄せいただいた寄付がその多くを占めています。
募金で集めたお金を地域福祉活動へ配分し、地域づくりにつなげる。『地域で集めて、地域で配る』しくみを浸透させるためには、「地域住民の方に、募金がどのように使われているか知ってもらうこと」や「募金が自分の住んでいる地域の福祉活動に生かされていることを実感してもらうこと」が重要なポイントになります。
共同募金運動は長い歴史があるため、運動の名称としての認知度はありますが、具体的な使いみちの周知の方法はどの地区でも寄付を呼びかけるうえでの課題となっています。
2026年は共同募金運動が80回目を迎える節目の年です。今後も募金運動が継続し、活性化が図られるために都共募では、「共同募金と地域づくり」配分プログラムを設け共同募金をより知っていただくための「周知活動」を強化し、今年度、豊島区民社協が助成を受けプログラムに取り組んでいます。
豊島区民社協における『共同募金運動』より多くの住民に知ってもらうために
豊島区における共同募金運動も、他地区と同様に、町会や自治会の協力のもと展開しています。毎年度、共同募金運動をすすめるにあたっては、区内の地域福祉活動を担う団体や施設等に配分することにより地域づくりをすすめられるよう目標額を定めています。しかし、町会や自治会といった既存のコミュニティとつながりを持たない住民層も増えていく中で、これまで以上に、共同募金運動の裾野を広げるための「募金活動の周知」は課題となっていました。ネットやSNSを通じた広報にも力を入れてきましたが、多くの区民に知ってもらうには限界がありました。そのためさらなる仕掛けが必要と考え、配分を受けた団体と協働して、老若男女みんなが参加できるイベント「みんなで助け合い!としま赤い羽根フェス」を今年度、企画しました。
豊島区民社協で共同募金を担当する総務課地域支えあい担当の小暮暁さんは「イベント形式をとることによって、子どもから高齢の方まで、年齢問わず、楽しみの中から共同募金の意義や目的を知る機会をつくりたい」と話します。
若年層へのPR機会となることや地区で集めた募金が地域の福祉活動にどのように生かされているかを知らない方も多いので、具体的に見える形で周知し、共同募金運動が広がることをめざしています。
地元住民の方たちと協働してつくる
イベントでは、配分を受けた団体も多数参加し物販ブースを出展します。物販と合わせて、共同募金をどのような活動へ生かしているかの掲示なども行います。
また、イベントに先立ち夏休み期間中に、「みんなで助け合い!赤い羽根募金箱コンクール in としま」を行いました。保育園児から小学6年生までの応募があり、募金箱を作成した子どもたちからは、「赤い羽根でみんなのやさしさが届き(略)笑顔で幸せに暮らせる温かい町になってほしい」といったメッセージが寄せられました。
総務課長の小林聖子さんは「寄付者から配分先団体の活動が見えづらい。配分先団体の方々には、以前より、配分を受けるだけではなく、募金箱を置いてもらう等、募金活動そのものへの協力やどうやって集められているのかも知ってもらうように働きかけを行ってきた」と話します。今回のイベントでは、寄付者と配分を受けた団体・活動が見える形でつながる場を作り、地域で集めた募金がどのように生かされているのか、募金が地域づくりへどうつながっているかを実感してもらう地元密着のイベントとなっています。
共同募金運動で特に大切にしたいこと
豊島区民社協の澤口清明さんは「寄付文化と言われるが、文化は時間をかけて育まれるものだと思う」と話します。また小林さんは 「すべての社協に共通のことかと思うが、事務局だけでは募金活動はできないと感じている。住民の方々と協働すること、また、子どもにも参加してもらうこと。一緒に募金活動に関わる機会をつくることにより、より多くの募金を集めることも目的ではあるが、それ以上に、寄付文化を醸成することにつながることが大きい。それにはいろいろな団体と手をつないでやっていくことが重要」と話します。
共同募金が地域づくりに生かされるために
都共募事務局次長の近江信孝さんは「共同募金運動は、地域の方が抱える福祉課題・ニーズに対し、皆が力を合わせて主体的解決の道筋を考えるきっかけとなります。誰もが安心して暮らすことができる地域づくりのために、共同募金という資源を役立ててほしい」と考えています。
共同募金運動が、募金する人、配分を受ける人という対の関係性だけでなく、地域全体で地域づくりを考え、時代や地域のニーズに応じた地域福祉活動を広げるきっかけとなる「地域の活動」として根付いていくことが、一層、期待されます。
インフォメーション
(写真 赤い羽根フェス チラシ)
● みんなで助け合い!としま赤い羽根フェス
シンポジウム「あなたが支える豊島区で挑戦する人たち-
若者・妊婦・障がい者支援の現場から-」は動画配信もされます。
● 10月18日(日)14時~15時30分
当日、豊島区で若者や妊婦、障害のある方を支える活動に取り組む団体の皆さんと、募金を支える町会の皆様が集います。
(QRコード 参加申込)
(登壇者)
荒井佑介氏 特定非営利活動法人サンカクシャ代表理事
中島かおり氏 認定NPO法人ピッコラーレ代表理事
天摩賢一氏 特定非営利活動法人ゆうかり理事
宮長定男氏 社会福祉法人泉湧く家理事長
榊原清氏 豊島区町会連合会会長
--2【み~つけた】
来てくれた人が心のモヤモヤを吐き出せる昼スナック
港区 スナック「ひきだし」
「思いつき」から生まれたテーマをスナックイベントに
赤坂見附にある「スナックひきだし」(以下、「ひきだし」)は、昼間から、見知らぬ人同士が気軽につながれて、飲み物片手に会話が楽しめる場です。
「オープン時は45歳以上の中高年の方に元気になってもらうため、心のモヤモヤを吐き出せる場というコンセプトでオープンしました」とオーナーの紫乃ママこと木下紫乃さんは話します。今では世代の枠にとらわれず、だれもが気軽にモヤモヤを吐き出せる場になっています。
「ひきだし」では、通常のスナック営業以外にも、ママ・マスターたちのさまざまな「思いつき」から生まれたイベントも開催しています。紫乃ママは、2年前に社会福祉士の資格を取得されました。勉強を通して特に関心を抱いた分野が「刑事司法と福祉」でした。「刑務所から出た人が、スマートフォンや銀行口座、身分証明書も持っていないのに、社会復帰しろと言われてもどうやって更生をしていけばよいのか」。そんな疑問から、更生保護(*) に詳しい方をマスターに迎え、こうしたテーマをゆるく話してもらうイベントを数か月に1度開催したり、あるいは毎年夏には「夏休み子どもノンアルスナック」を開催し、子どもたちにママ・マスター体験としてカウンターに立ってもらっています。
子どもを連れてこられる保護者の方たちのコミュニケーションの場にもなっているとのことです。
福祉関係のママ・マスターが悩みを聞く
「ひきだし」では、さまざまな経歴を持つ約30人のママ・マスターがいます。その中には介護職や看護師、臨床心理士の経歴を持った方がカウンターに立ってお話を聞くこともあります。「病院や福祉の相談窓口に行くほどではないと思っていても日々の暮らしのなかで健康や生活のことでの不安や、親の介護、子どもの障害等のことで小さな悩みを抱えている方は大勢います。支援する人と支援される人という関係ではなく、気軽にモヤモヤを吐き出せるようになったら」と紫乃ママは話します。ママ・マスターを務める専門職にとっても普段の仕事では聞けないリアルな悩みを聞くことができる機会となっています。
スナックを飛び出し福祉施設にも
今後さらに広げていきたいと考えているのが「出張スナック」です。これまでにも就労継続支援B型事業所や企業などで出張スナックを実施してきました。「B型事業所で開催したスナックでは、いつもは利用者さんの課題を解決する立場の支援員さんが、ご自身が抱える悩みをボソッと吐き出したり、利用者さんが日本酒の銘柄にとても詳しくて、それを他の方に教えてくださったりと、普段の“支援する人” “支援される人” という立場を超えて、フラットな人と人との付き合いの場が生まれたりしています。利用者さんも施設の中で支援される人として淡々と生活しているだけでは、つまらないじゃないですか。たまには、利用者の方、施設職員が垣根を外してともに楽しんで話ができるような、きっかけづくりのお手伝いをやっていきたいです」と紫乃ママは言います。
「ひきだし」の取組みは店のカウンターを越えてさまざまな形で広がっています。
*更生保護: 犯罪や非行をした人が社会に復帰し、改善更生することを助けることにより、安全安心な地域社会をつくることをめざす活動
(QRコード スナックひきだし)
--3【連載 身寄りのない人を受け止められる社会に 最終回】
「身寄り」をめぐって見えてきたこと
5月号から計5回にわたり、さまざまな立場から「身寄り問題」を考えてきました。取材を通して見えてきたのは、「身寄りがある/ない」だけでは捉えきれない孤立や、他者を頼ることの難しさでした。最終回では、これまでを振り返りながら、「身寄り」の有無にかかわらず誰もが安心して暮らせる社会について考えます。
5回の連載を振り返って
まずは、これまでの連載の内容を振り返ります。
5月号では、「身寄り問題」は高齢期に限らず、さまざまな年齢層、場面で起こり得る問題として捉え、地域の多様な主体が協働する必要性を考えました。6月号では、知的障害のある方の親なき後、本人の体調管理など、日常生活を支える役割を誰が担うのかを考えました。7月号では、予期せぬ妊娠に悩み、誰にも頼れず孤立してしまう人に向けた内密出産等の取組みに触れました。8月号では、里親家庭で育った若者が「信頼できる大人=地域の応援団」を増やしていくことの大切さを取り上げました。9月号では、ひきこもりの人にとって、「この人なら頼っていいかもしれない」と思える関係を築くことについて考えました。
「身寄り」という言葉から考えられること
「身寄りのない人」と聞くと、家族や親族がおらず、そうした人を頼ることができない人を思い浮かべるかもしれません。しかし、取材を重ねる中では、「身寄り」という言葉そのものに違和感があるという声も聞かれました。
家族や親族がいて、一見頼れる先があるように見えても、さまざまな事情から頼ることができない人がいます。その一方、血縁関係がなくても、困ったときに気に掛けてくれる人や、安心して戻れる場所、相談できる関係を持っている人もいます。いくつかの取材先では、そうした関係もその人にとって一つの「身寄り」になり得るという話がありました。こうした考え方は、国の「地域共生社会の在り方検討会議」の議論とも重なります。中間とりまとめでは、地縁・血縁・社縁といった従来のつながりが弱まる中で、新たな人と人とのつながりを地域で生み出していくことの重要性が示されています。
つまり、「身寄りがある/ない」と単純に分けるだけでは、その人が実際にどのような頼る先や関係を持っているのか、どの程度孤立しているのかを十分に表すことはできないということです。
また、「身寄り問題」を考える上では、大きく二つの側面の課題があるのではないでしょうか。一つは、入院や住まい、契約など、社会や制度のさまざまな場面が「血縁を基本とした身寄りがあること」を前提に成り立っているという、社会のしくみの側面です。もう一つは、本人が「自分には頼れる人がいない」「誰にも頼れない」と感じ、困りごとを抱えていても助けを求めること自体が難しくなっているという関係性の問題です。
これまでの取材でも、支援制度や相談先等があっても、そこにつながること自体が難しい人がいることが分かりました。7月号では、誰にも相談できず「社会のセーフティネットから抜け落ちている」状態にある人がいることが語られ、9月号では「つながっていることとSOSを出せることは違う」という言葉もありました。
こうして考えると、二つの課題は別々に存在しているわけではありません。制度や社会の側にある「身寄りがあること」を前提としたしくみや、支援につながりにくい環境が、「誰にも頼れない」という本人の孤立感や孤独感を強めていることとも考えられます。
身寄りのあることを前提としない社会づくりに向けて
東社協総合企画委員会からの提言では、共有したい視点、めざす方向性として「誰もが直面しうる、領域を超えた共通課題として位置づける」ことを示しています。この提言にもあるように、まずは「身寄りのあることを前提としない」という考え方を、福祉関係者だけでなく地域全体に理解を広げていくことが必要ではないでしょうか。家族関係や暮らしの変化によって、誰もが頼れる人を持ちにくくなったり、頼ることそのものが難しくなったりする場合があります。それを前提としたうえで、支援のあり方についても、身寄りの有無や本人の他者を頼る力によって利用しやすさ、アクセスのしやすさに差が生じない形へ見直していくことが必要です。あわせて、本人を中心に意思決定や意思表明ができるよう、家族だけに依らず、地域や支援者との関係づくりを支えていく視点も重要ではないでしょうか。
(QRコード 総合企画委員会からの“協働”による取組みの提案“身寄り”問題への取組み(令和7年11月26日))
--4【Focus On!】
「当事者主体」という北極星を見失わないよう
東社協 知的発達障害部会
東京都社会福祉協議会では、「令和7~11年度 東社協中期計画」において“協働”ですすめる取組みの柱を設定しています。今号からのFocus on!では、それぞれの柱に沿って定めた令和8 年度の重点取組みについてご紹介します。
連載1回目は、取組みの柱Ⅲ「暮らしの安心づくり」に位置付けられた知的発達障害部会の取組みについて、部会長で(社福)武蔵野会 練馬区立光が丘福祉園施設長の金澤正義さんに取材しました。
(QRコード 東社協中期計画についてはこちら)
節目を迎えた“ 東京大集会” とは
知的発達障害部会の特別委員会である「本人部会」は、前身の「本人の会(語ろう会)」を含めると30年以上の歴史があります。この頃から今も変わらず、知的発達障害の当事者が部会活動の主体であること、彼らの意見表明の場をつくることを大切にしてきました。国連で「障害者の権利に関する条約」が採択された2006年、日本では障害者自立支援法が施行、サービス利用料の応益負担等が導入されました。これに対し「利用したサービス量に応じて自己負担が増え、所得の多寡を問わず平等に負担を求める制度はおかしい、当事者の意思をふまえた施策になっていないと訴える必要がある」との部会員らの思いをきっかけに、『9.2東京集会(現在の東京大集会の前身)』が行われたのです。
本年9月5日に行われた東京大集会は20回目を迎えました。金澤さんはこれまでの活動を次のように振り返ります。「私たちは東京の障害福祉関係6団体*で協働して、その時々の問題意識をきちんと社会的に発信していこうという考えで東京大集会に取り組んできました。ここ数年でいうと、国連障害者権利委員会による総括所見(2022年) を受けて、障害当事者が自分たちのくらしの中における生活の場の確保や、自分たちのくらしを自分たちで選べる社会にしていくことの大切さを提起しています。それを当事者本人が自分の言葉で語り参加者がそのメッセージを受け取ることが重要で、支援者は日々の支援につなげ、東京都議会議員の皆さんには施策につなげてもらえるよう働きかける機会にしています。節目である今年度は、改めて“意思決定支援” をテーマに据え開催しました」。往々にして、福祉サービスはそれを利用する本人抜きに決められてしまうきらいがありました。誰もがその人らしく生きていける地域づくりのためには、当事者主体で本人の意思決定を支援することが肝要だと金澤さんは繰り返し強調します。
(写真 *障害福祉関係6団体: 東京都発達障害支援協会、東京都手をつなぐ育成会、東京知的障害児・者入所施設保護者会連絡協議会、東京都自閉症協会、日本ダウン症協会、東京都社会福祉協議会知的発達障害部会)
これからの部会活動のあり方
約50年前に発足した知的発達障害部会は、いまや500を超える会員数にまで大きくなりました。障害福祉へのニーズや関心の高まり、当事者や家族、支援者らの訴えによる施策の整備等、会員数増加の要因はさまざま考えられますが、規模が拡大してもすべての部会員にとってよりよい部会活動になるよう、そのあり方を考えていく必要があります。「委員会などの要否を検討しスリムにしたり合理化したりしながら、部会として大事にしたいことはブレずに活動ができるよう工夫したいです。会員にとって役立つ部会活動でありたいし、何より日々各施設で支援している障害当事者の皆さんの生活をより豊かなものにしていかなければならないと考えています。現場のニーズに即した研修も必要だし、役員が“部会として大切にしたい” ことも浸透してほしい。その両方を知ってもらうため、広く情報を伝えるように心がけています」と金澤さんは話します。
広い視野を持ちながら目の前の支援を
苦悩の色を浮かべながらも、支援者としての矜持を持った表情で金澤さんはこう言葉を紡ぎます。「確かに障害者雇用率の上昇や福祉サービスの充実等改善している点も多々あります。しかし、10年前に津久井やまゆり園での凄惨な事件が起きてしまったことや障害者施策をめぐる昨今の国際的な情勢など、油断できない状況がまだまだあります。そうしたことに目を向け警鐘を鳴らしていくことと同時に、日々の支援において当事者の尊厳や人権を傷つけるようなことが決して起きないよう研鑽に励んでいます。自分たちを律しながら当事者主体のくらしの実現のため、部会全体としていろいろな人を巻き込みながら活動をすすめていきたいです」。
「東京特有の課題を背景に設置された都外施設も私たちの大切な仲間です」。
(QRコード 都外施設紹介ページ)
--5【「福祉人材確保への取組み」フクシロウレター/Information( 東社協トピックス/マンスリーニュース/ 東社協の本)
「福祉人材確保への取組み」フクシロウレター
身近な地域で働きたい!を応援する「福祉のしごと相談・面接会」
東京都福祉人材センターでは、福祉の仕事に対する理解促進と地域の福祉人材の掘り起こしをめざし、各地区で相談・面接会を実施しています。該当地区の区市町村社会福祉協議会や社会福祉法人連絡会、ハローワーク等と連携して行う本事業は、地域の施設・事業所がブースを出展し、求職者の相談や質問に直接応えます。昨年度は延べ1,330名が参加し、115名が採用に至りました。
今年度も25地区で随時開催中です。
このほか、人材センターでは資格取得支援や求職者向けセミナー開催などさまざまな事業を実施しています。各事業の詳細やイベント情報は、ホームページよりご確認いただけます。
(QRコード 人材情報室ホームページ)
東社協トピックス
競輪補助事業完了のお知らせ
この度、2025年度の競輪の補助を受けて、以下の事業を完了いたしました。本事業の実施により、判断能力が不十分な人々の権利擁護支援に関わる人向けの研修のための動画を作成いたしました。
事業名 2025年度子ども・若者、高齢者、障がいのある人等が相補的に関わることのできる地域共生型社会づくりを促進する活動やその調査・研究等事業
事業の内容 判断能力が不十分な人々の権利擁護支援の為の研修動画
補助金額 420,750円
実施場所 東京都新宿区神楽河岸1-1
完了年月日 2026年3月31日
「西脇基金 感謝の集い」を開催
2026年8月18日、西脇基金の奨学金を使って進学した児童養護施設の子どもたちと、施設長や自立支援関係職員等145名が集まり、『西脇基金感謝の集い』を飯田橋セントラルプラザで開催しました。西脇基金にご寄付やチャリティコンサート開催等で長年ご協力いただいている方々へ、直接感謝の気持ちを伝える場となり、また子どもたちと寄付者が直接交流し、とても和やかな時間となりました。
今後もチャリティコンサートでの寄付等、引き続きご協力いただきながら、本基金を運営してまいります。
(QRコード 当日の詳細はこちらから)
マンスリーニュース 2026.8.28~9.10
(8/28)待機児童2,435人で9年ぶりの増加
こども家庭庁は2026年4月1日時点で、希望しても保育所などに入れない待機児童が2,435人だったと発表した。前年より181人多く、9年ぶりの増加となった。しかし、待機児童数はピークであった17年の10分の1以下となっている。自治体別では世田谷区が最多で166人、次いで足立区が106人だった。
(8/31)医療・福祉分野で働く外国人労働者13.7万人
厚生労働省は2025年の「外国人雇用実態調査」の結果を公表した。医療・福祉分野で働く外国人労働者は13万6,999人となり、在留資格別に見ると、「専門的・技術的分野」が8万9,958人で全体の65.7%を占めた。このうち特定技能が5万8,995人で43.1%、技能実習は1万6,314人で11.9%を占めた。
ピックアップ(9/10)「心中」から「保護者の自殺を伴うこどもの虐待死」へ〈こども家庭庁〉
「こども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第22次報告)」が公表された。
2024年度に虐待によって死亡した子どもは77人で、前年度から12人増えた。また今回の検証から、子どもへの権利侵害を明瞭にするため「心中」を「保護者の自殺を伴うこどもの虐待死」、心中以外を「こどもの虐待死」にそれぞれ名称を変更した。
東社協の本
福祉施設にできる災害時の利用者と地域の高齢者・障害者・子どもたちへの支援は…?
災害発生時の要配慮者支援に関して、福祉施設・事業所の視点から、取組みの工夫や課題を探ることを目的として、実施したアンケート調査です。本書では、第一章に「調査結果をふまえた11のポイント」を、第二章で「調査結果の概要」をまとめ、さらに資料編を掲載しています。
◆規格 A4判・110頁
◆発売 2019.06.11
◆定価 660円(本体600円+税10%)
(写真)
高齢者福祉施設における 災害時相互応援ガイドライン
大震災が発生した場合、被害が少ない地域(被災地外の施設) から被害の大きい施設(被災地内の施設)へ迅速かつ円滑な支援(相互応援)を行うことが求められます。本書では、それを検証するために実施した3訓練の事例を掲載しています。
◆規格A4判・64頁
◆発売 2014.02.21
◆定価 1,100円(本体1,000円+税10%)
保育園における震災時対応ガイドライン~子どもたちの命を守るために~(DVD付き)
東日本大震災で被災した保育園へのヒアリング等をもとに、子どもたちの命を守るため、いつ、何を、どのように行うべきか検討しました。職員が的確かつ迅速に対応するためのガイドラインとして、対応マニュアル編、訓練編、資料編の3章に分けて解説しています。
◆規格 A4判・72頁
◆発売 2014.02.03
◆定価 2,750円(本体2,500円+税10%)
--6【くらし今ひと】
旅を通じて誰かの一歩につながったらいい
不慮の事故により18歳で車椅子生活を余儀なくされ、28歳の時に約9か月かけて単独で車椅子世界一周の旅を実現した三代達也さん。その人生を辿りながら、旅をするきっかけや伝えたい想いなどについてお聞きしました。
車椅子トラベラー
三代達也さん
18歳の時に不慮の事故で車椅子生活となる。28歳で単独車椅子世界一周旅行を終えて帰国。現在は旅行会社のバリアフリーツアーの監修や全国での講演などを精力的に行っている。2021年に沖縄移住。
(写真)
人生を変える“ 師匠” との出会い
18歳の時に事故に巻き込まれ、頸椎を損傷し四肢麻痺になりました。幸いなことに足は少しだけ動かせたので、2年ほどリハビリに専念していたのですが、機能回復は望めず車椅子生活に。「人生終わったな」と自暴自棄になり、リハビリ施設でも無気力な日々を過ごしていたのですが、ある時、同じ病室にいた僕より障害の重い50代のおじさんに「なんでそんなに身体が動くのに、人にやってもらうばかりなんだ」と喝を入れられました。彼から見たら僕は身体が動くと思われているんだと衝撃を受け、同時にできるのにやっていないことに気づきました。それからその人からのいろいろな課題やアドバイスに応えていくうちに、車椅子でもできることが増えていったんです。忘れられない出会いであり、その人は僕の人生の“師匠”になりました。
車椅子トラベラーとして世界一周の旅へ
東京で一人暮らしを始めたのも師匠のすすめです。ある時、同僚との雑談でハワイはバリアフリーが整っているということを聞き、単独でハワイへ旅に出ました。23歳の時です。現地の人たちの寛容さと温かさに感動し、すっかり海外旅行のとりこになりました。
帰国後は就職を試みましたが、心も身体も疲弊してしまい退職。未来をあきらめかけた時に、最後に一番楽しかったことをしようと思い、頭に浮かんだのが海外旅行でした。どうせ行くなら、世界のバリアフリー事情や旅での出来事を発信しようと、単独で世界一周旅行を決意。そして、ヨーロッパからアジア、南米、北米を周り、計23か国、270日間にわたる長い旅を無事終えることができました。
それまでの僕は、まだまだ障害を受け入れられず、どこか引け目を感じていました。しかし旅行中にいろいろな人たちに助けてもらい、人との縁や“心のバリアフリー”を目の当たりにするうちに「障害があっても希望を持っていいんだ」という想いが芽生え、人生観が大きく変わりました。
前へすすむ勇気の大切さを伝えたい
世界一周旅行後、旅の様子や海外のバリアフリー事情などを発信した内容が話題になり、取材や講演依頼が続きました。現在は旅をしながら情報発信と講演活動をライフワークにしています。
これまでの人生を辿ってみると、人との出会いや縁に恵まれ、少しの勇気をもって行動したことで人生が好転していきました。講演でもよく話すのですが、まずは少しずつでもいいので一歩踏み出してみてほしいと伝えています。聞いてもらえる人を増やす、気になる場所に行ってみる、何でもいいと思うんです。その小さな一歩が、人生を変えるきっかけになるかもしれないから。
これからも、僕の経験が誰かの一歩につながったらという想いを大切に、旅を続けていきたいです。
(QRコード 三代達也さんInstagram)
今月の表紙より
表紙の写真は、高校生を対象に実施した「福祉施設に滞在するBeing Thinking Tour」の舞台となった清瀬喜望園の日常の一コマ。隣接する清瀬療護園とともに「ただ、そこにいる」滞在をし、福祉のこと、自分のこと、誰かのことを考える濃密な2日間を過ごしました。
Photo by Summery Bird Cakes Film
以上で、福祉広報2026年10月号を終わります。
