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東京都地域公益活動推進協議会

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救護施設としての生活困窮者就労訓練の実践

社会福祉法人 アゼリヤ会 救護施設 優仁ホーム

当施設では平成29年1月に「はたらくサポートとうきょう」に登録し、続いて平成29年10月には中核市である八王子市より「生活困窮者就労訓練事業」の認定をうけ、現在までに2名の生活困窮者就労訓練を受入れました。

平成30年7月13日掲載

地域の課題やニーズの状況、取組みのきっかけ     

取り組みのきっかけは主に次の2点によります。

①地域公益の取組みの必要性が謳われる中、就労訓練事業は全国救護施設協議会の作成する救護施設が取り組むべき事項に示されており、当施設の特徴(利用者への自立支援や就労訓練の経験)を生かせると判断したこと。

②八王子市における自立相談支援の新規相談受付は年間1,140件(平成28年度)と多く、その訓練を受ける受け皿は、当施設を入れて5か所とまだ少ない状況であったこと。

 

法人・事業所内の検討状況、取組み体制  

当施設は救護施設で、本来事業の中に障がい者の自立支援や作業訓練があり、生活困窮者を受け入れるにあたり、一定の素地はありました。施設内の業務の中で、就労訓練に適したものを選び、スタンスとしては、職員から見て“利用者と同じ支援対象者ではなく、就労訓練者は、我々職員の同僚”という認識を八王子市と共有し取り組みました。

取組みの担当者は、事業の立ち上げ~受け入れまで、現状では施設事務長が担っています。

 

法人・事業所内の理解促進・協力の取り方・工夫  

事業開始に当たり、施設内では、前述の全国救護施設協議会の作成した、救護施設が取り組むべき事項をまとめたフェーズ表をもとに、職員会議などで確認をしたほか、八王子市より職員を招き、市が取組む生活困窮者支援の枠組み・就労訓練についてを全職員に説明していただく機会を設け、職員の理解促進に努めました。

 

活動資金・財源

※法人が持っている資源     

活動費用 施設事務費より捻出。内訳は、報酬金・交通費・昼食代・保険など。

実際の例 

訓練1日当たり 交通費  上限10000円/月

昼食費 必要に応じて   450円/日

保険           30円/実施日

報酬           500円/日

職員が活動する、人件費はここでは計上していませんが、受け入れるまでの対象者のアセスメント、書類準備、行政との調整、担当者の勤務調整など多くの時間がかかっています。

 

活動のプロセス

就労訓練の基本プロセスを記しますが、これまで受けた2例について、いずれも体験1日のみで2回目以降に繋がっていません。取組み方法について、行政と綿密に準備をしても様々な理由があり、継続は簡単ではないことを痛感しています。

 

[基本プロセス]       

①八王子市福祉部生活自立支援課より、対象者の紹介

②市担当者が対象者の情報を施設に届け、事前打ち合わせ。

③市担当者と対象者が施設に来所。面接~目標確認~アセスメントし訓練内容の確認。

④体験開始(約3回程度を予定)。この期間に、本人の感想などを受け、訓練内容を固めていく。実施の都度、行政と振返りと情報共有を行う。

⑤正式に就労訓練開始(ここから報酬発生)

⑥定期的に行政と連携

 

[受入れ(2例)について]

例1

準備期間を十分にとり、初回の体験では丁寧に対応。しかし、2回目以降は来所しませんでした。

理由は、本人の性格のほか、対象者の就労訓練について、その家族の同意や理解がされていなかったことなどで、うまく本人と家族、支援者の歯車がかみ合わなかったためと思われます。

本人も含めた、家族支援や家族を巻き込みながら進めていくことが必要であることを八王子市と振り返っています。

 

家族へのアプローチまで当施設で行うことは現実的でないため、八王子市との事前協議の中で、十分に情報共有することと、そこにある課題を明らかにし、施設の限界なども考慮しながら、役割分担をしながら進めていくことが重要と考えています。

 

例2

対人関係構築が困難な方で、対人ストレスにより体調不調に繋がる方でした。

訓練は本人が無理なくできる、負担の少ない内容で、実施回数も本人の希望に合わせて週1回と決め開始するも、体験に1日来たのみで続きませんでした。

両親や本人の判断で医療機関にはかかっておらず、医療面からのストレスコントロールをしながらの実施が必要ではないかと八王子市と振り返っています。

 

地域・関係機関等の調整や関わり方、役割分担

中核市八王子市との良好な関係

八王子市は平成27年4月より中核市に移行したことから、生活困窮者就労訓練事業の認定を独自に担う(東京都とは別に)ことができます。事業は八王子市福祉部生活自立支援課がネットワーク作りも含めて展開し、当施設とも近い距離で、小回りの利く協力体制の中で就労訓練事業を実施することができます。

実施にあっては二人三脚で対象者を支援する協力体制を築いています。

 

法人内・事業所内の理解の広げ方の工夫    

法人への情報提供と同時に、事業所内では、早期より職員に実施について伝えてきました。

通常業務への影響を極力少なくするために、担当者は当面は1名に固定しています。

就労訓練ということで、通常業務の一部を就労体験中の方に担ってもらうことになりますが、予定日に来ないなどの場合は、当日の業務分担の変更が必要となることが課題です。

 

 今後の展望・抱負         

引き続き、八王子市と協力体制を維持し就労訓練希望者を受け入れていく予定です。これまでは結果的に継続できていませんが、それぞれについて、当施設での訓練実施を通じ、現時点での課題が明らかになったこと、本人の現時点での評価、経験につながったことは、決して無駄ではないと感じています。

社会福祉法人(施設)して、一般企業にはできないノウハウや、専門性を今後も発揮することで、“福祉的”就労訓練としての役割を果たせると信じ、できる範囲でコツコツと取り組んでいくことが大切だと思っています。