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養蜂プロジェクト ~ミツバチ達が教えてくれる絆社会~

社会福祉法人武蔵野会 千代田区立障害者福祉センターえみふる

都内中心部お茶の水にある千代田区立障害者福祉センターえみふる。
そこから徒歩5分の位置にある明治大学猿楽町校舎屋上で養蜂活動を行っています。養蜂家の藤原さんのご指導のもと、同大学の大森教授、ゼミの学生さん、地域の障がいがある人もない人も皆で楽しく活動し、「養蜂を通した絆社会の実現」を目指しています。

令和5年7月20日掲載

 

■養蜂活動を始めたきっかけ

千代田区立障害者福祉センターえみふるは、千代田区の指定管理者として平成22年に社会福祉法人武蔵野会が運営を開始しました。令和2年3月でその契約が終了し、令和2年4月からは、「人と人、地域を繋げる『絆』を創り出す」ことをミッションとして、新たな10年をスタートさせました。そこでどんな事業を展開させていこうか、最初に“養蜂”に思い当たったのは、黄金色の蜜の美しさに惹かれて蜂蜜収集していた一人の職員の趣味からでした。まずは活動を開始するための情報収集を行いました。当センターからほど近い「ECOM駿河台(環境や自然に関する情報を発信し、地域交流を目指している環境コミュニケーションスペース)」に相談に行き、環境に配慮した行動の普及をめざすことを目的に一事業として養蜂活動を行っている「千代田エコシステム推進協議会(以下、CES)」の存在を知りました。CESの理事長(当時)をしている明治大学政治経済学部(千代田区神田駿河台)の大森正之教授が同校内の敷地でゼミ活動として養蜂活動を行っていると聞き見学に行かせていただいたのをきっかけに、採蜜活動、瓶詰やパッケージ、販売等、障がいや配慮を必要としている方の特性に合わせた活動の場の創出が可能であると確信し本格的な養蜂プロジェクトを始動しました。

 

■地域交流

参加者は千代田区在住、在勤、在学の皆さん、えみふるに来られている利用者の方も沢山参加しています。現在私達の巣箱は2箱ですが、その中には何千何万のミツバチが暮らしいています。箱の中には巣枠と呼ばれる板があり、1枚の板に約2000匹程のミツバチがいます。その板1枚ごとに幼虫や蛹の数や色、貯蜜量を調べ、女王蜂が問題なく産卵しているか、ミツバチの体液を吸い取ってしまうダニの発見、病気に気づいた時に速やかに対処、観察することを「内検」といいます。内検は養蜂家の藤原先生が行い参加者は見学のみですが、皆さんからの色々な質問、疑問に先生が分かりやすく丁寧に説明してくれます。


↑内検の様子

 

最初はたくさんのミツバチに驚き、巣箱に近づけない方もいますが、先生のミツバチに対する愛情を持った関りを感じ興味を持たれた皆さんもミツバチに対する愛情が芽生えます。
参加者の皆さんには、主に採蜜作業を行ってもらいます。巣枠の中に貯められた蜂蜜を遠心分離機に入れ大切な蜂蜜をおすそ分けしてもらいます。蜜の貯蔵量や巣枠の状況により先生からアドバイスをもらいそのアドバイスに合わせハンドルを回す速さなど微妙な違いがあります。輝いた蜂蜜が流れ出てくると皆さん感動され笑顔も溢れます。1匹のミツバチが一生を通じて作れるはちみつの量はティースプーン1杯ほどの僅かな量です。その貴重な蜂蜜をこぼさないよう瓶に入れる際には細心の注意が必要です。その為、皆で声を掛け合いながら協力して行います。1つの作業が人と人を繋げます。
採蜜した貴重な蜂蜜は千代田区の花々を蜜源とした蜂蜜です。味見をすると驚きと感動で言葉を失うほど。この味が忘れられずに同じ味を求めている方もいます。養蜂活動は忘れかけていた自然の大切さを教えてくれる貴重な体験です。初めて顔を合わす人ばかり、年齢も職業もバラバラですが養蜂活動をきっかけとして様々な交流が生まれています。


↑採蜜作業

 


↑採蜜した蜜

 


■採れた蜂蜜はどうするの?

同法人で千代田区内にあり、お菓子の手作り販売等もしている就労継続支援B型事業所のジョブ・サポート・プラザちよだにて瓶詰作業、ラベル貼りやタグ付けを行い、パッケージデザインは同法人内で活躍するボランティアさんにお力添えをいただき、商品名「和花(Nodoka)」として各施設の窓口等で販売をしています。売り上げは、利用者の工賃となります。また区内の当事者団体や関係機関、企業等に無料で配布し活動や商品の広報活動をしています。


↑瓶詰め作業

 


↑ラベル作業

 


↑「和花 -Nodoka-」完成品

 


↑施設前で販売

 


■今後について

私達は、地域の方と一体となり、養蜂活動を通した居場所づくりや、蜂蜜の生産(採蜜)、瓶詰やパッケージ作り(2次産業)、流通・販売(3次産業)にも取り組み、障がいのある方の就労や社会参加の機会を創出しながら地域の活性化に貢献していきます。また養蜂活動は令和2年から始まり、その様子等をSNSなどで発信し施設での広報活動をしたことで「和花」の知名度は広がりつつあります。「和花」は、千代田区を蜜源とした貴重な蜂蜜です。そのブランド力を最大限生かし、区内の人や団体・企業と繋がり、それぞれの強みを生かして協力し新たな商品の開発や蜂蜜を使ったイベント等を企画していくことで人と人を繋げ、「絆社会」「共生社会」を目指します。そして、「和花」は地域の自然蜜源から作られている「地球はみんなのもの」であり「地球に還元する」という視点を忘れずに活動していきたいです。

 

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