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東京都地域公益活動推進協議会

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「つながり」と「やくわり」ある居場所を創設する 多世代の居場所づくりプロジェクトUI~結~

社会福祉法人亀鶴会 特別養護老人ホーム神明園

神明園独自の大規模災害対策の一環として竣工した防災倉庫「神明台sTorehouse(ストアハウス)」。災害時に備えた炊き出し設備と飲食スペースを平時にも有効活用し、地域の方々の居場所づくりを進めています。

【令和5年度地域課題に取り組むための助成事業 助成法人】

令和6年3月14日掲載

この取組みは、当協議会が実施する「令和5年度地域課題に取り組むための助成事業」にて、活動経費の一部を助成させていただきました。

 

法人概要

社会福祉法人 亀鶴会(きかくかい)は開設時より、「地域に求められる存在」をビジョンに、高齢者福祉にとどまらず、社会福祉ニーズに対応するサービスを提供していく事をミッションとし、公益的な取り組みを進めています。入所している方が孤立する事なく、地域の方々と交流できる、地域に開かれた場となるよう、また地域の介護機能を高める為地域で介護人材を育てる事をも必要であると考え、特に子どもの頃から介護という仕事、高齢者へ関心を持つ機会となるよう市内の保育園や小中学校との交流を大切にしてきました。

 

地域の課題やニーズの状況

特別養護老人ホーム神明園の周辺地域は、
1)新興住宅地で子育て世代から高齢者まで顔見知りが少なく、ご近所付き合いが希薄
2)こども、青年、成人、高齢者と各世代の関係が途切れがち、こどもと大人社会相互のつながりが薄い
3)独居や高齢者夫婦世帯が多く、このような方たちの交流の場が少ない
という課題があります。活動を通し、「かふぇてりあ はろ」では表面化していない、見えにくい問題を抱える子がいる事がわかってきました。「より処」では「通う場がほしいが足がなく通う事ができない」という問い合わせが、また要支援、初期認知症を発症されている方のご家族からの問い合わせも多くあります。人が集まる事で、地域課題の発見につながる。またどの世代にも歩いて通える居場所の必要性を感じています。

 

取り組みのきっかけや連携先

法人の公益的取組推進会議では、
1)暗くなってもコンビニや公園にいる子が多い
2)こどもだけで食事をする家庭が多いようだ
3)コロナ禍、認知症が進んでいる方がいる
など、地域の「気になっている事」を挙げ、話し合いを行うなか、地域に住む人たちの「つながり」をつむぎ、各世代の「やくわり」を生み出す居場所を創設する必要性を感じ、「多世代の居場所づくりプロジェクト UI~結~」を立ち上げ、「かふぇてりあ はろ」「神明台自習室みらい」「高齢者の居場所 より処」の3つの活動を主軸に展開しています。「かふぇてりあはろ」「神明台自習室みらい」は地域の小中学校、民生児童委員へ相談できる関係性ができています。「より処」では地域の自治会、老人会と定期的に交流をもち、また地域包括支援センターからの紹介により利用者の幅を広げる事ができています。

 

取り組み内容

○かふぇてりあ はろ

近隣の小中学生を対象とした夕食付き放課後の居場所として、毎週火・土曜日の16:30~19:00まで地域ボランティアの協力のもと活動。2023年度(4月~2月まで)実施回数91回、総参加人数711人、平均参加人数は7.8人でした。週2回と開催回数を多くする事で、はろに来ている子と「つながる」、「関わる」事ができ、小さい活動ではありますが、小さい活動であるからこそ子どもの見えない問題が可視化されやすく、問題発見の場となってきています。

 
より処が終わり、かふぇてりあはろの時間ですが皆でカードゲームが始まりました。
どの世代も一緒に過ごせる場を目指して!

 

○神明台自習室 みらい

近隣の中学生を対象に、定期考査1週間前から神明台sTorehouseを自習室として開放しています。夕食提供も行い、ボランティアやスタッフなど年上世代と交流の場にもなっています。1)家に落ち着いて学習する場・環境がない、 2)一人だと勉強が進まない、 3)ご飯が食べられる、などが主な参加の理由となっています。活動を通し、学校や家庭以外にも落ち着いて学習できる場は必要であると思います。今後は利用する生徒や関わる人を増やし、学習支援を含め自習室としての機能を強化していけるかが課題です。

学習風景

夕食の時間はおしゃべりタイム、
大切な年上世代との交流の場

 

 

 

 

 

 

 

 

○高齢者の居場所 より処

2023年10月よりスタートしました。開催日時の変更はありますが、毎週火・水・金・土曜日の週4回、11時~16時まで気軽に集い、利用できる場となるよう様々な活動、イベントを取り入れ実施しています。10月~2月までの実施回数は75回、総参加人数は637人、平均参加人数は8.5人でした。特にランチの日の参加が多く、毎回9.7人の参加があります。現在登録者は42名、うち独居高齢者率は63%。地域の事、課題を知るきっかけとなりました。

ランチの様子。
おしゃべりは食事をおいしくしてくれます。

ハマる方が続々と、楽しい笑いヨガ😊

 

 

全体の成果

地域の方々に「関心」を持っていただけるようになってきました。活動当初は「うちの子が通う、お世話になる場所ではない」「福祉のお世話にはなりたくない」「特養へ入れるための活動か」という反応が多かったですが、最近は「大切な活動ですね」「頑張ってください」と家にある食材をご寄付くださる方、「ご近所にここに来たらいいのにって思う人がいるのよ」など会話の内容に変化がでてきました。社会福祉法人という施設に、このような活動に関心頂く機会に、また自分の事や自分が暮らす地域の事を考えるきっかけにもなっているように思います。社会福祉法人は地域の一部として、地域の声を聞き、住民の方々だけでは困難な部分をカバーしたり、解決を目指す活動を行っていきます。

 

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