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東京都地域公益活動推進協議会

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社会福祉法人 ダビデ会 昭島ナオミ保育園『地域の子どもたちに食を営む力を』

社会福祉法人 ダビデ会 昭島ナオミ保育園

【令和4年度 地域公益活動推進協議会実践報告会 表彰作品要旨】

令和4年度 
東京都地域公益活動推進協議会 奨励賞
『地域の子どもたちに食を営む力を』の発表要旨をご紹介します。(推進協事務局)

令和5年3月10日掲載

発表要旨

※「令和4年度 東京都地域公益活動推進協議会実践発表会」において発表いただいた内容を、事務局で編集しました。

[発表者] 社会福祉法人 ダビデ会 昭島ナオミ保育園 園長 伊能 恵子氏

地域のニーズから「食を営む力」を養う支援に取り組む

 私たちは、1法人1施設の小さな法人です。社会貢献事業として、地域のUR都市機構の空き店舗を利用し、子育て支援、地域の親子に対する支援、および妊産婦や高齢者を含めた多世代間の交流を目的に地域カルチャープログラムの提供、学童学習支援などに取り組んでいます。

 ところが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、地域に向けたイベントの縮小を余儀なくされました。人とふれあうことが感染リスクになるなら、社会貢献はやらなくてもいいのではないかという雰囲気も出てきました。

 「地域の子どもたちに食を営む力を」という取組みの背景は、地域のニーズがあったことです。保育園では給食の介助を通して、子どもたちに口の動きを見せて食べることを教えたり、子どもの食に苦労している保護者には保育園に来てもらったりしていましたが、コロナ禍でそうした食の支援が全くできなくなりました。また、外部でイベントができなくなったことで、地域の母親からは、子どもがご飯を食べない、逃げ回る子を追いかけて食べさせている、口の中の物を吐き出すので汚れ物も増えてしまう、といった悩みを耳にすることも多くなりました。一方、地域の高齢者からは、多世代間交流の中で、自分たちも役立つことがしたい、という声も挙がっていました。

 そうした背景がありながら、法人内はコロナへの不安やイベント・行事の縮小などでパニックになっていました。しかし、利用者の中に、コロナを心配しすぎて心療内科に通い始める人が出てきたりして、法人内ではコロナだけに気をとられていいのか、健全に生きることを忘れていないかという統一的な見解が取りやすい状況となってきました。

 そして、課題を整理し、その解決に向けて動き始めました。まずは、職員の意識改革に着手しました。当法人は、保育園からこども園化を計画中で、地域支援は必須です。「コロナはあるもの」と考えていくことも必要で、その中で保育の根幹である食をあきらめず、豊かにしていくための対策を考えるようになりました。

<取組の背景と地域のニーズ>

「保育所保育指針」の食育指針をベースに支援を開始

 取組みは、「保育所保育指針」の食育の目標として掲げられている、「私たちは食を営む力を育成しなければならない」という使命の再確認から入りました。たまたま家庭科の教員になった当園の卒園生からもらった年賀状に、「調理実習などが取りやめとなる中で、自分は6年間で子どもたちに食を営む力をきちんと育めているか」という反省の言葉が書かれてありました。それを目にしたときに、私たちが育てた子が教員になってこうして考えているのに、私たちはどうだろうか、と。その反省と共に、「食を営む力の基礎を培う」という基本に立ち戻りました。

 「食を営む力を育む」とは、具体的には食育指針に示されています。「おなかのすくリズムのもてる子ども」「食べたい物・好きな物がふえる子ども」「一緒に食べたい人がいる子ども」「食事作り・準備に関わる子ども」「食べ物を話題にする子ども」という5項目です。これらを達成できれば、食を営む力の基礎ができることが明確にうたわれており、これに向かって応援することにしました。

 そして、お腹が空くように、日中の活動をしっかり行い、野菜嫌いの子供も多い中、自分たちで野菜を収穫したり、食事の準備に関わったりする機会を設けました。それによって給食の残食が減少しました。野菜の収穫には、地域の高齢者が協力してくれました。

 また、子どもがじっと座って食べてくれないという悩みを抱える地域の親向けにも支援を実施しました。こうした援助は怖くてできませんでしたが、思い切って再開したことで、「職員の援助で子どもが座って食べられるようになった」という喜びの声も届いています。

 コロナ禍でも勇気を持って地域貢献事業プログラムを展開した成果としては、参加者が増えたことです。また、地域の参加者からの入所率も上がっています。何よりも職員が怖がっていたプログラムに挑戦できたこと自体が、大きな成果だと考えています。

 課題は、地域の方々が高齢化していることです。また、野菜の栽培方法などのノウハウの伝承も課題です。コロナへの不安とも闘っていかなければならないと考えています。

 今後は、NPO法人と協働で、学童の子どもたちの力を活用した子供食堂の展開に着手していきます。コロナに負けず、萎縮せず、地域に向けて前進していけるように、職員一同頑張っていきたいです。

<地域ふれあい館での参加の様子>


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