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東京都地域公益活動推進協議会

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社会福祉法人 聖ヨハネ会 桜町高齢者在宅サービスセンター『長期間外出ができていない高齢者の保清と介護保険サービスにつなげるための活動  ~聖ヨハネ会桜町高齢者在宅サービスセンターの取組み(フィッティングサポート事例)~』

社会福祉法人 聖ヨハネ会 桜町高齢者在宅サービスセンター

【令和4年度 地域公益活動推進協議会実践報告会 表彰作品要旨】

令和4年度
東京都地域公益活動推進協議会 奨励賞
『長期間外出ができていない高齢者の保清と介護保険サービスにつなげるための活動~聖ヨハネ会桜町高齢者在宅サービスセンターの取組み(フィッティングサポート事例)~』の発表要旨をご紹介します。(推進協事務局)

令和5年3月10日掲載

発表要旨

※「令和4年度 東京都地域公益活動推進協議会実践発表会」において発表いただいた内容を、事務局で編集しました。

[発表者] 社会福祉法人 聖ヨハネ会 法人本部事務局長 竹川 和宏氏

法人概要

 当法人は、医療部門、高齢福祉部門、障害者福祉部門、公益事業部門、収益事業部門から成り立っています。病院・訪問看護ステーション、特別養護老人ホーム・在宅サービスセンター、障害者支援施設・共同生活グループホーム・通所部門などを実施しており、公益事業としてホスピス研究所、収益事業として高齢者専用賃貸住宅を運営しています。各施設は、拠点の東京都小金井市と清瀬市、山梨県忍野村と富士吉田市にあります。

サービスの隙間にある人々を支援する「フィッティングサポート」

 当法人では公益的な活動を「フィッティングサポート」と呼んでいます。制度や政策等に基づく公的サービスの枠組みやサービス提供方法などから、サービス利用ラインに乗らないケースの福祉ニーズに対して、人としての尊厳が守られた生活が営めるように、また個別のニーズにサービスが適合するよう、信頼関係の構築とサービスフィッティングを行う福祉サポートを「フィッティングサポート」と定義づけしています。

 今回紹介するのは、長期間外出ができていない高齢者の保清と介護保険サービスにつなげるための活動です。足腰や気力の低下により、数年にわたって外出も入浴もできなかった高齢者に介護保険サービスにつながるまでの間、入浴と外出の機会を設けるという支援を行いました。

<桜町高齢者在宅サービスセンター外観>


 

地域包括支援センターからの依頼をきっかけに

 取組みのきっかけは、法人内の地域包括支援センターから、支援対象者の高齢者について相談があったことです。在宅サービスセンターに対して、介護保険申請を行い、介護保険を利用する予定だが、訪問入浴サービスの実施が可能か確認してほしいという依頼がありました。この事例に関わったのは、通所介護職員、訪問入浴職員、地域包括支援センター職員、ケアマネージャーです。

 初めに実施したのは、自宅の状況確認です。通所介護職員、訪問入浴職員、地域包括支援センター職員、ケアマネージャーで訪問しました。お住まいのアパートの部屋は多くの物であふれ、玄関から居室までの廊下はやっと人ひとり通れるような状況でした。衣類やダンボールも山積みになり、その中に本人は横になっていました。声かけには反応があり、コミュニケーションはとれました。また、浴室は荷物置き場になっており、使用できない状況でした。ほとんどの時間を横になって過ごし、トイレには伝い歩きで何とか行ける様子でした。

自宅での訪問入力は難しく、まずはフィッティングサポートで入浴サービスを実施

 駐車場から部屋までかなりの距離がある上、浴槽の搬入路も狭く、部屋に浴槽を設置する場所もないことから訪問入浴は難しく、本人の様子からもデイサービスを利用いただく際に入浴してもらうのが良いと判断しました。本人の衛生面、精神面、身体面を考慮し、まずは入浴に目的を絞って来所してもらい、慣れたところでデイサービスにつなげることを考えました。ところが制度上、入浴だけのデイサービス利用は難しいため、入浴に対して「フィッティングサポート」の実施を決定しました。

 当日、職員が訪問した際には、歩行が不安定ながら自力で階段を降りることができました。バイタルは良好で、入浴、ひげそり、髪のカット、爪切りを実施しました。久しぶりの外出と入浴でさっぱりしたことを本人はとても喜び、定期的な来所を希望しました。家族にも喜ばれ、支援がスムーズに進んだことから、フィッティングサポートの実施後は介護保険を利用して、週1回デイサービスを利用することになりました。

 初めの頃は短時間での入浴を含め、時には来所を拒否したこともありましたが、徐々に利用時間も長くなり、最近では休むことなく来所しています。また、機能訓練も効果があり、歩行もかなりスムーズになりました。

 制度では拾いきれない部分のサポートに対して、「フィッティングサポート」と名前をつけたことで、職員の意識づけにもなります。地域における公益的活動は、社会福祉法人の使命でもあり、今後も継続していきたいと考えています。

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