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東京都地域公益活動推進協議会

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暮らしの相談ステーション

東村山市内社会福祉法人連絡会

相談担当者向けの研修会風景

東村山市民からの相談であれば、どんな内容でも受け止めて支援につなげるお手伝いをします。東村山市内社会福祉法人連絡会に加盟する27法人すべてが相談受付窓口となっています。

平成30年3月9日掲載

個々の法人が単独で相談を受けていた

東村山市内社会福祉法人連絡会(以下、「連絡会」)には、市内のすべ全ての社会福祉法人が加盟しています。

加盟法人の中には、日常的に本来業務として相談を行う所や、法人独自で本来業務とは別に市民の相談を受け付けていた所がありましたが、受けた相談への対応や支援方法は各法人でバラバラでした。しかし、市民から寄せられる相談内容が多様化・複雑化する中で、単独の法人で相談を受け、支援方法を考えるには限界があるため、「連絡会で統一の相談事業を立ち上げ、社会福祉法人全体で市民の生活を支えよう」という意見が連絡会の中であがりました。

相談事業を始める下準備

 

相談事業を始めるにあたり、準備段階として「相談事業検討委員会」を立ち上げました。

メンバーは、連絡会加盟法人の中から分野が偏らないよう10名を選出。法人単独ではなくネットワークを通した連携事業として、どの範囲の取組みができるか、どのような仕組みが必要かを1年かけて検討し、相談事業の名称を「暮らしの相談ステーション」に決定しました。

検討委員会で大枠を作った後、連絡会の事務局が具体的な書類(規約、相談受付票、実績報告書等)を作成し、連絡会の全体会で承認。いよいよ実働に向けて、各法人から「暮らしの相談ステーション」の担当者の選出依頼と、相談窓口の開設日時を提出してもらうところまで進みました。が・・・。しかしここで問題が。
「日常業務で手いっぱいだから無理」「相談事業の専任者なんて置けない」
という意見がこの段階で出てきてしまい、なかなか全法人の相談窓口開設日時が集約できない状態が続きました。

全法人が力を合わせて市民の相談を受ける体制をつくる、そのことが市民の日々の生活の安心につながる・・と考えていた連絡会の事務局は、まず窓口開設のハードルを低くすることを提案しました。「暮らしの相談ステーション」への参加を足踏みしていた法人に対して、事務局から「月に1回でも、1時間でも良いです。まず『全法人が同じ相談窓口を開いている』と市民にPRすることが大切なんです」と丁寧に事業の意義を説明しました。そのように話すと「毎日相談を受けなければいけないのかと思っていた」「月に1時間ならできるかも」と、あまり構えすぎずに相談窓口開設を検討してくれるようになり、最終的には全法人が専任の担当者を置いて相談窓口を開設できることになりました。

また、日常的に相談を受け慣れていない法人や、特定の分野のみに携わっている法人からは「全然知らない分野の相談をされたらどうしよう」という不安の声も上がっていました。そこで「暮らしの相談ステーション」開始前に、相談担当者向けの研修会を2回開催しました。相談を受けた後の流れをフローチャートにし、受けた相談を必ずしもその法人が引き受ける訳ではなく、行政や連絡会内の他法人に渡す、渡す先が分からなければひとまず連絡会の事務局へ連絡するという方法もあることを伝えました。また、特に対応方法が難しいと思われる、金銭面での相談や精神障害を持つ方から相談に関して、その分野の職員から講義を受け、主な対応方法について学びました。

相談担当者向けの研修会の様子
相談担当者向けの研修会の様子

こうした下準備を経て、平成29年10月より「暮らしの相談ステーション」を開始しました。開始にあたっては、東京都地域公益活動推進協議会の助成金(事業費)を活用して共通ののぼり旗を作成し、各法人が相談窓口を開設している時間帯に旗を立てています。

 

実際に相談を受けてみて

相談ステーションののぼりイメージ

共通ののぼり旗

「暮らしの相談ステーション」を始めて、もうすぐ半年経ちます。

各法人から実績報告を提出してもらうのは半期に1回です。現時点でどんな内容の相談をどのくらい受けたのか正確な数字は分かりませんが、複数の法人から「こんな相談を受けた」と事務局へ情報が寄せられています。

電話でお話を聞くのみで終了したケースもありますが、実際に直接支援につながったケースや、相談を受けた法人から他法人へ受け渡したケースもあり、「暮らしの相談ステーション」が確実に機能していると実感しています。

今後は相談担当者へのフォローとして、平成30年3月に担当者向けの情報交換会を開催予定です。今までに受けた相談を事例とし、実際の相談内容や対応方法等を学ぶことで今後の参考にしてもらいたいと思います。

また、各法人が独自で行っている地域貢献を一冊の本にまとめて相談担当者に配布し、市民から相談があった際、制度外で使えるサービスの情報を提供できるようにする予定です。

「暮らしの相談ステーション」を始める前は「本当に相談してくる人がいるのかな」という疑問の声もありました。しかし、相談件数が多ければ多いほど良いという訳ではありません。「暮らしの相談ステーション」の本当の役割は、「市内の全社会福祉法人がどんな相談でも聞いてくれる」という体制を作ることで、市民の安心やより良い生活環境を提供することです。

この役割を各法人がしっかりと意識し、今後も地域に貢献していきたいと考えています。