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つながる笑顔のかけはし

東京都社会福祉協議会

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「みんなで創って みんなで育てる」ための働きやすい制度設計

豊川保育園の様子

法人情報・改善テーマ

法人情報

主な事業:保育所、一時保育事業
地域:区市部
施設数:3施設(平成28年度時点)
職員数:129名(常勤79名、非常勤50名)
依頼した専門家及び費用:社会保険労務士、約97万円

改善テーマ

人材確保

取組のきっかけ

法人創立以来、1法人1施設であった体制が近年3園となり、職員も3倍に増えた。3園になったときに、労務関連の法改正へ対応するため社会保険労務士に相談した。それをきっかけに、かねてより課題であった「人材の確保」に関する法人の課題が整理され、解決に向けた3つの取組みを行うこととなった。

課題

課題1.正規職員の中堅層の就労継続
課題2.非正規職員の定着化
課題3.常勤的非常勤職員の人事賃金制度の統一化

取組1:子育て期職員の就労状況の改善により就労継続を図る

分析

3園の正規職員の年齢別就労分布をみると、共通して30代半ばの中堅層が少ない状況であった。産休育休後、第1子までは継続しても、第2子出産で退職するケースが多く、経営の観点からも人材の損失が課題となっていた。

実践

専門家の助言を得て、仕事と子育ての両立・継続をサポートし、正規職員が子育て等でやむを得ず離職することなく働き続けられるよう制度設計を行った。具体的には、職務内容や時間の限定に加え、勤務地を一定の範囲に限定する等が選択できる限定職員制度(当法人では「両立支援制度」と名付けた)をスタートし、制度の明確化による職員の継続就業意欲の向上を図った。

制度設計にあたっては、限定職員を支える側との合意形成を図るため、法人役員、施設長段階の検討(計8回)にとどまらず、3園の職員との研修・会議(全体1回(常勤職員)、各園1回(非常勤職員を含む))を経ながら検討を進め、3月の理事会に就業規則の一部改正提案を行った。社会保険労務士の先生には、全体説明に加え各園にて説明をしてもらったため、全4回話してもらった。

取組2:非正規職員の定着化を図る

分析

日々の業務は非正規職員無くしては成立しない。しかし、毎年の契約更新は当事者にとって不安の材料であり、就労意欲の妨げになっていた。この声は毎年度実施している非常勤職員との話合いでも出されていた。

実践

労働契約法の改正により、有期契約から無期への道が開かれたことを前向きに捉え、今年度末より契約更新時に制度の説明をしている。意欲のある人がより帰属意識をもって働けるようになっている。説明会は各園にて実施した。

取組3:常勤的非常勤職員の再評価

分析

常勤的非常勤(有資格者のフルタイム職員)の評価や賃金が、3園でばらつきがあった。正規職員と常勤的非常勤職員の一層の協働、成長を図るため、賃金決定基準の明確化が課題であった。

実践

正規職員の人事賃金制度の基準に準拠する形で、非常勤職員の位置づけ(責任・職務内容)と賃金昇給の明確化をした。
もともと今回の支援を受ける前年度から、正規職員の人事賃金制度の再構築をスタートしていたため、その基準に準拠する形で、スムーズに非常勤職員の基準を位置づけることができた。

工夫した点
  • 10年ほど前から経営コンサルタントの協力を得て、従来の年功序列型の人事制度を刷新し、さらに3~4年前からは評価制度を給与にも反映させるよう制度の整備を進めてきた。そのおかげで今回の制度設計に関しても、これまで整備した骨組みを基本に、新たな制度の選択に伴う給与の調整等を付加する形で、スムーズに検討することができたと感じる。
  • 経営側として、選択の幅が広がるよう正規職員の制度をつくり、加えて非常勤職員の制度も役割・責任と賃金昇給の明確化を行い、全職員が働きやすい環境づくりを心がけた。
  • 「みんなで創って、みんなで育てる」という法人全体の経営・運営理念を新たな制度設計に関しても実践し、全員が決定に参加するよう留意した。
成果
  • 初年度である平成29年度は、4名の職員が限定職員を選択し、ワークライフバランスの向上に役立ててもらうことができた。2年目となる平成30年度も限定職員を希望する職員が出ている。
  • 区よりワークライフバランス推進企業として認定を受けた(主な取組み:法定基準を上回る有給休暇及び産前休業の付与/短時間勤務に対応したシフト細分化、1ケ月単位の変形労働時間制採用/能力開発、資格取得を促進する業務環境の整備)。認定については新規採用の募集要項にも掲載して、アピールポイントとしている。
まとめ(改善のポイント)
  1. M字型の職員構成を改善するために、子育てや介護をしている職員が継続して就労できるよう、職務内容や時間の限定に加え、勤務地を一定の範囲に限定する等が選択できる「限定職員制度」を導入した。
  2. 有期雇用の非正規職員に、無期雇用の道を開いた。
  3. 法人内の施設における評価や賃金体系を標準化した。
改善を行った感想
  • 第三者に協力を依頼して経営状況をみてもらうことは、とても大切なことだと考えている。
  • 疲れていては、よい業務は出来ない。意見の言える職場づくりを目指してはいるが、気兼ねを少しでも減らして働きやすくなるよう、制度や基準として全職員に明確に示すことが大切だと思う。
 
今後の課題
  • 労務関連の法律が変わりやすく、対応していくことが課題である。
  • 効果については、まだ制度をスタートさせたばかりであることから、今後の様子をみていきたい。

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