駄菓子でつなぐ、まちと人々の輪
社会福祉法人武蔵野会 リアン文京
地域のひとびとが集う駄菓子屋さん。駄菓子を通して、地域の大人、子ども、障害をもっている方や、いろいろな世代の交流が生まれ、まちの中の居場所になっています。
【令和6年度地域課題に取り組むための助成事業 助成法人】
令和7年3月6日掲載
*この取組みには、当協議会が実施する「令和6年度地域課題に取り組むための助成事業」にて、活動経費の一部を助成させていただきました。
法人概要
法人理念「自分を愛するように、あなたの隣人を愛せよ」の理解と実現を、根本的な使命として、支援を必要とするひとたちに適切な支援を行うこと、また、事業所のある地域のみならず、社会全般における福祉の発展・充実に向けて率先して行動し、ひとが共に生きる社会づくりに貢献することを基本方針としています。現在、東京都内で、八王子市、小平市、練馬区、千代田区、文京区、世田谷区、大島町等と静岡県御殿場市に25の施設で子ども、障害児・者、高齢者施設など120事業を経営しています。
その中でリアン文京は、文京区小日向にあり、「絆社会の実現を目指す」というチームミッションのもと、都市型複合施設の総合的機能を発揮し、障害者福祉をはじめとする幅広い事業を展開しています。福祉のまち作りを視座に多世代交流や共生社会の実現を目指しています。
地域の課題やニーズの状況
文京区は都内の中心地にあり、オフィスや医療、教育機関が集中する地域である一方、江戸期の下町文化を残す地域で、地域住民の絆が熱い地域と評価されてきました。しかし、ここ数年、高齢化の進展やコロナ禍による地域での孤立化の問題が顕著になってきました。従来、担保されていた地域の援護機能や地域住民の交流がなくなり、江戸期から続いている地域行事等が縮小する一方です。その中で、子どもたちが生まれ育ったふるさとでの共通する思い出がどんどん希薄になってきています。さらに、高層マンションの建設ラッシュで、新しい住民が流入してきており、子育て世代の人口が増加傾向に逆転する現象が起こっています。
地縁的なつながりがなくなる中で、まちの中でちょっとした時間にふれあい、交流する機会が大切だと思っています。こうした井戸端的な交流の場が減少し、日常での地域のつながり意識が持てなくなるのが課題と捉えています。また、コロナ禍での感染者への差別等をみるに、地域住民の孤独や孤立が、障害者や生きづらさを抱えている人を排斥する状況を生み出す危険性があると考え、日常レベルで大人も子どもも障害者もさまざまな交流ができる「駄菓子屋」のようなちょっとした会話やふれあいの場が必要と考えています。
取り組みのきっかけや連携先
リアン文京が2018年から展開してきた全世代型の共生プログラム「ふれあいプロジェクト」で繋がりを持った地域の方たちとの運営会議の場で、コロナ禍で中断、停滞した地域のつながりをどう取り戻すかを議題にしたグループワークを行いました。その中で出てきたのが、昔はあちこちに存在し、子どもたちの心の拠り所である「駄菓子屋」です。駄菓子屋のことを語る方々は一様に口元がほころび、そこがいかに楽しい居場所であったかを語りました。現在の子どもたちが大人になったときに語る地域の思い出の中のひとつに駄菓子屋があり、その場所で、大人も子どもも障害を持った方も一緒に楽しんだ記憶があってほしい、という地域の方々の願いが取り組みのきっかけです。
連携先は、NPO法人「地縁の輪」、小日水町会、地域のボランティアです。
取り組み内容
月に5、6回ほど開催している駄菓子屋はリピーターも多いのですが、新たなつながりの構築を目指し、リアン文京が2018年から展開してきた全世代型の共生プログラムのひとつである「クレェ・デ・リアン」と駄菓子屋を繋げました。クレェ・デ・リアンの活動はまちの様々な方々が小さなイベント(アクティビティ)を行うことによって、つながりの輪を少しずつ広げていこうという取り組みであり、駄菓子屋さんの目的と同一です。
具体的内容は以下の通りです。
- 日時 2025年1月25日(日) 13:00~15:00
- 場所 リアン文京
- 内容 お手玉、あやとり、けん玉、ボッチャ、カプラ、切り絵等の昔遊び、今遊びの各遊びを1回行うたびに、スタンプラリーカードに判子を押す。判子4個でコイン1枚と交換し、そのコインでガチャガチャを1回、回す。ガチャのカプセルの中には駄菓子が買える金券があり、その金券を持って、リアンの駄菓子屋さんで買い物をする。遊びの場所には、ほかに炭焼きせんべい、豚汁、ポップコーンの無料提供で集客を図る。
取り組みの効果
各種遊びや食べ物の配布は、まちのシニアの方、リアン文京の利用者、放課後等デイサービスの卒業生に担っていただきました。クレェ・デ・リアンの会場は、様々な方のにぎやかな声で満ちていました。シニアの方は、昔遊びを子どもたちに伝承していく。いつも社会でサービスを受ける側の利用者が、切り絵の活動で子どもたちに切り絵作りを教えていく。放課後等デイサービスの卒業生たちは、駄菓子屋の販売スタッフとして積極的に地域の方々へ話しかけ、お子さんとにこやかに商品選びの手伝いをしている光景がありました。
この取り組みの目的は、様々な人々の交流とまちの中の居場所づくりです。イベントと駄菓子屋をつなぐことにより、より多くの方の交流が生まれ、大人、子ども、障害者の垣根を超える向き合いができました。駄菓子屋に通うリピーターの人数も増え、まちの中の居場所としても機能しつつあります。
社会福祉法人武蔵野会 リアン文京
〒112-0006 文京区小日向2丁目-16-15 文京総合福祉センター内
TEL:03-5940-2822
ホームページ:https://team-lien.com/