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働きにくさを抱えた人をオーダーメイドで受入れ

社会福祉法人マザアス 高齢者福祉総合施設マザアス東久留米(東久留米市)

マザアス東久留米でのボランティア活動

社会福祉法人マザアス 高齢者福祉総合施設「マザアス東久留米」では、人との関係づくりが苦手な若者から生活が困窮している高齢者まで、さまざまな「働きにくさ」を抱えた方が働いています。

平成28年12月7日掲載

音楽会の様子(アコーディオン演奏を聴く利用者)

オーダーメイドで働く場をつくる

社会福祉法人マザアス マザアス東久留米では、生活困窮者の自立相談支援窓口、地域若者サポートステーション、福祉事務所、特別支援学校等からの依頼にもとづき、現在、様々な働きにくさを抱える方を受入れています。具体的には雇用契約を結んでいる方が6名、雇用契約を結ばずボランティア・インターンシップとして受入れている方が6名います。

マザアス東久留米は、これまで、地域に開かれた施設として、ボランティアの方々との交流を大切にしてきました。そのなかで、働きにくさを抱えた人の状況や課題を聞き、ボランティアや雇用などのさまざまな形で受入れていました。そして、平成27年4月に「生活困窮者自立支援法」が施行されたことから、「取組を広く知ってもらおう」と、生活困窮者自立支援法にもとづく就労訓練事業の認定を受けました。現在、1名非雇用型で受入れをしています。

マザアス東久留米事務長の藤原将洋さんは、「就労の機会の提供は、その人の人生にかかわっていくということ。丁寧に施設内の理解を進め、少ない人数からきちんと受け止めて、支援することを心掛けている」と話します。

仕事は、ベッドメイキングやおしぼりづくり等の介護の周辺業務から、利用者の話し相手、施設内の清掃、お弁当の配達のための運転等です。働き方も、賃金が発生しないボランティアやインターンシップから、雇用契約を結び、週1~数回数時間働く方まで、様々です。週1回・数時間の雇用から徐々に労働時間増やしていくこともあります。このように、就労支援機関からの依頼を受け、お一人おひとりにあった働き方をつくる「オーダーメイド」を大切にしています。

就労支援機関との連携が大切

本人に合わせたオーダーメイドの働き方を作っていくためには、就労支援機関との連携が欠かせません。マザアス東久留米では、就労支援機関とともに丁寧なマッチングを行っています。また、ご本人の生活面の課題や悩んでいることは就労支援機関にできるだけ聞いてもらい、マザアス東久留米では、働く場として、本人ができていること・できていないことをきちんと評価して本人に伝えることを大切にしています。「きちんと評価し伝えるということは、組織の人材マネジメント力が問われることであり、職員の人材育成にもつながっている」と藤原さんは語ります。法人内の体制としては、就労機関との連絡調整は事務局で行い、実際の受入れは、各施設・事業所で行っています。必ずしも施設・事業所内に担当者をおかないこともありますが、事業所管理者が、本人への指導・サポートをしています。

直接雇用を目指す

マザアス東久留米では、一人ひとりにあわせた受入れを心掛けながら、できるだけ、受入れた施設・事業所内で、直接雇用につなげようと考えています。藤原さんは、「直接、雇用につながる可能性があることは、本人の頑張りがいにつながる。また、現場事業所でも受入れがいにつながる」と話します。

就職先を見つけにくかった方を、週に数回・数時間、清掃を中心に雇用することで、現場の職員からは「1日数時間の短時間勤務の職員はなかなか見つけづらいなか、清掃業務を切り出せたことで、ゆっくり利用者と話すゆとりが生まれた」という肯定的な声が聞かれています。

働きにくさを抱える人が、一歩ふみ出すきかっけを作りたい

藤原さんは、「働きにくさを抱える人が、一歩ふみ出すきかっけを作りたい。社会福祉施設は、(1)働きにくさを抱えた人が通うことのできる身近な地域にある、(2)福祉施設の役割として地域のニーズに応えるアンテナがある、(3)柔軟な受入れ方(雇用日数・時間、仕事内容)が可能である、(4)人を支えることを専門とする職員がいるという特徴がある。都内の福祉施設で2人ずつ働く場を提供できれば、1,000人、2,000人の人生が変わるかもしれない」と語ります。

また、マザアス東久留米では、必ずしも雇用を目指すのではなく、安心して定期的に通う場が必要な人には「ボランティア」の受入れもしています。自宅に引きこもっていた方が、施設内でボランティア活動を行う中で、ボランティアの仲間とのつながりができ、ご本人にとって、大切な「居場所」になることもあります。

多様な受入れ方・受入れ場所で少しずつ地域を変えていく

このように、マザアス東久留米では、さまざまな形で、働きにくさを抱えた人を受入れる場を、地域にたくさん増やしていきたいと考えています。

以前、特別支援学校から生徒の卒業後の就労受入れの依頼を受けたものの、事情により受入れられなかったことがありました。

その時に、「この地域で働きたい」という生徒の強い思いを聞いて、マザアス東久留米で調理を業務委託している会社を紹介して、実習を受入れてもらい、就労に結びついたことがあります。「清掃や調理などを業務委託しており、仕事を切り出しにくいと感じている施設もあるかもしれない。しかし、委託先に丁寧に説明し続けることで、たとえば体験就労の場を創ってもらうことは可能ではないか」と藤原さんは提案します。そして、「必ずしも全てを自法人で受入れられなくても、さまざまな工夫で地域に受け皿を増やし、少しずつ地域社会を変えていく取組みも、社会福祉法人の役割の一つだと思う」と語ります。

マザアス東久留米では、法人が目指す「共に生きる社会の創造」にもとづき、さまざまな働きにくさを抱えた人、一人ひとりを丁寧に受入れながら、その取組みを、地域の中で少しずつ広げ、共有していきたいと考えています。

 

社会福祉法人マザアス マザアス東久留米

〒203-0004 東京都東久留米市氷川台2-5-7
TEL:042-477-7261  FAX:042-477-7500
http://www.moth.or.jp/

特別養護老人ホーム、ショートステイ、デイサービスセンター、3つのグループホーム、居宅介護支援事業所、ヘルパーステーション、地域包括支援センター等10の施設・事業所をもつ高齢者福祉総合施設。「共に生きる社会の創造」を目指し、地域とのつながりを大切に、「生活の質を高めるケアの実践」をしている。