社会福祉法人の使命に基づき、地域における福祉課題の解決に向けて、3層による地域公益活動を推進します。

東京都地域公益活動推進協議会

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「買い物ツアーかわせみ~コロナ禍における取組み~」

社会福祉法人にじの会(三鷹市)

テーブルを囲み、利用者やスタッフが食事をしている様子

買い物に困難がある高齢者を対象に、スーパーやホームセンター等へ無料で送迎サービスを実施している取組みです。コロナ禍においても、緊急事態宣言下には買い物代行を実施し、宣言解除後の令和2年9月からは、感染防止対策を実施したうえで買い物支援ツアーを再開しています。マンガ版も掲載しています。

令和2年年度に開催した「コロナ禍の地域公益活動を考える実践発表会」の発表内容を元に編集しました。
発表者:社会福祉法人にじの会 地域貢献事業 主任 木村 高大氏

令和3年6月23日掲載

<マンガ版>コロナ禍の買い物ツアーかわせみ


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「買い物ツアーかわせみ」のきっかけ

社会福祉法人にじの会は、知的障害者福祉施設の開設を目標に、1995年に調布養護学校の親と教員の有志で結成されました。2001年に東京都知事の認可により、社会福祉法人にじの会を設立し、三鷹市大沢に知的障害者入所更生施設「大沢にじの里」を開所しました。今年で20周年を迎えます。

三鷹市では、地域で安心して暮らせるように住民参加の支え合いの仕組みづくりとして、地域ケアネットワークを設立して活動しています。それに、携わる諸団体、関係機関、ボランティアと行政がネットワークを形成し、地域の課題の解決に向け、協議を行い地域が持つ福祉力を生かし、その地域にあったサービスや事業を企画・実施しています。

にじの会は開設以来、「ケアネット・おおさわ」や大沢住民協議会に参加しています。その中で、三鷹市のケアネット・おおさわでは、商店が少ないため買い物難民状態になっていることが話題になり、「にじの会」に相談に来ました。そこで、当法人では地域の方々に、知的障害者の就労支援事業を理解してもらうことと合わせ、地域 社会福祉法人にじの会の高齢者への支援として、買い物送迎支援事業を提案しました。

 

三鷹市大沢地区の特色

三鷹市は、北側はJR中央線、南側は京王線に挟まれ、一見すると便利な立地ですが、大沢地区は国立天文台や神代植物公園、調布飛行場など広大な施設や国分寺崖線で坂が多く、また野川の自然に囲まれ、道路沿いに店舗、徒歩圏内にスーパーが全くありません。買い物ツアー参加者の割合をみると、野川、飛行場、大きな施設と自然に囲まれ、坂が多く、バス停まで出るのが困難な地域の方が9割を占めています。

 

コロナ禍前の取組み

コロナ禍前は、三鷹市大沢地区で、自力での買い物が困難な高齢者を対象に、週3回、10時30分から13時30分の3間、送迎の空き時間を利用して行っていました。1回につき5~6名を送迎用キャラバンで、自宅からスーパーなどへの送迎を無料で提供し、自分で商品を手に取って買い物をすること、ランチタイムで交流の機会を持つことを目的としました。2017年6月の開始から2020年2月末まで、2年8か月間が経過し、実施回数は374回、参加延べ人数は1977名となりました。

社会福祉法人にじの会利用者から交流会などの要望があり、2018年11月に買い物ツアーが200回を超えた区切りとして、記念交流パーティーを開催しました。これが好評で、2019年11月には第2回を執り行いました。にじの会の石崎理事長の挨拶から始まり、河村三鷹市長、大沢住民協議会岩田副会長、かわせみ得能代表、地域包括支援センターから挨拶や祝辞をいただき、皆さんとともに食事や合唱を楽しみました。最後に、参加者代表からにじの会へ、感謝の花束をいただき、話も尽きない中でお開きとなりました。

 

緊急事態宣言中は買い物代行を実施

コロナ禍では、2020年3月の緊急事態宣言発令後、買い物ツアーは休止となり、それに代わり、買い物代行を行いました。これまでの利用者で、一人住まいやご夫婦のみで、自力での買い物が困難な方を優先的に週1~2回、電話で注文を受け、自宅まで配送しています。日用品、飲料品、米等の日持ちする物をスーパー等で購入し、青果類は大沢地域の青果店にまとめて注文しています。また、パン、惣菜、弁当等は、にじの会 (ハーモニー) 製品の注文も受けています。生ものは取り扱いません。配達と同時に、その場で代金を精算し、翌週の惣菜や弁当等のメニューを配ります。

 

9月から買物支援ツアーを再開

そして、利用者の要望が多いことから、徹底した感染防止対策を行い、2020年9月末より、買い物ツアーかわせみを再開しました。外出を控えていることによるADLの低下にも配慮しました。対象は、三鷹市大沢地区で自力での買い物に困難があり、かつ健康状態の良い高齢者として、参加にあたっては、大沢地域包括支援センター等にも相談してきました。コロナ禍前は、自力歩行が可能な方を対象としていましたが、運動機能の低下は転倒につながり、また免疫力の低下は感染リスクが上がるため、地域包括支援センター、ケアネット代表、役員に相談し、運動機能や健康状態の低下などの情報を提供してもらい、健康な方を優先的に選ばせていただきました。

日程は、週2回、10時30分から13時30分で、参加者は車内の密を避ける観点からも、1回2~3名の少人数としました。買い物時には、にじの会職員がマンツーマンで利用者に付き添い、安全に配慮します。内容も以前と同様で、自宅と買い物先の送迎サービスとなっています。そのほか、週に1回は買い物代行を継続しています。

買い物先は、感染防止対策が実施され、スペースにゆとりのある、混雑していないスーパーやホームセンター、衣料品店を選んでいます。ショッピングカートが使用できることも必須条件としました。これまでの利用店舗のうち、数店舗に絞り込みました。ランチタイムは、当法人が就労支援事業で経営するハーモニーガーデンと大沢ハーモニーを利用しています。

この事業は、ケアネット・おおさわ「買い物ツアーかわせみ」の共同事業協定書に基づき運営しています。運営会議では、買い物先の選択や感染防止の安全対策を検討しています。また、安全面からも買い物ツアーのサポーターは、現在、にじの会職員が行っています。

再開にあたり、移動手段の送迎車両は、車内タッチポイントを次亜塩素酸ナトリウムで消毒し、窓やドアを開放して換気を行っています。また、走行中は、空調装備を活用しています。風量を強めにして、送風モードを外気取り込みにすることで、新鮮な外気を取り込み、車内の空気を放出して、空気の入れ換えを行うものです。3分ほどで、車内の換気ができます。

買い物先1

買い物先2

 

感染対策を徹底した「買い物ツアーかわせみ」

当日の朝は、にじの会より、利用者に電話で健康状態と参加の確認を行い、迎えの時間を知らせます。お迎え時には、マスクの着用とアルコールによる手指消毒、検温をしてから、乗車してもらいます。

買い物先に到着後は、ショッピングカートの持ち手を消毒します。再度、手指消毒を行い、車に注意しながら、カートで駐車場から店内に移動してもらいます。買い物中は、にじの会職員が、マンツーマンでサポートにつき、安全に配慮します。利用者さんは、買い物のベテランなので、歩調こそゆっくりですが、商品を手に取り、品定めする姿は、非常にてきぱきとしています。袋にじゃがいもを詰めたりするのも早いです。欲しいものを探したり、陳列場所を店員さんに尋ねたりしながら、楽しんで買い物をします。買い物かごはいっぱいになりますが、重たい物や大きい物でも自宅まで送り届けるため、皆さんから喜ばれています。買ったものは車に積み、ランチを食べに移動します。コロナ禍のランチは、徹底した感染予防対策がなされているハーモニーガーデン、またはおおさわハーモニーを利用しています。入口で手指消毒を行い、店内に入ると、パーテーションで個室のように仕切られています。また、食事中以外はマスクを着用してもらいますが、それでも友達との久しぶりの再会で、皆さんは笑顔になり、話がつきません。

車両消毒の様子

参加者の体温チェック、消毒の様子

時間が足らないこともしばしばですが、ランチ後に自宅まで送ります。職員は、利用者の荷物を車から降ろし、玄関の中まで運び、転倒防止に配慮しながら、自宅内まで見送ります。玄関の鍵をどこにしまったか忘れてしまったり、紛失したりすることもあるため、玄関の鍵を開けるところまでは、必ず確認しています。職員が自宅を離れるときは、皆さんから、 「次回も楽しみしている」という声をいただいています。

ショッピングカートを使う様子

買物する様子

 

地域とのつながりが増え、やりがいを持って取り組む

にじの会では、ケアネットおおさわや大沢住民協議会などへ参加や、にじの会まつりや文化イベント等で地域とのつながりを築いて参りましたが、買物支援事業を通じ地域の方々とのつながりがより近くになり、にじの会職員も地域での支え合いに参加していることを実感して、やりがいを持って取り組んでいます。

 

「再開できて、皆と話せてうれしい」

2021年1月現在、緊急事態宣言が再発令されたため、残念ながら買い物ツアーは、再度休止し、買い物代行のみを継続しています。しかし、9月末に再会した折には、多くの利用者から「もうできないと思っていたけど、再開して、皆と話せてうれしい」という声をいただきました。再会を実現させるためにも、感染状況を見ながら準備を進めています。これまでと同様に、開始以来の無事故運転の継続、買い物中の転倒事故等の防止に配慮していきたいと思います。

今後、買い物ツアーは、新型コロナの緊急事態宣言が解除され、一定の終息がみられる段階において安全な体制で再開を予定しています。また、徹底した感染防止対策には、にじの会職員一丸となって取り組んでいます。定期的にPCR検査も受検しています。利用者の健康確認、マスク着用、除菌、換気、感染対策がなされた利用店舗の絞り込みを継続しつつ、新たな情報収集を行っていきたいです。それは、利用者の「買い物ができる喜び、笑顔のため」に、ほかなりません。