地域共生社会の実現に向け、“オール東京の社会福祉法人” による地域公益活動を推進します。

東京都地域公益活動推進協議会

ホーム > 各法人の取組み事例の紹介 > ゆるりと関わりをもつこと 継続していくこと

このページをプリントします

ゆるりと関わりをもつこと 継続していくこと

社会福祉法人慈生会 ベトレヘムの園病院

令和4年度東京都地域公益活動推進協議会「はたらくサポートとうきょう実践報告会」において発表いただいた内容を編集しました。

令和5年3月30日掲載

ベトレヘムの園病院の地域公益活動

 当院は、昭和8年にフロジャック神父が結核から回復した人の療養農園として「ベトレヘムの園」を開設したことが始まりです。その後、病院となり、カトリックの精神を受け継ぎながら、現在96床(2022年現在)の社会福祉法人医療療養病院として運営しています。

 病院でのはたらくサポートの取り組みはめずらしいかもしれませんが、当院を地域の人が誰でも立ち寄れる場所として提供し、地域公益活動を担うことを方針に活動しています。コロナ禍では、好きなときに立ち寄ることが難しくなった時期もありますが、少しずつ再開しています。地域公益活動や地域医療に向けた活動は、医療相談室を窓口に医療ソーシャルワーカーと職員が協力して行っています。

 当院が関わる地域公益活動として、誰でも立ち寄れるカフェ「ベトカフェ」、学習支援「はなみずき」がありますが、コロナ後は休止中です。「ワークサポート事業」も地域公益活動の一つです。また、地域公益活動を通じて清瀬市社会福祉協議会と清瀬市内の社会福祉法人施設と定期的に会合を開くなど連携を深めています。今はさまざまな「働く」を支援するために動いています。

中間的就労支援を担うワークサポート事業

 中間的就労支援は、当院では柔らかいニュアンスを加味して「ワークサポート事業」と呼んでいます。略して「ワサポ」です。ワサポを始めたきっかけは、仕事を辞めてからブランクのある方を事務業務で週2回短時間で受け入れたことです。この延長線上で中間的就労支援を申請し、10代から60代の15名と関わってきました。就労の経験がない、仕事が継続できず悩んでいるなど相談に来られた経緯はさまざまです。ワサポ終了時点で非常勤等で仕事を始めたのは5名です。コミュニケーション不足から途中で終わってしまった、就職後すぐに辞めてしまった、就職前の体験研修で終わってしまったケースなどもあり、反省すべき点も多々あります。

 ワサポ実施にあたっては、決められた時間に来て作業をする、遅刻や休むとき、ワサポを終了したいときは必ず連絡することを決まりにしています。作業は担当者が一緒に行うこともあります。

 作業後は、毎回振り返りを行い、その日の仕事の内容、達成度、感想などを簡潔に記入してもらいます。その後、当日の交通費を精算します。コロナ前には定期的に相談支援担当者と振り返り、次の目標などを本人と相談しました。

 受け入れ側には、仕事の切り出しを依頼。万人には提供困難な作業があったり、対患者への作業は遠慮されがちだったりと、試行錯誤しながら今に至っています。現場の病棟の協力なしでは進められず、例え1回の取り組みで終わってしまう作業だったとしても、快く受け入れてくれる体制だったことが継続してこられた大きなポイントです。

 最終的に取り組みとして定着したのは、落ち葉清掃、雑草取りといった戸外作業、おしり拭き畳み、病棟患者さんの日用品の準備といった室内作業です。コロナ前は、患者さん用の昼のお茶作りも作業に入っていました。1時間から最長でも2時間、同曜日の同時間に来院して作業を継続できれば、ワサポの卒業としました。

ワサポの成果とは

 現在、短時間業務の仕事をさまざまな方に提供できるようになりました。成果としては、清瀬市社協と清瀬市内の社会福祉法人とのつながりで、卒業後を相談できる環境が増えたことです。2023年2月にも「はたらく」をテーマとした相談会を実施予定です。また、コロナ禍で飲食業界が厳しい中、介護業界への就職希望者の介護体験と人材発掘を兼ね、2021年秋から1日介護体験を実施しています。

 さらに、ワサポやボランティアが病棟への出入りが厳しくなった時期に、清瀬市ボランティアセンターとのつながりで、十文字学園女子大学の学生との関わりができ、病棟の日用品製作を依頼するなど交流が続いています。

今後の目標

 ワサポは、体験を通じて自分の存在や隠れた魅力に気づいてもらう場所でありたいと考えています。卒業後にさまざまなスタイルで仕事が始められるように、市内の社会福祉法人など仕事先を相談できる仲間の存在を心強く感じています。また、コロナ感染状況をみながら、ワサポの活動、従来業務を継続していきたいです。

 ワサポの受け入れにハードルを感じる法人もあるかもしれませんが、後方支援など協力できることで多くの法人と連携していきたいと考えています。

※「令和4年度はたらくサポートとうきょう実践報告会」において発表いただいた内容を事務局
    で編集しました。
    [発表者]社会福祉法人 ベトレヘムの園病院 医事連携課 大和 理恵 氏

このページの先頭へ