六踏園がもつ子どもの専門性とネットワークを活かし、児童養護施設で取り組む「子ども第三の居場所」コミュニティモデル拠点
社会福祉法人六踏園 調布学園・第二調布学園
2022年5月、日本財団の「子ども第三の居場所」コミュニティモデル拠点として、多世代交流・多機能型施設を目指し、児童養護施設内に地域交流センター「まんまる」をオープン。法人内にある児童養護施設・母子生活支援施設・保育園がもつ専門性とネットワークを活かし、【居場所づくり】【ひとり親家庭へのアプローチ】【地域住民・関係機関・法人との連携】【アウトリーチ】を意識した取り組みを行っています。
令和5年6月28日掲載
はじめに
1.地域交流センター「まんまる」のコンセプト

「つなげよう!地域の力!~ちょこっとつどう憩いのわ」をコンセプトとして、児童養護施設内に地域に開放された場所をつくることで、施設と地域のつながりを広げ深めることができ、それが子どもたちの成長と自立を支え、人と人がつながることでお互いを支えあい、共生できる地域・社会になることを願っています。
2.日本財団「子ども第三の居場所」コミュニティモデルについて
地域の子どもたちが気軽に立ち寄れる、家でも学校でもない第三の居場所をつくり、地域の人々との交流を通じて、人と関わる力や自己肯定感を育むとともに、課題を抱える子どもたちの早期発見や見守りも行うモデルとして、日本財団より認可されました。まんまるは2022年度より助成(最大3年間)をうけて運営しています。
3.運営について
週4日専門職が常駐し、さまざまなイベントを実施しながら、子どもたちの感動体験を増やし、誰もが心地よいと思える居場所づくりを行っています。開所していない日は、場所貸しとして地域の方々の活動場所として提供しています。
居場所づくりの取り組み
<まんまるDay> 誰でも対象/月・水・土/9時半~17時

毎回大人気のリフレッシュヨガ教室。ヨガ教室のあとは、お茶を飲みながら歓談。子育ての悩みを共有したり励ましあったり。ヨガ教室をきっかけにまんまるの存在を知り、まんまるの活動に協力してくださる方が増えました。参加者のお子さんがまんまるKidsにつながり、新たなイベントが提供されたり…と憩いの『わ』が広がっています。また毎月6種類のおもちゃが変わるキッズコーナーで遊ぶことができるので、子連れでも安心して参加できます。
そのほか、ロミロミマッサージやアロマのワークショップなどママたちを応援するイベントが盛りだくさん。パパやお孫さんを連れて遊びに来る祖父母の利用も多いです。おもちゃ美術館のおもちゃ広場も開催するなど、赤ちゃんから大人まで集う多世代交流の場となっています。
<まんまるKids> 子どもたち対象/水・金/14時~16時45分
放課後は子どもたちの遊び場を提供しています。入所児童も地域の子どもたちも利用でき、宿題をしたり、ボードゲームや工作、ピアノ、プラレールなどやりたいことを自由に過ごせる場所になっています。また、バリアフリーなので車いすの方、放課後等デイサービスの方も一緒に遊んでいます。
自由な遊び場に加え、地域の方々・企業・活動団体からご支援をうけ、クラシックコンサートやワークショップの開催など、子どもたちにさまざまな感動体験の機会も提供しています。

定期的に開催していただいているクラシックコンサート。子どもたちだけでなく地域の方も毎回楽しみにしています。間近で生の演奏に触れる機会は、子どもたちの情操を豊かにしてくれます。演奏後は、子どもたちからの質問コーナーや、実際に楽器に触れられる時間もあります。

子どもたちに表現することの楽しさを体験するワークショップを実施しました。近隣の放課後デイサービスの子どもたちも一緒に参加し、表現豊かな子どもたちの発想に感動しました。他にも、プログラミングワークショップや環境学習なども実施しています。
ひとり親家庭へのアプローチ
調布市子ども家庭支援センター・スクールソーシャルワーカー・同法人母子生活支援施設と連携し、地域で生活するひとり親家庭の支援を行っています。週2日夕方学童や保育園にお迎えに行き、まんまるで夕食提供・学習支援・夜の見守りを行い、20時までに自宅へ送り届けています。子どもたちを預かるだけでなく、保護者と一緒に夕食を囲んだり、ボードゲームなどをし、親子一緒に楽しい時間を過ごすことも大切にしています。また、居場所に来ることができない世帯には、週1回夕食のお弁当(子ども分は無料)をご自宅までお届けしています。法人内施設退所者のアフターケアとしての機能も担っています。
地域住民・関係機関・法人内の連携
まんまるを拠点に、つながりをさらに広げ地域全体で子育て家庭を見守っています。まんまるがある調布市富士見町地域にはたくさんの居場所があり、小中学校・児童館・地域団体・民生委員・法人内施設などが連携しさまざまな立場からアプローチし、包括的に支援できるような取り組みを行っています。また関係機関とも連携し必要に応じケース会議にも参加し、相互理解と協働に努めています。
法人内連携としては、園内研修や交換研修を通して職員全体で地域支援への理解を深めたり、母子生活支援施設のスタッフによる出張子育て相談や小学生向けのイベント企画などを通して、施設の専門性やノウハウを活かした取り組みにつなげています。
↑近隣の大学生サークルと法人内の母子生活支援施設が協同し、カードゲーム大会を実施しました。
アウトリーチ
居場所づくりをするなかで、そもそも居場所に来ることができない・ショートステイ制度にもつながれない・制度の狭間で困っている方たちが多いことを知りました。居場所に来るまで待っているだけでなく、お弁当を届ける仕組みのように、こちらから出向き関係性を構築することで、少しずつ社会につながれるような取り組みを大切にしています。
今後の支援展開について
ひとり親家庭への支援をさらに充実させ、保護者のケア、親子統合支援、里親支援、不登校支援にも対応できるような場所づくりを検討しています。また、秋には子ども食堂も開催する予定です。
実践発表事例
こちらの取組みは、「地域公益活動 実践発表会2023 Part.1」にて実践発表いただきました。
参考リンク
詳しい活動内容は、公式インスタグラム・LINEにて紹介していますので、ぜひご覧ください。
↑LINE(スマートフォンで開いてください)