社会福祉法人の使命に基づき、地域における福祉課題の解決に向けて、3層による地域公益活動を推進します。

東京都地域公益活動推進協議会

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「夢を応援・茜パン」~茜の里の公益的取り組みについて

社会福祉法人フロンティア いけぶくろ茜の里

手作りパン

いけぶくろ茜の里では、就労継続支援B型の利用者が心を込めて製造したパンを、障害者、高齢者、子ども、生活困窮者などに無償提供する取り組みを行っています。

令和3年10月27日開催「地域公益活動を考える オンライン実践発表会」において発表いただいた内容を編集しました。
社会福祉法人フロンティア いけぶくろ茜の里 施設長 垣沼有紀子氏

令和4年1月14日掲載

当法人の概要

当法人は、昭和56年3月に設立されました。職員数は常勤・非常勤を合わせて500名、豊島区・中野区・文京区にまたがり、特別養護老人ホーム、デイサービスを始めたとした高齢者に対する事業、知的障害者に対する事業として「いけぶくろ茜の里」を運営しています。社会福祉法人として公益的取り組みを積極的に展開しており、高齢者や働きたいと思っている人、働きづらさを抱えている人の法人内事業所での就労受け入れ、訓練の場の提供といった就労支援、地域の高齢者を対象とした会食サービス、認知症に対する啓蒙活動を行っています。

 

「いけぶくろ 茜の里」の概要

「いけぶくろ茜の里」は、平成17年4月に開設した障害者関連施設で、豊島区で唯一の知的障害者入所施設です。大きく4つの部門に分かれ、生活支援部門では、施設入所者34名(男女各17名)、短期入所者4名(男女各2名)、生活介護入所者33名、通所者7名の支援を行っています。就労支援部門では、就労移行、就労継続支援B型、就労定着の支援を行っています。相談支援部門では、特定相談支援事業所の役割も担っています。また、地域生活支援部門として豊島区長崎にグループホーム(7床)があります。

 

「いけぶくろ 茜の里」で手づくりパンを無償提供

「いけぶくろ 茜の里」では、公益的取り組みとして手づくりパンの無償提供を行っています。提供先はさまざまで、一つ目は、としま子ども学習支援ネットワーク(通称とこネット)が運営している7団体11カ所です。緊急事態宣言により、ほとんどが休止となっていましたが、最近ようやく再開し、現在は4団体に毎週パンを提供しています。

二つ目は、NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワークが運営する子ども食堂「ほんちょこ食堂」です。同法人が運営する特別養護老人ホーム「池袋ほんちょうの郷」内のカフェスペースで実施され、9月よりクッキーも提供しています。

子ども食堂

三つ目は、おとな食堂です。地域の人々が顔を合わせながら食事を楽しむ場がいくつかあり、NPO法人ワーカーズコープが運営する東池袋フレイル対策センターのおとな食堂、地域包括支援センターの中にある「菊食堂」に提供しています。

四つ目は、2020年5月から6月にかけて行われた、としまランチサポートです。豊島子どもWAKUWAKUネットワークが中心となったプロジェクトで、3回目の緊急事態宣言下の休校や外出自粛によって学習支援の活動も止まり、栄養価の高い食事がとれなかったり、生活リズムが乱れてしまったりする子どもに、ランチを提供するものです。それに協賛し、お弁当にパンをセットして配布。「おいしいものが食べられて、元気が出ます」という声をいただきました。

五つ目は、ホームレス支援です。2003年より池袋を中心に「TENOHASHI」という団体が炊き出しや衣料品、衛生キッドの配布等の活動を行っています。コロナ禍で炊き出しができないため、お弁当を含む食料の配布を行っていますが、そこにパンを提供しました。ネットカフェの営業停止で滞在場所がなくなったり、仕事の減少で生活の糧が得られなくなったりする人が増え、食品配布に並ぶ人数も大幅に増加したことから協力することになりました。毎週水曜にパン100個をお弁当等と一緒に配っています。炊き出しができず、お弁当配布になったことでコストがかさみ、パンの無償提供は大変喜ばれました。

配布している食材

 

就労継続支援B型の利用者がパンを製造

このように茜の里では公益的取り組みとして「夢と一緒にパンを届ける」という活動を行っています。これらのパンは、茜の里の就労継続支援B型の利用者が製造しています。

パンを成形する、袋に詰める、並べる、届ける、販売する、さらには後片付け、消毒などのすべての作業を利用者で分担しています。職員は、一つのパンの先にはお客さまがいることをくり返し利用者に伝えており、利用者は心を込めて作業しています。

何年もラスク作りに従事して、熟練工のような利用者がいる一方、洗い物担当からパン製造に興味を持ち、パン成形を学び、今では時間になると自ら「パンをつくろう」と職員を促す利用者もいます。自分たちでつくったパンを購入できる日には、必ず自分がつくったパンを買う利用者、外販の売上を気にして手帳につけている利用者、パンがもっと売れるようにアピールの口上を工夫している利用者もいます。みんなの「やりたい」「頑張った」「やり遂げた」という思いがぎっしり詰まっているのが、茜のパンです。

知的障害のある人々は、日頃から支援を受ける立場に位置づけされることが多いです。利用者が力を合わせてつくったパンを無償で提供することは、自らの働きが他者を助け、社会に貢献していることを実感できる大きな機会となっています。

残念ながら、コロナ禍で外部との接触に慎重にならざるを得ず、パンの製造者を示す機会が減少しています。今後は、茜のパンをつくっている利用者をもっとアピールできることを検討していきたいです。

手作りパンの製造

 

公益的取り組みをSDGs事業として位置づけ

豊島区は、国からSDGs未来都市として選定され、自治体SDGsモデル事業にも選ばれています。法人としては、公益的取り組みをSDGs事業として位置づけています。茜の里の手づくりパンの無償提供を通して、障害者、高齢者、子ども、生活困窮者など、SDGsの理念である「誰一人取り残さない社会」を実現し、誰をも受け入れ、誰からも受け入れられ、持続して発展する社会を目指していきたいと考えています。

手作りパン