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はたらくサポート受け入れから継続支援のステップ

社会福祉法人 芳洋会 特別養護老人ホーム ひのでホーム

はたらくサポートとうきょうの仕組みを利用して初めて受け入れた際の受入れ準備と、地域と連携した精神面のフォロー、賃金のステップアップなどを行い、対象者が就労を継続できるような支援の取組みをご紹介します。

平成30年9月11日開催 実践発表会(前期)高齢分野 発表

掲載日:平成30年10月10日

【はたらくサポートとうきょう登録】

特別養護老人ホームひのでホームがある西多摩地域は、中間的就労に対する生活困窮者就労訓練事業所の登録が非常に少なく、この地域で登録しているのは2018年時点でひのでホームの1件だけです。その反面、支援を必要としている人は大勢いるという現状を知りました。

 

ひのでホームでは2017年5月に「はたらくサポートとうきょう」に登録をした際、同時に生活困窮者就労訓練事業所登録も行いました。そして同年10月に初めて対象者の受入れが決まりました。

 

▽ひのでホーム

 

 

【受け入れ前準備】

(1)業務の切り出し

人と関わる業務と関わりの少ない業務に分け、見学の際はその部署の職員が立ち会いと説明を行うように心掛けました。

(2)職員向け勉強会を実施

高齢者施設で働く私たちは、“介護のプロ”ではありますが、障がいについては、ほとんどの職員がよくわかりません。そこで、職場内で他職種連携を行い、精神保健福祉士の資格を持つ職員による「はたらくサポートとうきょう」の仕組み理解と精神障害についての勉強会を行いました。

▽職員向け勉強会の様子

(3)地域と連携したサポート体制をつくる

就労支援事業所である当施設では、就労現場責任者1名・現場担当者1名・就労支援担当者1名の計3名を決めました。就労支援担当者は事務職員が担当し、内部・外部との連絡調整や金銭面・書類上の手続きなどをスムーズに行えるようにしました。

【受け入れ事例(1)・(2)】

■事例(1)Aさん、40代女性、精神保健福祉手帳3級

中学生のお子さんを養育している母子家庭であり、自身の病気と学費面の不安を抱えていました。これまで何度か就労を試みたそうですが、いつの間にか精神的に苦しくなって辞めてしまう。そんな働きにくさを抱えていました。

 

Aさんのご希望から、入居者が食堂に集まる昼食の時間帯での体験が始まりました。

初めはA短期体験型で支援をすることになり、月4回・1日3時間のボランティアとして参加しました。この頃の日誌には、「わからなかったことを言えなかった。」など不安な心境の記が多くみられ、月4回の出勤予定のうち2回休むなど、不安定な様子もありました。

現在はC非雇用型2で週2回の出勤をしています。作業スピードもあがり、時給550円で勤務しています。

 

最初の3か月頃までは精神状態・作業内容に関する聞き取りの時間を毎回設けました。現在は主に声掛けを行う程度であり、月1回のミーティングで支援内容の確認をしています。また、就労日以外にもボランティア活動で地域の子どもたちと関わる積極的な姿も見られるようになりました。

 

 

■事例(2)Cさん、30代男性、障がい者手帳3級

2017年7月、ひのでホームで行った介護初任者研修を母親とともに受講し、「このままお世話になることはできませんか」と相談を受けたことがきっかけで2017年11月からはたらくサポートを利用しながら就労を目指していくことになりました。

 

A体験型の支援から様子を見て行くことになり、まずは月4回・1日3時間のボランティアとして参加していただき、施設は交通費の補助を行いました。一つの作業に細かな納得が必要なため質問が多くその都度説明を求められることがありました。ボランティア終了後の日誌記入に40分~60分、聞き取りにも一時間程の時間を要しましたが、職員は一つ一つ対応しました。

すると徐々にCさんの様子に変化が見られました。「職員と同じポロシャツを着るのが夢です!」と一般就労を目標に業務に励む姿が見られるようになり、現在は職員と同じポロシャツを着て誇りをもって働いています。意志疎通には現在も時間がかかりますが、職員もCさんの性格を理解することで対応がしやすくなっています。現在、週4日・1日8時間勤務に調整しており、時給600円のほかに給食費の補助と交通費の補助を行っています。

今後は直接介助が出来るよう支援し、一般就労を目指していきます。

【取り組みの成果】

働きにくさを抱えた人がハンデやプレッシャーを感じずに働けるよう支援をするなかで、関わった者がそれぞれの角度から社会福祉法人の職員として「人を支えることを専門とする仕事」の役割を実感することができました。

 

ご本人より、前向きな感想をいただきました。

==Aさんの感想==

今一番うれしいことはご入居者の“ありがとう”です。職員の皆さんも作業が終わると必ずありがとうと言ってくれます。働く環境と人間関係がとても良く、無理なく自分のペースで働けています。家族も応援してくれていて、今日はちょっと行きたくないなと思った時は「待っている人がいるよ」と背中を押してくれます。また月一回のミーティングで相談すると、皆さん親身になって考えてくれるので安心できます。

もし、自分のように悩んでいる人がいるとしたら、チャレンジしてみる気持ちが大事だということと、行政に頼り、相談できる環境を作るのも良いと思うよとアドバイスしたいです。

 

==Cさんの感想==

今一番うれしいことは、足浴の時ご入居者に「ありがとう」と言ってもらえることです。自分は職員さんと同じポロシャツを着ることが夢でした。このポロシャツを着ることができた時、みんなが声を掛けてくれてとても嬉しかったです。いつか正社員になることが自分の目標です。

 

 

 

【課題と今後にむけての展望】

今回の事例から、継続した支援を行うためには初めから雇用型で受け入れるのではなく、お互いを理解し合う時間を設けるためにも体験から始める体制を取ることがとても大切だと感じました。

 

地域に取り組みを広げることも課題です。

現在受けている新たな相談を含めて、これまで多数の相談がありました。ですが、支援する施設資源には限界があり、当施設だけでは受け入れきれません。「はたらくサポートとうきょう」を利用し、就労訓練を受けたい方は大勢いらっしゃいます。そのため、就労支援受入れ施設が増えるような方法を考えていかなければならないと感じました。

 

芳洋会では現在支援している方を一般就労につなげることと、今後も「はたらくサポートとうきょう」を利用する方の受入れを行うことと同時に、地域に生活困窮者就労訓練事業所の登録を広げるような取組みをしていきたいと考えています。