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東京都地域公益活動推進協議会

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誰もが集えるみんなの居場所「たまりば宙(そら)」

社会福祉法人かいゆう(国立市)

社会福祉法人かいゆうは、南武線谷保駅近くに「たまりば宙(そら)」を開いています。開店すると同時に地域のいろんな人が集っています。宙では、手芸品やリサイクル品、古本の販売や、待合せの場所等にも利用されています。あえて相談場所の看板を掲げず、市民が思い思いに利用する中で、何気ない会話から困りごとを見つけ出し、相談や課題になる前にそっと支えています。

平成27年12月2日掲載

思い思いに楽しめる場所


開店後すぐにいろんな人が訪れます


たまりば宙のスタッフ。左から、松永一子さん、家村窓香さん、阿部馨子さん

南武線の谷保駅を降りると、線路沿いの道に「たまりば宙(そら)」はあります。朝10時半に開店すると、いろんな人が集い始めます。自転車で通りがかって入口から挨拶する人、外に並んだ古本を見る、リサイクル品を見る人の姿が見られます。駅のすぐそばなので、待合せの場所として利用したり、福祉サービスの合間の待ち時間の場所として使ったり、お弁当を食べたリ、仕事帰りにふらっと寄ってお茶を飲んだり、思い思いに楽しんでいます。

当事者と家族が活動の中心

「たまりば宙」を運営する社会福祉法人かいゆうの前身はNPO法人「くじら雲」で当事者と家族の会が設立した「国立5日制の会」に由来します。1992年の学校週5日制施行に伴い、休みになった土曜日に音楽の広場やスポーツ活動、プールなどの活動を、長期休業中は海水浴やキャンプなどの活動を始めました。その後、当事者と家族が中心となり重度知的障害者グループホームを起ち上げ、現在ショートステイ、居宅支援事業所、訪問・通所事業所等を運営しています。2011年からは社会福祉法人かいゆうとして活動をしています。

最初に立ち上げたグループホームに併設した喫茶店「南風」は、入居者の家族が運営しています。「宙」とは違う場所ですが、木の香りと緑が感じられる居心地が良い居場所です。手作りの小物を販売したり、バザーも開いています。訪れる人同士でつながりをつくったり、周りには言えない愚痴も話せる居場所になっています。


柔らかい雰囲気の喫茶店「南風」


木の香りと緑が感じられる室内の様子

地域の中にしょうがいがある人もない人も

2009年の「たまりば宙」のオープン時から中心となって「宙」を運営してきたスタッフは、「南風」「くじら工房」(国立市地域活動支援センター)でも働いていましたが、「福祉関係者だけでなくしょうがいのある方だけの居場所でなく、いろんな人が集う場所にしたい」と思っていました。谷保駅近くのくじら工房の隣の店舗が空いたので、ちょうど良いタイミングで、2009年に「たまりば宙(そら)」をオープンしました。

日常の会話を受け止める

フリースペースをただ用意しても誰も訪れてはくれません。素敵な手作り品を作る方は沢山おられるので発表の場を兼ね、手芸品を販売しています。売上げは8割が作成したご本人、2割が宙の収入にしています。その他にもリサイクル品の古着や古本、食器類、CD等を展示して販売しています。本は1冊20円から、CDは100円からです。その他にも、来て下さる方の特技を生かして書展、写真展等の発表の場所としても提供しています。

また、「宙」を訪れる方の中には、「電球を交換ができなくて困っている」「押入れの高い荷物を卸下ろせない」など、困ったことを話す人もいます。その時はスタッフが出向いてできることをお手伝いしています。利用される方のニーズに添って日々活動しています。ズボンが長いので短くして欲しい、ボタンを付けて欲しい、ミシンを貸して欲しい。利用者さんがどう「宙」を利用するかによって「宙」は変化し、利用される方によって作られている空間です。

「宙」で話される会話は、日常のたわいない世間話や芸能人の話、地域で話題になっていること、福祉サービスの使い方やお医者さんの話など、さまざまです。そのような何気ない会話の中から、福祉サービスの使い方をアドバイスしたり、通院を勧めることもあります。

また、宙には、男性の方も訪れます。デイサービスはなんとなく嫌だけど、誰かと話したくてリサイクル品を物色しにくる人もいます。そのようなときにスタッフは優しく声をかけ、何気ない会話を楽しんでいます。


手芸品やリサイクル品を販売しています

相談や課題になる前にそっと支える

社会福祉法人かいゆう理事長の遠藤良子さんは、「何気ない日常の会話の中から困りごとを見つけ出し、相談や課題になる前にそっと支えることが大切」と話します。あえて相談場所の看板を掲げずに、地域をそっと支える宙の取組みは、地域に必要とされながらこれからも続いていきます。

 

社会福祉法人かいゆう

186-0013 国立市青柳1-34-3
TEL 03-595-8033
1992年に学校五日制施行に伴う、休みになった土曜をボランティアと過ごす「国立五日制の会」を当事者と家族が結成。重度知的障害者グループホーム、ショートステイ、居宅支援、訪問・通所事業等を運営。2011年に社会福祉法人を設立。