社会福祉法人の使命に基づき、地域における福祉課題の解決に向けて、3層による地域公益活動を推進します。

東京都地域公益活動推進協議会

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高齢者買い物送迎支援事業「買い物ツアーかわせみ」

社会福祉法人にじの会

買物ツアーの様子

買い物に困難がある高齢者を対象に、スーパーやホームセンター等へ無料で送迎サービスを実施している取組みを紹介します。買い物後にランチタイムで交流の機会も提供しています。

令和2年9月24日掲載

取り組みのきっかけ

にじの会は、知的障害者福祉施設の開設を目標に、1995年に調布養護学校の親と教員の有志で結成されました。2001年に東京都知事の認可により、社会福祉法人にじの会を設立し、三鷹市大沢に知的障害者入所更生施設「大沢にじの里」を開所しました。

「買い物ツアーかわせみ」への取り組みは、三鷹市のケアネット・おおさわで、大沢エリアは近隣に商店がなく、住民は買い物難民状態であることが話題に上り、にじの会に相談に来たことがきっかけです。そこで、私たち法人では、地域の方々に知的障害者の就労支援事業を理解してもらうことと合わせ、地域高齢者への支援として、買い物送迎支援事業を提案しました。

 

大沢地区の特色

三鷹市は、JR中央線と京王線に挟まれ、便利な立地と思われていますが、大沢という地区に限っていうと、国立天文台や神代植物公園、調布飛行場、野川公園など広大な敷地面積を持つ施設に囲まれ、徒歩圏内にスーパーや店舗がほとんどありません。生活道路は狭く、シティーバスも運行していません。また、野川沿いは坂が多く、徒歩での移動に苦労する地区も少なくありません。総合的に、買い物が非常に困難な状況です。

大沢地区の特色

買い物ツアー参加者の丁目別割合は、1丁目7%、2丁目15%、3丁目2%、4丁目30%、5丁目31%、6丁目15%です。野川公園と調布飛行場、国立天文台に囲まれ、坂が多く、バス停に出るのも大変なエリア――2丁目、4丁目、5丁目、6丁目の住民が9割を占めています。

 

 

 

 

「買い物ツアーかわせみ」の取り組み内容

「買い物ツアーかわせみ」の対象者は、三鷹市大沢地区で、自力での買い物に困難がある高齢者です。実施は週3回で、10時30分から13時30分の3時間という、にじの会の送迎の空き時間を利用しています。参加者は、1回の送迎につき5~6名です。ある程度、自力で歩ける方を募っています。内容は、送迎用のキャラバンを利用し、参加者を自宅からスーパーやホームセンターなどへ、ドアツードアでの送迎を無料提供しています。目的は、自分で買い物をすること、そしてランチタイムで交流の機会を持ってもらうことです。2017年6月の開始から2年3か月が経過しましたが、300回を超える実績で、8月時点で延べ1,590名が参加しています。

 

買い物先の選択ポイント

利用店舗は大沢地区外

買い物先は、要望の多いスーパー、ホームセンター、100円均一ショップ、衣料品店、日用雑貨や薬などが買えるところです。大沢地区から10分以内で、駐車場位置から店内まで容易に移動ができ、店内はあまり混雑しておらず、ショッピングカートが使用できる店舗を選択しています。駅近くの交通が混雑する店舗は避けています。実際に利用している店舗は、スーパーはイトーヨーカドー武蔵境店、サミット三鷹市役所前店、マルエツ・ダイソー、トップ、キッチンコート、衣料品はコルモピア、ホームセンターはコーナンです。

ランチタイムには、私たち法人が障がい者の就労支援事業で経営するイタリアンレストラン「ハーモニーガーデン」と喫茶・ショップ「大沢ハーモニー」を利用しています。

 

「買い物ツアーかわせみ」事業の運営

「買い物ツアーかわせみ」は、にじの会とケアネット・おおさわ、「買い物ツアーかわせみ」の共同事業協定書に基づき運営しています。運営会議は合同で月1回開いています。より便利な買い物先店舗の選定や改善事項などを検討しています。

役割分担として、ケアネット・おおさわ「買い物ツアーかわせみ」事務局では、参加メンバーの割り振りとサポーターの割り振りを行っています。サポーターは、ケアネット・おおさわの構成員で、地域の民生委員や地域包括センター職員、地域諸団体メンバーなど、さまざまな方がいます。さらに、1か月単位で、日程ごとに参加者の一覧表を作成しています。

一方、にじの会の地域貢献事業事務局では、利用者に配布する月間スケジュール表および、日程ごとのスケジュール案内を作成するとともに、送迎運転手用に日程ごとのコース別運行表を作成しています。さらに、ツアー当日の朝、参加者に電話をして、健康確認と参加確認を行い、迎えの時間を伝えています。この点が、「買い物ツアーかわせみ」の大きな特徴といえます。

 

「買い物ツアーかわせみ」の実施

当日は、事務局1名、運転手1名、サポーター1名で運行します。送迎用の車は、10人乗りのキャラバンです。参加者の自宅まで迎えに行き、乗車時にはリボンをつけてもらい、シートベルトの着用をお願いしています。

ショッピングセンターに着いたら、サポーターがショッピングカートを用意します。カートは安定性があるため、杖よりも安全です。実際の買い物は、私たちと一緒に見て回って買い物をしたい方、好きなように買い物をしたい方など、それぞれ好みがあるので、参加者に合わせた距離を取りながら、見守ります。

買い物が終わったら、購入品に名前シールを貼り、車に積み込みます。その後、ハーモニーなどでランチをします。なつかしい話や健康の話などに花が咲き、とても楽しそうです。ランチが終わったら、それぞれの自宅へ送り届けます。購入品を玄関先まで運び、玄関の鍵を開けたことを確認して、次の参加者の家に向かいます。

 

200回記念パーティーを開催

多くの参加者から交流会などの要望もあって、2018年11月23日に「買い物ツアーかわせみ」200回記念パーティーを開催しました。理事長の挨拶から始まり、三鷹市長、「かわせみ」代表、大沢住民協議会会長から挨拶や祝辞をいただきました。地域包括センター長も参加され、皆さんと食事や合唱を楽しみました。最後には、うれしいことに参加者の代表から、にじの会へ感謝の花束をいただきました。

 

「かわせみだより」を年2回発行

会報誌「かわせみだより」を年2回発行しています。3号まで出ていますが、参加者の一人から、とてもうれしい声をいただきましたので紹介します。「自分の足でスーパーに行けるなんて、夢のまた夢、宝くじに当たったような思いで胸がいっぱいになりました。車の乗り降りから始まってシートベルトも締めてもらい、到着すればショッピングカートが目の前に用意され、一本杖よりはるかに安全です。スタッフの人達の心配りには感謝あるのみです。

こうしてもうすぐ二年近く、私事で恐縮ですが、この間に二度も大病して入院・手術をしましたが、退院してリハビリを重ねると、再度ご厄介になっています。月2回の買い物ツアーに相変わらず心は弾んでいますが、反比例して米寿を迎えた身体は、だんだんスタッフの方たちにご迷惑をおかけすることが多くなっています。しかも必要やむなく、時には大きな荷物等買った時、いやな顔ひとつせず運転手さんが上手に車に収納して下さいます。

買い物が終わって昼食を大沢ハーモニー(またはハーモニーガーデン)で皆様とご一緒にする時は、いろいろな話題がはずんで食欲が不思議に進みます。本当に心からお礼申し上げます。来る令和の時代にもずっと続けて戴ければ嬉しい限りです。」

 

今後に向けた取り組み

今後も、安全な送迎事業の継続に取り組んでいきます。開始以来の無事故を継続し、買い物中の転倒事故等を防止します。高齢の参加者がけがのないように買い物ツアーを続けていきたいと思っています。

さらには、利用者送迎の空き時間などを利用した買い物送迎支援事業に取り組む法人を増やしていきたいと考えています。現在、「買い物ツアーかわせみ」は三鷹市で公募をしているものの、定員はいっぱいです。調布エリアでも、実施してほしいという声も上がっています。買い物ツアーは、喜ぶ方がたくさんいるので、是非、取り組んでほしいです。

新型コロナウィルス感染防止の為、3月から買物送迎を休止しています。代りに10名位の方に買物代行を週1~2回実施していますが、利用の高齢者の方々の要望もあり、感染拡大が収ってきた時期に安全な方法で買物送迎を再開したいと考えています。

 

<法人紹介>

社会福祉法人にじの会

にじの会は、1995年に調布養護学校の親と教員の有志により、「障がいのある子どもたちの将来を創るため」に結成された。2001年10月に東京都知事から認可を受け、社会福祉法人にじの会として設立。地域の障がい者・児が住み慣れた地域の中で、生活の場と日中の場を確保すること、そこで一人一人が自分の個性を生かし、輝いて生きていける暮らしを実現すること、その活動の中で障害のある人もない人も、互いに尊重し合い、支え合う地域社会を築いていくことを目標とする。2017年6月より地域貢献事業として、三鷹市大沢地区の高齢者を対象に、買い物送迎支援事業を開始している。

 


令和元年10月2日開催「社会福祉法人の地域における公益的な取組み 実践発表会」において発表いただいた内容を編集しました。
発表者:社会福祉法人にじの会 地域貢献事業 事務局 飯野 龍二氏
地域貢献事業 主任  木村 高大氏