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東京都地域公益活動推進協議会

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「片付け支援事業」制度の狭間への取り組み ~安全な生活環境の提供と地域ネットワークの再構築を目指して~

社会福祉法人東京老人ホーム

「片付け支援事業」は、高齢者の住居内への溜め込みの問題に当法人が独自に取り組む事業です。
住居内を整理する習慣や体力に不足する方は、家中が不要物であふれていることあります。不衛生な環境は健康にも影響を及ぼします。
そこで、住まいの片付けを通して福祉サービスにつながることで、安心、安全な環境づくりを図り、専門職や地域とのつながりの再構築をめざしています。(西東京市)

令和5年9月25日掲載

 

取組みのきっかけ

社会福祉法人東京老人ホームでは、2018年度に「地域貢献プロジェクトチーム」を発足させました。
チームメンバーで地域特性や地域課題、新規プロジェクトの内容について検討を重ねた結果、「片付け支援事業」が選定されました。

高齢者の「溜め込み」の問題は、地域で度々見られる課題です。
”物を片付けられない“、”ごみが捨てられない”、”身動きがとりにくく不衛生になりがち” といった環境は、高齢者自身の健康に影響を及ぼします。また、こうした世帯は近隣とのつながりが少なく、孤立している場合もあります。
さらに、介護保険サービス(とくに訪問系のサービス)を開始する際、高齢者のベッドを置くスペースや、ケアに携わるヘルパーの動線確保のため、家の中の片付けは欠かせません。

しかし、大規模な片付けは介護保険サービスでは対応できず、民間業者に依頼した場合の費用も高額であることから、片付けを諦めてしまう高齢者もおりました。

そこでチームでは、ニーズが高いながらもその解決の担い手が得にくかった「片付け支援」に取り組む意義が高いと考えました。


↑室内から不要品を運び出す様子

 

事業の開始

新型コロナの影響で、事業開始に向けた実行委員会の活動を一度見送りましたが、2021年度より実行委員会を立ち上げ、実際の運営に向けて準備を進めました。

2022年7月より事業を開始しております。初年度は、3件の支援をさせていただきました。

【支援の流れ】

①受付

市内の地域包括支援センター職員(以下、センター職員)からの相談を受け、実行委員会で検討します。

②調整

  • センター職員に、本人との片付け支援の日程調整、行政のごみ収集車の手配を依頼。
  • また、片付けは無料ですが、ごみ袋の購入はご本人にお願いしています。
  • 当日の職員の選出
    実行委員+施設部門・在宅部門職員など。片付けの規模により3~4名

③事前打ち合わせ

  • センター職員と、片付け支援の参加職員で打ち合わせます。
    (日時、間取り、注意事項、片付け後のサービス導入、溜め込みの再発防止、地域ネットワークの構築に向けてなど)

④当日の支援

  • センター職員と、法人の参加職員、その他今後の支援に関わる方(ケアマネジャー、民生委員など)で伺う。
  • 本人に片付けに関する同意書の説明、署名をお願いする。
  • 本人、センター職員と確認しながら、ごみ(不要を判断された物)の分別やまとめの作業を行う。
  • ごみ収集車が到着し、回収を待って作業終了。

⑤その後

本人の生活の変化(介護保険サービスの開始など)を、センター職員から報告いただいています。

法人職員向けに「お便り」を作成し、活動内容や、片付けの意義について、全体で共有を図っています。

片付け前の室内

片付けの様子

まとめられた不要物

片付け後の室内

 

 

支援を通して

「ベッドを置くスペースが確保できた」、「訪問介護を開始できた」、「民生委員につながった」、「支援者との信頼関係を築けた」……

片付けを通して、本人の生活が安全かつ快適になり、地域とつながる第一歩になったことを聞くと、とても嬉しく思います。

地域で困りごとのある高齢者の手助けになることは、とても感謝されることです。

微力ではありますが、今後も片付け支援を通して地域に貢献していきます。

 

参考リンク

社会福祉法人東京老人ホーム ホームページこのリンクは別ウィンドウで開きます(外部リンク)