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東京都地域公益活動推進協議会

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日野市内社会福祉法人ネットワークによる活動

日野市内社会福祉法人ネットワーク

提供食品

日野市内社会福祉法人ネットワークでは、「フードバンクTAMA」と協力し、フードパントリーを行っています。食の支援にとどまらず、相談対応につなげるアンケートの実施や箱詰め作業を就労支援プログラムの一つにするなど、取り組みを広げています。また、コロナ禍において、大学生を対象としたフードパントリーも行っています。

令和4年1月14日掲載

令和3年10月27日開催「地域公益活動を考える オンライン実践発表会」において発表いただいた内容を編集しました。
日野市社会福祉協議会 山田明生氏

 
フードパントリーの概要と実績

日野市内社会福祉法人ネットワークは、福祉教育・広報活動・暮らしの支援という3つの大きな柱で事業を展開しています。

フードパントリーは、令和元年11月に開始しました。事業の実施主体は「フードバンクTAMA」で、社会福祉法人の役割は食の中継地点です。協力事業という位置づけで、地域公益活動の一環として無償で協力しています。

令和2年度より、コロナ禍で利用者が急増して年間1,169件、月間平均100箱の提供となっています。令和3年7月に新たに社会福祉法人1カ所が加わり、さらには児童館4カ所でも独自にフードパントリーを開始しています。

フードパントリーの食の中継地点(提供場所)は地図の通りです。

日常生活圏域とパントリー

2つの社会福祉協議会事務所、4つの社会福祉法人ならびにフードバンクTAMAの倉庫を配布場所として提供しています。できる限り市内全域で食の受け渡しができるように、法人を選定しています。令和3年度も引き続き、月間100件を超える利用実績があります。

利用実績一覧

フードパントリー利用者にアンケートをお願いしており、7月より「相談機関の支援の有無」や「相談先がわからない」という項目を設けました。その結果、「相談先がわからない」という回答が毎月10件前後ありました。

フードパントリーで食を受け取った人たちには、大変喜ばれています。日野市では、コロナの特例貸付と同時にフードパントリーをご案内したため、令和2年度は飛躍的に利用者が伸びました。一時的とはいえ生活の力になっている実感を得ています。また、社会福祉法人の立場としては、生活困窮者支援という位置づけで地域公益活動にも寄与しているのではないかと考えています。

 

フードパントリーの課題

課題は、利用者の多数がリピーターとなっていることで、支援機関への周知が必要と考えています。また、開始当初は、食材の確保・運搬をフードバンクTAMAが担当していましが、月20箱から令和2年度にはコロナ禍の影響で月100箱以上に急増したため、フードバンクTAMAだけでは抱えきれなくなり、役割を見直しました。そして、フードバンクが食材の調達・確保、社会福祉協議会が食材の箱詰め・運搬を担当することになりました。社会福祉協議会では、コロナ禍で停止した事業に関わっていた職員が箱詰め・運搬に携わりました。

また、食だけを求めてフードパントリーを利用する人も多いですが、相談対応につなげるためアンケートの修正を行い、「相談先がわからない」といった設問を追加しました。今後、コーディネーターの配置など、制度のはざまにいる人々の需要に対応するためにも、このフードパントリーを活用していきたいです。

 

箱詰め作業を就労プログラムの一つに

食材の箱詰め作業については、人手不足により月100箱の準備に苦慮していました。そこで、令和3年1月頃から日野市のセーフティネットコールセンターと連携し、ひきこもりや社会参加が困難な人たちの就労プログラムの一つとして、箱詰め作業を手伝ってもらうことになりました。また、ボランティア先がないという個人ボランティアや大手企業の特定子会社の人たちも加わり、食材を提供するパワーは充足しています。

食品分配の様子

作業に関わっている就労プログラムの相談員によると、実際の就労に近いボランティア活動を探していたところ、ボランティアセンターから紹介され、フードパントリーに協力することになったという経緯があります。

実際の作業内容は、フードパントリーの物資の搬入・仕分け・箱詰め・配送補助などです。米も提供していますが、夏場はコクゾウムシなどが散見するため、真空パック作業も行っています。

この活動に関わる相談員は、参加者が楽しみながらやりがいを感じて、週2回活動しており、「日常生活の安定や自立」「社会参加への意欲」といった目標達成に手応えを感じているという印象を持っています。今後は、地域での短時間就労や雇用につなげていきたいと意欲をみせます。

これまでも就労プログラムの一環として、パソコン作業などを行っていましたが、コロナ禍での就労は難しく、パントリーの箱詰め作業には、これまで就労プログラムに参加していなかった人にも活動してもらうことができました。

参加者からは、「楽しく活動しています」といった声が届いています。また、今までは支援を受けている立場でしたが、「食糧支援をすることで、人の助けになっているのが嬉しい」という声も上がり、自分が困っている人たちの支え手になっていることにも意義を感じているようです。

 

大学エールゴハンプロジェクトの概要

「大学エールゴハンプロジェクト」は、大学生を対象としたフードパントリーで、日野市委託事業です。日野市よりコロナ禍でオンライン授業の実施、アルバイトの減少などで生活に大きな変化を求められた大学生の実態調査を行いたいとの要望があり、日野市公式LINEを活用してアンケート調査を行い、その回答者に食の支援を行っています。食の支援については、フードパントリーのスキームを活用したいと社会福祉協議会に相談がありました。

大学エールゴハンプロジェクト チラシ

内容は、明星大学、実践女子大学、都立大学、中央大学、東京薬科大学など日野市内並びに日野市近隣の大学生を対象に、フードパントリーを実施しました。市役所がLINEによる広報周知、アンケート集計、配布スタッフの配置を行い、社会福祉協議会は食材の箱詰め、配布を担当。フードバンクには食材の調達に限定してお願いしました。また、福祉支援センター、日野市役所など5カ所で実施したほか、継続的な支援として市内在住の大学生にフードパントリーの利用案内も行っています。

これまで大学生は、地域の中ではボランティアなど支え手の立場でしたが、コロナ禍においては支援の受け手となりました。清涼飲料水、インスタントラーメンなど抱えきれないほどの食材にとても喜んでいました。

提供食品

エールゴハンプロジェクトの様子

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大学エールゴハンプロジェクトを利用した大学生からは、「学校に行って友だちをつくって充実した学生生活を夢見て上京してきたのに、現実は全く違って寂しい」「ほとんどオンライン授業なのに、対面授業と同じ学費を払っている意味がわからない」など、大学のオンライン授業に対するストレスなどを吐き出すような意見が多かったです。

日野市内には30の社会福祉法人がありますが、すべての法人が同じ方向を向いているわけではありません。むしろ10に満たない法人が、社会福祉協議会に賛同して協力しているのが現状です。今後は、各社会福祉法人とネットワークを形成して、緩やかなつながりを持っていきたいと考えています。